第17話火山へ向かって!

僕達一行はファンガイアの街へと辿り着き依頼を受ける事になった。フレアース様の住む火山までのルートには厄介な魔物の軍勢が巣食う場所らしい。ダンさん兄妹、レイオール、そして僕達の五人とサイリスさんの護衛の兵士数名小規模ではあるが十名ほどの小隊で向かう事となったんだ。道案内はフレアース様の弟子としてそこに住み着き修行をしていたダンさんとフレアース様の元へ行った事のあるサイリスさんだ。

「いいか、まずは登山道の入り口までは闇の森と呼ばれる昼でも日が届かず闇深い森がある!」

ダンさんがそう言うとサイリスさんが割って入ってくる。

「その…深い森に数ヶ月前から何故か住み着いた厄介な魔物『ファイアゴースト』そしてその魔物を束ねる長…自分の事を炎の闘牛と呼ぶそいつの名は…『牛の獣人ファノタウルス』そいつのおかげで私もフレアース様の元へ辿り着けずにいたのです。」

サイリスさんは冷や汗をかきつつも話してくれたんだ。

「ファノタウルスか…怪物とかでよく聞くミノタウロスみたいなもんかな…」

らいとはそう言いながら想像しているみたいだ。そんならいとの隣を歩いていた僕はサイリスさんに質問を投げかける。

「ファノタウルス、強そうだけど…ファイアゴーストってどんな奴ですか?」

「ファイアゴーストは分裂と炎を操る幻影体で私達…炎の加護の種族には炎属性のモンスターは苦手なのです。ファノタウルスの放つモンスターです!」

「なるほど!サラマンダーも炎属性だから同属性のモンスターは苦手なんだね…。」

僕が、そう言うとダンさんは声をかけてくる。

「大丈夫だみらい君!炎耐性だとしても戦い方はあるさ…。」

「ん…きたか!?」

ダンさんが身構えるとレイオールも足を止める。

「来たみたいだな…そいつが!?」

レイオールが叫ぶと僕達の最後尾を歩いてた兵士の身体が突然発火し燃え上がる!!

ボウッ!!

「うあああっ!?」

大声をあげ炎に包まれのたうち回る兵士!!

すると、また一人、更にまた一人と兵士達が次々と発火し燃え上がる!立ち尽くすサイリスさんは驚き叫ぶとサイリスさんの身体も発火する。

「えっ?ああっ!?」

「ヒールレイン!!」

レイオールの身体は青く光り両手を上げ呪文を唱える。すると僕達の頭上から雨が降り注いでくる。僕達を魔法の雨は炎を消し傷を癒してくれる。

「た…助かった…わ…。」

サイリスさんは消えた炎にほっと胸を撫で下ろすとダンさんは何かを見つけたようだ。

「あいつか…!?」

ダンさんの指さす方向に炎の子牛モンスターが数頭現れた。全身を炎で象られた子牛のモンスターが僕達の目の前に立ち塞がる!するとサイリスさんは口を開く。

「あれがファイアゴースト…私達サラマンダーの炎の力を吸い尽くす能力を持つ化け者よ…。私も今までこいつに…。」

ぎゅっと握ったその拳に悔しさが現れる。

なるほど、このモンスターの存在のおかげでサイリスさんは弱体化し戦えずにフレアース様の元へ行けなかったんだ。するとダンさんが僕達の前に出る。

「それなら私の炎の力とお前達のその能力どちらが上か比べようじゃないか!?」

「僕達もいるから無駄な抵抗だよ!」

僕も戦闘態勢だ。もちろん、らいともレイオールも攻撃開始だ!!

「オイラの魔法で消してやる!」

らいとの身体は黄色く光り輝く!

「腕試しの開始だ。」

一方その頃、囚われのフレアース…。火の魔導士と呼ばれるその魔導士はローブに身を包み炎の魔力で赤く光り輝き全身を包む。だが今は魔力を吸収する枷で手足を拘束され首を落とし美しい容姿はぐったりとしている。そこにはそんなフレアースを笑いながら見ている男がいたのだ。

「ハッハッハ!!いい様だな、大魔導士フレアースさんよー!!」

フレアースは悔しげに言葉を弱々しく呟く。

「くっ…貴様!こんな事して…。タダで済むと思うなよ!」

フレアースのその言葉にムッと腹を立てたのか彼女を捉えている男は思い切りフレアースを殴る!バチンとその頬を平手打ちをするとフレアースは苦痛に顔を歪める。

「いっ!!」

フレアースは男を睨みつける。

「なんだその顔は!?俺様はお前の代わりに炎の魔導士となり世界をこの力で支配していく男ファノタウルス様だ!!」

フレアースの唇は小刻みに震える。

「そんな事はさせないっ!!今に…今にきっと私の弟子が来てくれる!そしてお前など…。」

バキッ!!今度は拳でフレアースを殴る!

「お前がいくら炎の魔導士だとはいえ…もうお前の命は…俺様次第なんだよ!!」

フレアースはグッと痛みをこらえファノタウルスを睨みつける。

「そんな綺麗なつらをしてても強情な女はモテねえぞ。」

「フン、お前などを好む女もおらぬ!」

ファノタウルスはフレアースの顔に自身の顔を近づける。

「そうは言うても…お前は生かすも殺すも俺様の掌の上だ…。」

ファノタウルスはニヤニヤしている。すると突然その顔から笑みが消えたのだ。

「な…なにっ!?」

彼の顔色は次第に青ざめていき身体はプルプル震えだす…。フレアースはファノタウルスの身におきた事は分からないが…考える…。もしかしてファノタウルスに予期せぬ事でも起こったのか…。するとファノタウルスは声を発したのだ。

「誰だ…俺様のかわいいファイアゴースト達を…。」

ファノタウルスは静かに怒り…ワナワナ震えている。

「もしかして…ダン…なのか?」

フレアースに一握りの希望が見えてきた。目の前の化け物が何かの苦痛を感じ始めたみたいだ。

「グッ!?…くぅぅぅ…。」

ファノタウルスは苦痛にその体を歪ませる。

「おのれ…誰だ!俺様の分身体であるファイアゴーストを消し去る奴は!!?」

そこでフレアースに一つの希望が頭によぎる。

「ダン……我が…弟子よ。お前…なんだな…?」

ファノタウルスはハァハァと肩で息をしている。

「クッ!?お前の弟子…だと。」

「こ…殺してやるぅぅぅぅ!!!」

ファノタウルスの今まで見たことのない恐るべき姿と力をフレアースは目の前で見る事になったのである。




お読み下さりありがとうございました。

怒りのファノタウルスと囚われのフレアース、フレアース救出劇の行く末はどうなる!?






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