第21話 滅魔石

僕達とファノタウルスの戦闘は始まった。あのファノタウルスと戦うのはダンさんとらいとだ。あの二人ならきっと大丈夫!僕の役目はサイリスさんと共に力なく傷ついているフレアース様の回復を試みているレイオールのサポートだ。レイオールをファイアゴーストが襲う!!サイリスさんの槍は見事というべき技でどんどんファイアゴーストを蹴散らしていく。ところが…その数を減らしていくはずのファイアゴーストの数が一向に減っていかない様子だ。それどころか増えていってる様に見える。

「くっ!?どうしてだ!?なぜ減っていかない!?」

サイリスさんは叫ぶと急にフラフラとよろけだし片膝をついてしまったんだ。

「サイリスさんっ!?」

僕はサイリスさんに走り寄る。サイリスさんは槍を杖代わりにし立ち上がろうとするが足どころか全身に力が入らないようだ。

「ハァ……ハァ………。ぐっ!くうっ!」

サイリスさんは次第に手にも力が入らず。槍を手放すとカランカランと音を立て槍は地面に横たわってしまう。次第にサイリスさんの獣人化は解け美しい人型へと姿を変えていたんだ。

「くっ!もう少し…もう少しなのにっ!?」

僕は悔しがるサイリスさんの肩に手を添えるとサイリスさんは僕の方に振り返る。その目には涙を浮かべている。

「大丈夫だよサイリスさん…皆で…勝とう。」

僕はサイリスさんに笑顔で言うと振り返りファイアゴーストを睨みつける。僕の身体は青く光り輝く。

「まずは君達が邪魔だよ。」

僕のその言葉にファイアゴーストは身体を燃え上がらせる。ボウッという音で激しく火力を上げるファイアゴースト達。次第に洞窟内の温度も上がっていく。

「暑いな…僕は暑いの苦手だしそれに…君達は数が多すぎるよ…」

僕の身体に魔力が集まってくる。

「まずはこれだ!生活魔法『巨大磁石ビックマグネット!!』」

僕が手をかざすとファイアゴースト達の頭上に巨大な磁石が現れる!するとファイアゴースト達は次第に引き寄せられ徐々に一頭二頭と磁石に引っ付いていく。

「えっ!?えっ?いったいそれは何の魔法…?」

サイリスさんはその不思議な光景に目を奪われる。すると…とうとうそこにいた全てのファイアゴーストは巨大な磁石にひっついていたんだ。

「いくよ。生活魔法夢モード!『アイスタイガー!!』」

僕の構えた両手から放出された氷の礫がどんどん形を作っていき氷の虎が現れる。氷の虎はグオーッとひと叫びするとその視界に磁石にひっつくファイアゴースト達を確認する。すると氷の虎は走りだし襲いかかる!その俊敏な動きと一噛みでファイアゴーストを消滅させる攻撃力で次々とファイアゴーストをたいらげていくアイスタイガー。そしてあっという間に全てのファイアゴーストは消滅していたんだ。

「やったねサイリスさん!」

僕はサイリスさんに笑顔で言うと彼女は微笑む。

「ええ!」

ダンさんとらいとの前に立ち尽くすファノタウルス。その巨大な身体はダンさんの約二倍、らいとの約三倍近くもあろうかと思うくらいの巨体を持っていたんだ。そして右手にはその巨体に見合った大きさの両刃の斧だ。

「お前らは…一体何者なのだ?」

ファノタウルスはダンさんとらいとに尋ねる。

「私は炎龍のダンだ。我が師フレアースに変わりお前を倒す!」

「なんだ、お前はフレアースの弟子か…なるほどな…そして…」

そう言いながらもらいとを見ているファノタウルス。何かを感じたようだ。

「なんだよ!俺に何か用か?」

らいとがそう言うと後ろからダンさんがファノタウルスに飛びかかる!

「うおおおおぉ!!」

ガキイイイン!!!

ダンさんの水獣爪とファノタウルスの巨大な斧の衝突!!??激しい二人の衝突!発せられる風圧に立ち尽くすらいとの金色の髪がなびく。

「さすがはフレアースの弟子か…。それにこのパワー…だが…フンっ!!」

巨大な斧を軽々振り回すファノタウルス。その斧でダンさんをも跳ね除ける。ダンさんは着地するとすかさず飛びかかる!!ダンさんの爪はファノタウルスの顔面を捉えたかと思うとかわされたかに見えた!すると水獣爪にキラリと青色に煌めく。

「水獣爪!!『水牙爆砕爪すいがばくさいそう』!!」

ガキーーン!!ズバッ!!

鋭い音と共にダンさんはスタッっと着地する。するとファノタウルスはその巨体をワナワナ震えさせる。すると狂気に満ちた咆哮をあげる。

「お…おのれえええ!!!」

叫んだファノタウルスの左の角がダンさんの与えた衝撃により折れ落ちたのだった。

カランカランッ!!

そしてダンさんはスっとファノタウルスを睨みつける。

「お前には我が師を痛めつけ傷つけた事…後悔させてやろう。覚悟しろ。」

僕とサイリスさんは一旦フレアース様の元へ駆け寄る。レイオールが懸命に魔力を集中させフレアース様の回復を試みている。

「くそっ!!フレアース様に装着されているこの腕輪がどんどん魔力を吸い取り…追いつかない!!」

「レイオール!?どう?」

僕が声をかけるもレイオールは集中している。するとその腕輪から声が聞こえてくる。ファノタウルスの声だ!!

「無駄だ…この腕輪は滅魔石という古代の魔石を利用し作られた物。フレアースの魔力は全て我が力に変わるようになってるんでな…。」

まさか!こんな事が。僕達は驚愕した。フレアース様の魔力はこの魔石のアイテムの力によってそれが全てファノタウルスに流れていってるんだ!その時レイオールは言い放つ!

「そうか…ちっ!オイラも随分魔力を使ってしまってる。どうやらファノタウルスを消滅させない限りフレアース様の回復は無さそうだ。」

「でもこのままではフレアース様も危ない。私もレイオール様とフレアース様の回復に尽くします!」

サイリスさんはそう言うと集中を始める。僕はスっと立ち上がる。

「僕はファノタウルスを倒す!あいつは許さない!」

駆け出す僕はファノタウルスの元へ向かったんだ。

フレアース様を救う為、闘え!!

お読み下さりありがとうございました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る