第13話マリオンの置き土産
僕達は強くなる為の修行をする為レイオールに指導をしてもらう事になった。そして今レイオールの後を追うのだった。森の奥へ奥へと歩いていくと僕の耳に滝の音が聞こえてくる。
「レイオール!滝の音が聞こえてきたね!」
「ああ…もう少しだ!」
更に奥に進むと目の前に水しぶきがあがっているのが見えてくる。
「うわあ…滝だ!!?」
「でけえ滝だな!?」
僕達の目の前に水しぶきが上がる。その先には周りを飲み込むかのような大きな滝があったんだ。目の前の滝を感動しながら見ていると後ろからレイオールが声をかけてきた。
「お前ら!ひとまずあの小屋に行くぞ!?」
「わかったよ。」
僕達はレイオールの後に続き滝の傍にポツンと立っていた小屋に入るのだった。小屋に通され見回すと中は一人二人が生活できるだけの居住スペース。僕達は椅子を勧められ座るとレイオールは一冊の本を出してきて僕に渡してきたんだ。レイオールから渡された本の表紙には「大魔道士マリオン」と書かれていた。ちなみに何故かこの世界の言語は異世界なのに日本語で話されていて文字も今の所は変わらないみたいだ。
「これは……?」
「これはオイラのお師匠様マリオン様の物語が書かれた本で子供の頃からのオイラの愛読書だ。皆が実話だと信じている伝記みたいなもんだ。」
「読んでみてくれ!」
僕とらいとは本を一緒に読んでみる。大魔道士の話とは…僕はページをめくったんだ…。
◇
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◇
昔からある港町マリンデルは海の側にある街で漁業の盛んな港町だった。そして豊かで平和な街だったのだ。そんなある時、空に黒い雲がかかり海は大きく荒れ水は黒く濁ってしまうという恐ろしい異常気象と水の汚染に襲われた。人々は困り果て健康も害していく、そんな危機的状況にある時一人の男が街にやってきたのだ。男の名は「大魔道士マリオン」。彼はこの街を救おうと皆の前で宣言すると海に向かい何かの呪文を唱えると荒れ狂う海がピタリと静まり返る。すると突然大地は揺れ海は裂けていく。そして中から巨大な恐ろしい海蛇の魔物が現れた!マリオン様と海蛇の戦いは三日三晩続きそしてマリオン様は自身の身体を引き換えに自己犠牲魔法で海蛇を切り裂き魔物と共に海に沈んで消えたのだ。その後、海は静まり返り水は澄んで綺麗に浄化され海と水そして街の平和が確保されたんだ。
◇
◇
◇
「なるほど…こんな物語があったんだ…。」
僕は本をパタンと閉じる。この一冊の本により僕達は大魔道士マリオンの街を救った実話と言われる物語を知れたんだ。するとレイオールの口から驚きの言葉を聞く。
「実はな…その物語の主人公のマリオン様がおいらの師匠なんだ 。」
「そうなのか?」
「ああ!本当だ!幼い頃オイラはマリオン様の本を読み、その憧れのマリオン様と偶然出会いそして…わずかな時だったけど色々な事を教わったんだ。」
「マリオン様ってやっぱり凄いんだね!?」
僕がそう言うとレイオールは自慢気な顔をする。レイオールは僕達に指をさし向き直る。
「いいかお前ら!?お前らも強くなりたいんだろ?オイラはあのマリオン様から直接戦闘も魔法もある程度は教わったんだ!」
レイオールは余裕のある顔だ。
「じゃあ…僕達に魔法と戦闘の基本を教えてください!」
僕がそう言うと隣にいたらいとも続ける。
「俺も同じだ、マリオン様から訓練して貰えた同じ様に俺にも教えてくれると助かる。」
レイオールは、ふぅと息を吐く。
「わかった!お前らにオイラが基本的な事は教えるさ!後は自分次第だ。」
こうして僕達はレイオールの元で修行をする事になったんだ。
◇
◇
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レイオールの修行は基本的な体力作りから始まり魔力アップの為の瞑想、武器を扱う為の基礎それを行い自分だけの適性を見極め得意な事を伸ばしていくというやり方みたいだ。レイオールも普通の一般人だった事を考えると的確な修行だ。この世界の魔法は「火、水、風、土と光と闇の四元属プラス特異の二元属」の基本はこの種類から発現できるんだ。僕とらいとは異質らしいんだけどでも基礎は大事だから基礎から習う。僕達はレイオールの小屋に通い修行を繰り返していく。そして…。どれくらいたったのだろう…この世界には季節はゆっくり過ぎていくのか早いのか僕はもらいともこの世界の知識を少しは学べある程度の戦闘訓練も積んだと思う。そして…。
◇
◇
◇
「さて!オイラの修行は終わりだ。後は最終試験って形で実践形式のモンスター討伐の依頼をする為ギルドに探しいってみよう!」
僕達はレイオールと共にギルドに向かうのだった。
◇
◇
◇
こうして僕達は久しぶりにギルドへとやってきたんだ。中に入るとダンさんとシャノワールさんが話をしていたみたいでこちらに視線が飛んでくる。シャノワールさんが真っ先に走りよって来てくれる。
「君達久しぶりだね~!?どこいってたのよ!」
シャノワールさんが僕に抱きついてくる。
「うわっ!びっくりしますよ!シャノワールさん!」
その後ろからダンさんがやってくる。
「みらい君にらいと君!君達の話はすずねちゃん達から聞いたのだがあのマリオン様の住んでいた場所での修行を始めたと聞いた。」
「そうなんだよおっさん!そして今回修行の最終試験みたいで…」
らいとがそう言うとレイオールが後ろから出てくる。
「おお!アンタは炎龍のダンか!?すげえな!初めて見た!」
「ん?君は誰だ?」
ダンさんにそう問われるとレイオールは杖を構え答える。
「オイラはあのマリオン様の一番弟子レイオール様だ!!」
ダンさんの眉がピクリと動く。
「そうか…君があの伝説のマリオン様の弟子か…。」
ダンさんはふぅと息を吐くと首にかけていたペンダントを取って僕達にも見せてくる。
「君もペンダントを持つ者なのだな?って事はマリオン様の置き土産…か。」
「君もってどういう事?」
僕はダンさんに問う。ダンさんは頭を掻きながら僕達に自分の話をしてくれるのだった。
お読みいただきありがとうございました。
マリオンという名に反応するダンさん。
何か秘密がありそうだ。続きをご期待くださいませ。
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