第29話みらいとフレアース様
ファノタウルス戦最終ステージに立つ面々。
ファノタウルスがらいとの攻撃を受けて苦しんでいるのを目の当たりにしつつ僕は自分の武器を握りしめていた。
「らいと君!凄いわ!あのファノタウルスを!!」
サイリスさんが飛びはねながら喜んでいると
フレアース様は呟く。
「サイリス…ふふっ…彼…本当に凄いわね。」
「あれが私が彼らに感じた運命的な力か…凄い。」
ダンさんがそう言うと突然フレアース様が苦しみだす。
「ううっ!!ぅぅぅぅ…。」
「「フレアース様!!」」
サイリスさんダンさんもフレアース様に寄り添う。すると精霊フレーネは必死に回復を試みてはいるが先程までとは打って変わってキツそうだったんだ。
「うう…回復も…フレアースのこの呪いの腕輪がダメージを回復させようとするファノタウルスに力が奪われていって追いついていかないよ…魔石の力がこんなにも強力になってる…。」
「精霊フレーネの回復魔法でも回復しきれないのか…くそっ!!」
精霊フレーネの必死な魔法を見ながらレイオールは悔しそうに言い放つ。その時、僕の頭の中に何かが閃く。そして僕が気がつくと無意識のうちにフレアース様の傍に立っていたんだ。
「えっ!?みらい…君?」
サイリスさんが僕を驚きの表情で見ている。僕の脳裏に誰かのいや…僕の腕輪の声が流れ込んでくる。そして僕の意識はそこで飛んだんだ…。
◇
◇
◇
僕の意識の中で誰かの声が聞こえてくる。
(君か?今度は、なんだい?)
これは僕が今まで数度話した事のある腕輪の声だ…。僕は質問に答える。
(うん…僕はこの方…フレアース様を何がなんでも救いたいんだ…。)
(そうだろうな…だけどどうする?君が回復魔法を使った所でどの道、皆のようにどうにもならないと思うが…。)
そうなんだ…それでは何の解決にもならないんだ。あの忌まわしき腕輪がある限り…。
!?腕輪…?そうか…あの腕輪を壊すしかないんだ!!
でもどうやって…?腕輪が簡単に壊れるくらいなら、それは皆が試した事だろう…。
僕は深く考える。
(あのさ…あの腕輪ってなんとか壊せないのかな?)
(んん…私と同じ魔石の一種である滅魔石…か。)
僕は意識の中で腕輪と会話をしていたんだ。この時間はどれくらいの時間が経過しているんだろう…皆は大丈夫なのか?そんな事が頭をよぎる。
(方法がない訳では無い…。)
(えっ!?)
(君の新たなる力…君の相棒が手にした魔石は『
(
(そう…君には、夢を力に出来る力があるんだから…。)
◇
◇
◇
僕が腕輪との精神会話が終わり我に返る。そして辺りを見回すとまだ先程の状況から時間はあまりたっていないようだ。
僕はフレアース様の全身に手の平を当てながら確認すると手にしている杖を目の前にかざす。
「ちょっと!あんた!?フレアースに何する気!?」
精霊フレーネは僕に言いよってくるけど今の僕の耳には入ってこない。そのまま僕は集中していく。
「みらい…君?」
サイリスさんも心配そうに呟く。すると回復してもらったダンさんがサイリスさんの肩を軽く叩く。
「大丈夫だサイリス…きっとみらい君なら奇跡を起こしてくれると信じよう…。」
こくりと頷くサイリスさんを横に次第に僕の持つ杖から何かの力を感じ始める!そうか!?その時、僕の頭に閃くアイデア!!僕は杖に祈りを込める…。
「分かったぞ!壊れない腕輪なら腕輪事消しちゃえばいいんだ!!」
「いくよ!夢の
「夢魔法…『
僕の杖から魔力の煙が溢れ出しフレアース様の腕に纏わりついていく!そして魔力の黒い煙は腕輪を覆っていく!やがて腕輪を覆い尽くすとその場で渦になり小さく消えていく。
そして…
フレアース様の表情が穏やかになりゆっくり目を覚ましたんだ。
「う……うぅぅぅ…ん……。」
「フレアース!?」
ぱあっと表情が明るくなるフレーネ!そして寄り添うサイリスさんと目に涙を浮かべるダンさん。
「「フレアース様!?」」
ダンさん兄妹は気がついたフレアース様にしがみつき涙を流したんだ。良かった…本当に良かった。僕もフレアース様の呪縛が解けたことが心から嬉しかった。しかし…僕のこの新たな力…本当に凄いや。僕がそんな事を考えてると向こうから聞こえてくるらいととファノタウルスとの闘いの音!!どうやら、らいとのスピードがファノタウルスを遥かに上回ってる為らいとがファノタウルスの猛攻を避けているみたいだ。
よく見るとファノタウルスの身体に先程かららいとの攻撃が刻まれている様だった。
「ぐっ!ぐぬぬ…俺様の体にはフレアースの力が流れ込んでくる!!これしきの攻撃などすぐに回復するのだ!!ぐおおおおお!!」
そう叫んだファノタウルスは、動きを止め…ふと表情が変わったんだ。
「ん…!?…何故だ!?…何故力が流れ込んでこないっ!?」
ファノタウルスがこちらに気づきハッとした顔でこちらを凝視する。僕の隣には精霊フレーネ
の力で全回復しているレイオール、ダンさん、サイリスさん、そして……ファノタウルスの呪縛から解放され全回復したフレアース様の姿も。
ファノタウルスは驚き震え出す。驚愕した顔と焦りで震えはどんどん増していく。
「ぐおおおおお!!」
「貴様らぁぁぁぁぁっ!!??」
怒りの声をあげるファノタウルスは全身を真っ赤な炎で燃え上がらせ、やがて火柱を激しく立てたのだった!!
「それはな…こちらの台詞だファノタウルス!!」
フレアース様は怒りの声を上げる!そしてフレアース様の身体も真っ赤な炎を身に纏うのだった。
「フン!まあいい…俺様は炎の魔人ファノタウルス…貴様ら人間の火遊び魔法使いとの違いを見せてくれる!!恐怖しろ!?」
「うおおおおぉ!!爆炎!!」
ファノタウルスが叫ぶとファノタウルスの身体を覆う炎の色がなんと赤褐色に変化し、やがて黄色の炎へと変化する。炎の色はその温度により色が変化するのだ。一般的な炎の色は赤色、しかしファノタウルスの炎はなんとその上の黄色の炎へと変化したんだ。そしてファノタウルスは笑みを浮かべ言い放つ!
「フハハハハハ!!これが人間を遥かに超えた魔人の力だ!!いかに炎の魔道士と呼ばれるお前でも人間のお前ではここまでの炎は出せぬ!!全員纏めて俺様の炎で灰になるがいい!!」
するとフレアース様はファノタウルスに指をさす。
「私が何故、炎の魔道士と呼ばれるかの…所以…だが…」
そこまで言うとフレアース様の周囲に真っ赤な炎が吹き出してくる。見ていたファノタウルスは笑い出す。
「アーッ!!ハッハッハッハー!!やはり俺様の黄色に輝く高温爆炎の敵ではないわ!!」
するとフレアース様の炎は黄色に変化する。
「!?なに!?バカな…お前の炎も黄色…だと!?人間風情が俺様と同等の炎だとおおおおお!?」
ファノタウルスが恐れを感じ震え出すとフレアース様は目を閉じ答える。
「いや…私の炎はお前より…上だ…。」
フレアース様は、そう言うと両手を広げ構える。するとフレアース様の身体を覆っていた炎は白く変化する。
「ば!?バカな!?人間の分際で俺様の炎を超えた…だとおおお!!??」
ファノタウルスはガクガク震え力なく両膝をついたんだ。
◇
◇
◇
お読み下さり本当にありがとうございました。次でファノタウルス戦終止符…?
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