第24話炎龍のダン過去編
私はファンガイア王の息子のダン。私達の種族はサラマンダー。その中でも私はサラマンダーと人の間に産まれた獣人である。そしてこの国は火に強い種族で昔からファンガイア火山と共に発展してきた王国だ。
「おお!ダンか、サイリスから話は聞いたか?」
ある時、私は父であるファンガイア王より急な呼び出しが来たのだ。妹のサイリスから父から呼んでいるという呼び出しがきてこの国の守り神でもある私の師であるフレアース様の元から国へ戻ってきたのであった。
「はい…父…いえ…ファンガイア王よ、それでどのような話でフレアース様の元で修行中の私を呼ばれたのでしょう?」
私が質問をすると国王はふむ…といった顔をして答える。
「よいか?ダンよ、お前を呼んだのはそろそろわしの後継としてこの国を…」
そうファンガイア王が話すのを私は遮る。
「またその話ですか?その話は以前もしましたが私はそんな器など持ち合わせておりません。」
「なんだと?いい加減お前は自分の立場を理解せぬか!?」
「それならばサイリスにでも良いではありませんか…。とにかく私はまだまだ修行中の身…では、失礼します!!」
私がドアを開けるとそこにはサイリスが驚き立っていた。
「兄さん…。」
「聞いていたのか…サイリスでも、と言ったがお前も嫌ならこの国を捨てても私はいいと思う。自分の好きな生き方をしなければ何の為にこの世に生をうけたのか分からない!王とか国家すら私達が縛り付けられるのは違うと思っている。」
サイリスは私の話を聞くと微笑み頷く。
「では私はまたフレアース様の元へ戻るよ。」
そうサイリスに告げると私はまたフレアース様の元へと戻るのだった。
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私は小さなこの国ではあるがファンガイアという国の肩書きは王子、幼い頃は王も国民達も、そして自分自身も王のその座につくものと思っていたのだ。王自身はサラマンダーであるが私達の母親は人間だったのだ。二人の出会いはこの国ファンガイアに人間である母ソフィアが迷い込んできて倒れていたところを父である王が救ったところから始まったと聞いたことがある。だが元々人間が暮らすには過酷な環境であるファンガイアで人間である母が暮らすには厳しすぎたのだ。熱と気温の上昇、サラマンダーだからこそ暮らしていけるのだ。それでも父と母は恋に落ち母はやがて私達二人を産んでくれたのだ。だがある時この国が突然の異常気象に見舞われる。灼熱の地と化し高気温の日々にサラマンダーであっても国民にも多数の被害が出てしまう。もちろん人間である母は日に日に体調を崩し弱っていった。父も成すすべがなかった所へどこからともなくフレアース様が現れこの国の炎と熱をコントロールしてこの国、そして母も救ってくれたのだ。その後母は私達がある程度成長するまでは生きてくれた。私達家族…そして誰にでも好かれる性格の母は国民にも愛されていた。母は満足したように天へと旅立ったのだ。
私はそれからフレアース様に強く願い弟子入りを果たしたのだ。母は元より病弱であった為短命ではあったがその生涯をフレアース様の力により長らえることが出来た。私達家族にとってもフレアース様に感謝しかないのだ。酒が好きでこの地にきたとは言っていたが優しさと強さを併せ持つ素晴らしい大魔導士なのだ。私はフレアース様を心から尊敬し、いつかフレアース様の為に私の力を使いたいと心に誓ったのだ。
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私はフレアース様に弟子入りをし修行に明け暮れる。時々私の様子を見に来ながら妹のサイリスもフレアース様の修行をうけていた。
「兄さん!今日はフレアース様に私の特製のお菓子を作ってきたの!」
ある時訪ねてきたサイリスはフレアース様の為にお菓子を焼いてきたらしい。フレアース様は美しいという表現が本当に合う方だったが亡き母も美しく素晴らしい人だった。サイリスは亡き母の姿をフレアース様に重ねたのであろう。サイリスもフレアース様も仲の良い母娘にも見えたもの。私はそんな二人を見る事で癒されたのだ。
「サイリス……うまいじゃないか!?甘いお菓子も本当に酒に合う!!」
「本当ですか?じゃんじゃん食べて飲んでくださいね!」
じっと私を見るサイリス。
「どうしたサイリス?」
私が質問をするとサイリスは意地悪い顔をする。
「兄さん!これはフレアース様の分だから兄さんの分はこっち。失敗作は兄さんにあげるわ。」
「その差はなんだサイリス!?」
サイリスのフレアース様への懐き方も私にはどこか心地よいものだった。
「ふふ……ハッハッハッハー!!」
「何笑ってるの兄さん!?」
「まあまあ…まったく…あんたら兄妹は!あははっ!」
私達兄妹そしてフレアース様の笑い声…楽しい私達の時間を…。
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◇
「ダン!よく今日まで私の元で修行をしてきたな!もう私に教える事はない。」
いつしか私はフレアース様の修行を終えた。だがこれからが本当の修行だとフレアース様も私も思っている。世の中にはまだまだ強者もいる事も分かっている。
「お前にはこの私の弟子である証を授けよう。」
そうフレアース様は語りそっと私の首にかけてくれたネックレス。
「師匠!?いや…フレアース様。今までありがとうございました!!」
私が涙ながらに答えるとフレアース様は私の肩に手を添える。
「ダン…実は私の元へ何度もお前の父よりお前がファンガイア王座につくよう説得をお願いをされてきていたのだが、ずっと断り続けてきた…私はお前にもサイリスにも自分の道を生きて欲しいと思っている。」
「えっ!?父がフレアース様にずっとお願いにきていたのですか?」
「ああ…だがな…ダン、お前がずっとそれで悩み続けてきたのも知っている。そして修行を終えた今お前は答えを出す時なのだろう。お前にはお前の生き方がある。私も案外好きに生きてきた組だ。お前にも悔いなき人生を歩んでほしい。」
フレアースは続ける。
「ファンガイア王もだからこそ王国は発展させる事はせず今まで小さなファンガイアという国として落ち着かせてきたのだろう。」
「師匠っ!!!ぅぅぅぅ。」
私は涙した。これ以上涙など流す事はないだろう。王子という肩書きがある事が嫌で自由に生きていきたいという思いの私に自由な生き方を勧めてくれる我が師の気持ちが嬉しくて嬉しくて涙を浮かべ何度も何度も頭を下げ泣いた。我が師はまるで母の様にそっと何も言わず私を抱きしめてくれたのだ…。
◇
◇
◇
それから私は村を離れ「ドリームソレイユ」の街に辿り着きそこで自由な冒険者の為に冒険者ギルドを開き、不動産も経営を始めた私だ。そして私の持てる力を十二分に発揮し『炎龍のダン』とまで呼ばれるようになり今の生活をできるようになった。後悔などない生き方が出来ているのはきっとあの時のフレアース様の言葉だろう。私の中のフレアース様の存在。彼女がくれた大切な時間と私の力は今こそ彼女の為に使うべきなのだ!!
「フレアース様あああっ!!」
◇
◇
◇
ダンさんが大声をあげると意識を取り戻した。
「ダンさん!?」
ダンさんはフラフラしながらもゆっくりと立ち上がる。
「みらい君!どうやらファノタウルスには魔法の力は効かないらしいな…」
「それならば!!」
ダンさんはそう言い放ち武器を構える。
「ダンさん!?」
「いいかみらい君!?君達には私が出会った時に感じた力がある。それが解放出来ればきっとファノタウルスに勝てる!!」
「私は君達を信じている!!」
ダンさんはファノタウルスに向かい叫ぶ!!
「いくぞ!!ファノタウルス!?」
◇
◇
◇
ファノタウルスに突撃していくダンさん!そして…みらいとらいとはファノタウルスを倒す為、奇跡を起こせるのか!?
お読み下さりありがとうございました!
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