第19話牛獣人ファノタウルス-思考編-
ファノタウルスは考える。自分は
「何者だ貴様!我々の敵とも言うべき魔導協会じゃねえか!?我に食われに来たのか?」
その男は羽織っていたローブの頭の部分を開けて顔を出し…そしてニヤリと笑う。
「これは失礼しました。僕は魔導協会親衛隊隊長の『カルマ』と申します。以後お見知りおきを…。」
「魔導協会の親衛隊隊長…だと。そんなお前がここへ来たという事はとうとう俺を始末しに……。」
ファノタウルスの額から冷や汗が流れる。聞いている情報によれば魔導協会の隊長と言えばその腕はかなりの手練であると…。見た所20歳前後の青年というその姿…しかしその底に秘めた力であろう威圧感にファノタウルスはこいつには敵わないと悟ったのだ。逃げようにもここは大人しくしてた方が利口だ。ファノタウルスも本能でそれを感じ震えてしまう。カルマはニコりと微笑むとファノタウルスに話しかけてきたのだ。
「どうやら最近お前達の中の一人が何者かに倒されたらしいね。僕達側としては良いんだけど…僕達以外の者に勝手にそんな事をされると僕達の立場というものがなくなる…。そこでだ。」
カルマはファノタウルスに提案を持ちかける。頭はあまり良くないファノタウルスはカルマの話を大人しく聞いてみる事にする。
「それで…お前の提案を聞かせてくれないか?」
「そう来ると思ったよ!まずはこれを見てくれ。」
カルマが見せたそれは不思議な六色に輝き光る何かだったのだ。見ていると力が吸い取られそうな奇妙な感覚がする。
「そ…それは、なんだ?」
「これはね…『
「滅魔石…こんな物がこの世界に存在したとは…。」
「それでね…我が魔導協会はその魔石を長年研究し続けてきてやっと魔物討伐という名目で使用可能とした滅魔石の力を利用したアイテムを作り出す事が出来たという訳さ。」
カルマはニヤリと笑みを浮かべファノタウルスに何かを放り投げる。キャッチしたファノタウルスがマジマジとそれを見ると腕輪のよう物だった。手に取ってもファノタウルスには何も感じない。怪しく思い、じっと滅魔石を見つめる。
「これを腕なり足なりにハメられた奴は魔力を吸い尽くされ動く事もままならなくなる…。もっともお前達を消す為に造られた物だが…それでは我々魔導協会にも損失が発生してしまう。僕の言ってる意味が分かるよね?」
カルマのその話にファノタウルスはニヤリと笑う。もちろん魔導協会と我々魔幻獣十二魔人の関係は裏では共存共栄される関係なのだ。
「なるほど…これを使えば…あの忌々しいフレアースという魔導士を始末し俺様がこの地を好きにできるじゃねえか!?」
炎の魔人と呼ばれるファノタウルスにとって対する力を持つ炎の魔導士フレアースの存在は自分が好き勝手に暴れる事を抑制する存在であったのだ。
「フレアースの立場を俺様が奪いそして人々をひれ触れさせこの国を俺様の国にしてやる!!そうすれば魔幻獣十二魔人の中でも俺様は国を支配する事で実力者になれる!!」
「いいね!そんな野望を持つ者が集まった魔幻獣十二魔人の奴らが僕は面白くて好きさ。」
カルマはニヤニヤしながらファノタウルスを話にのせていく。そう言われれば今までも俺達が多少暴れていても黙認される事が多く。まるで俺達と共存する事が魔導協会の行動ともとれる。だがそれなら我々にとっても都合のいい話である。
「ほう…ではこれを使い好き放題暴れても良いのだな?だがフレアースはどうする?」
「魔石を使えば例えあの炎の魔導士フレアースが相手でも弱るだろうしその後この国は君に任せようじゃないか!国もフレアースも君の好きにすればいいさ。」
ファノタウルスは腹から笑いが込み上げてくる。
「ははっ…ははは…あーーーっはっはっはーーーーーーー!!」
火山の洞窟にこだまするファノタウルスの笑い声…気がつくとカルマは消えていた……。
◇
◇
◇
ファノタウルスが我に返る。傍には力なく肩を落としているフレアースがいる。
「こっちにはフレアースがいるのだ。」
奴らはそろそろここへ辿り着くだろう…。
ファノタウルスがいつの間にか気を失っているフレアースを見て笑う。
「さあ…時間だ…来たみたい…だな。」
ファノタウルスは扉が開いたのを確認する。そこに立ち尽くす憎き奴ら。
◇
◇
僕達はフレアース様の元へ辿り着いた。ダンさん、サイリスさん、レイオール、そして僕達二人。
決戦の時間だ。
◇
◇
◇
いよいよファノタウルスとフレアースの元へ辿り着いた一行。決戦の時だ。
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