第18話ファイアゴースト

僕達はファイアゴーストに取り囲まれていた。その能力により発火された僕達の仲間はレイオールの機転により無事に済んだんだ。ダンさんは安堵の息を吐く。

「ふぅ…レイオールがいなければ危なかったな。ありがとう!」

「へへっ!オイラにかかればこんな敵なんて…って……はあっ!?…増えてやがる!?」

いつの間にかファイアゴーストはその数を増やしていた。僕達はその数ざっと百を超える炎の牛の群れに取り囲まれていたんだ。

「くっ!いつの間に!?」

サイリスさんは自分の背中の鞘に納まる槍を手にし身構える。それに習い兵士達も各々武器を手にし戦闘態勢をとる。

「この数…私の炎ではヤツらをパワーアップさせてしまいそうだな…。」

ダンさんが呟くとサイリスさんは叫ぶ!

「兄さん!これを!!」

サイリスさんが何かを取り出しダンさんに投げ渡す。その物はヒュルヒュルと音を立て宙を舞いダンさんはガシッとキャッチする。

「こ…これは!?……。」

ダンさんは中身を見て驚くがそれを手に装備する。

「兄さん!これなら私達サラマンダーでも戦えるわ!」

そう言ったサイリスさんの手には青く光り輝く槍が握りしめられていたんだ。

「この私の水龍のすいりゅうのやりで今までなし得なかった事を克服するわ!」

「獣人化!!たあああっ!!」

サイリスさんの身体はみるみるうちに獣人化し鱗に覆われていく、そして振るう槍はどんどんファイアゴーストを貫き倒していく。

「やるなサイリス…私も負けてはいられん。」

そう言うとダンさんは武器を頭上にかざす!

「獣人化!!………」

ダンさんは僕達の目の前で初めて獣人化したその姿をみせる。赤い鱗に覆われ身体も一回り大きく正にモンスターと言ってもおかしくない姿に変わっていたんだ。

「これが私の本気の戦闘態勢だ。いくぞ炎の獣よ!!『水獣爪すいじゅうそう』」

ダンさんは勢いよく飛び出し敵に突っ込んでいく。そんな中、サイリスさんは槍を振り回し構える。

「兄さんも本気になったわ…なら私も…。」

水龍華熖すいりゅうかえん!!」

サイリスさんの槍が青と赤に光りだし混じりあい光り輝く水龍が現れる。すると水龍は火の牛の群れに向かって放たれる!!水龍は大きく口を開け次々と炎の牛をその口で飲み込んでいく。

「これならいけるわ!!」

サイリスさんの叫びを聞きとったダンさんは炎の牛を殴り倒し飛び上がり着地すると身構える!彼の装備した爪の先が青くきらりと光る!!

「私の力を今こそ解放する時だ!!水の力よ!私に力を!!」

ダンさんは構えをとっていく。そして動きをピタリと止める。

水牙爆砕拳すいがばくさいけん!!!」

ダンさんはいわゆる某○○○○波!!のような水の波動砲を放つと炎の牛の群れはほとんどが消えていく。

「凄いね二人とも…。」

「ああ…おっさんもサイリスさんもやるな!」

僕もらいとも二人の戦いにみとれていたんだ。するとレイオールは難しい顔で口を開く。

「いいかお前ら、あの二人の持つ魔導具は見た通り水属性だ…だが、サラマンダーは火属性だろ?…という事は二人にとっては諸刃の剣なのだ…。二人ともどういう事か…分かるよな?」

「そんな…。じゃあやっぱり僕達がやらなきゃ!」

「ああ…そうだ…あの二人だから倒れず戦えているようなもんだ。並のサラマンダーではあっという間に魔導具の水の魔力により力が奪われちまう。」

すると、らいとが前に出る。

「みら!ここは俺とお前で決めてやろうぜ!」

「えっ!?」

らいとの急な提案に僕は驚く。らいとと共闘ってどうすればいいんだろう…。

「らいと!どうすればいい?」

らいとは集中しその身体は緑に光り輝いている 。僕がまごまごしているとレイオールは何かに気づいた様子で僕に助言をする。

「この戦いもお前達の力を見ているからな。オイラは今回はサポート役だけするぞ!」

「ええっ!?(らいと!どうすればいいんだあ……!?)」

僕はらいとに問う。するとらいとは叫ぶ!

「みら!今だ!!敵に向かって思い切りお前の水魔法をぶちまけろ!!」

そういう事なら!僕は魔力を集めファイアゴーストの群れ目指し水魔法を放つ!

「わかった!いくよ!!ウオーターバレット!!」

僕の水の散弾が無数に飛んでいく!!するとらいとが叫ぶ!

「今だ!!追加の風魔法…ウインドバレット!!」

ゴオーーーっという風は僕の水魔法を更に冷やし雪に、そして氷になりファイアゴーストを捉えていく!!二つの魔法が重なり更に冷却されファイアゴーストは分裂も出来ない程に周辺は氷の大地へと変わりファイアゴーストは消え去ったのだった。

「おお!!これは凄い…。流石、兄が見込んだだけの事はある二人だ。」

サイリスさんが叫ぶとファイアゴーストは全てチリジリに消え去っていたのだった。

「サイリス…この戦力ならば…きっと元凶のファノタウルスを倒せるはずだ!。」

ダンさんはそうサイリスさんを力強く励ます。

「そう…ね…でもね…ずっと感じとれていたフレアース様の力がさっきから…弱まってきてるの…。」

サイリスさんはフレアース様の力が弱まってきている事を感じとってるみたいだ…。

「急ごう!!もうすぐフレアース様の住む祠に辿り着ける!」

ダンさんの声掛けで僕達一行はフレアース様のいるであろう祠へとその足を急がせたんだ。

(師匠…今行きます!そして絶対…助け出します!)

ダンさんは心から師へ改めて誓うのだった。




お読み下さりありがとうございました!囚われのフレアース様は果たしてどうなる!?

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