第11話魔幻の滝

僕達は、すずねちゃん達の村を救いそして感謝のおもてなしをうけ村を出たんだ。僕は街に戻るのかと思っているとらいとの足は逆方向に向かっていた。

「あれっ!?らいと!どこ行くのさ?」

「ん?実はな…俺達今回はやっとの思いでキューズを倒したけどやっぱりこの異世界で生きてく為に強くならなきゃならねえだろ?」

僕はキューズとの戦いを思い浮かべる。あの恐ろしい姿…戦闘力…確かに今思うと身震いがするくらい強かったしあの力を使いこなすには偶然を必然にしなければいけない…。僕がそんな事を考えてるとらいとは続ける。

「そこでだ…村の人達に聞いたんだけどこの森の最奥に魔幻の滝って呼ばれる滝があるらしくてな…。」

僕はらいとの考えになるほどと考えてる。

「それで?その滝に何かがあるの?」

「それなんだけどな?そこには滝の仙人って呼ばれている魔法使いが住んでるらしいんだよ!」

「うんうん…なるほど…。」

「そこでその魔法使いに俺達を鍛えてもらおうかと思ってさ?」

らいとは真剣に語ってくる。確かに元の世界で暴れていたらいとはさておき僕なんて喧嘩もした事も無かったしね…。そう思うと僕にも今後修行という事も必要だろうな…。そう考えさせられてしまう。

「じゃあその滝に僕も行って修行する事にするよ!」

僕も改めて強くなりたいと思ったんだ。そして僕達が滝を目指し道をしばらく歩いているとある山の入り口に辿り着いた。山を見上げるとこの辺りでは一番高い山がそびえ立っていた。目の前には看板が立っている。

「魔空山入り口か…ここだな…。」

「魔空山って言うんだね?」

「そうみたいだ、この山のどこかにある魔幻の滝が俺達の目指す場所だ!」

「なるほど!じゃあ行ってみようよ、

らいと!」

「おう!」

こうして僕達は魔幻の滝に向かったんだ。

登山口からとりあえず山頂に向かって歩いていく事にした僕達。しばらくすると麓の森へと入っていたんだ。辺りは徐々に薄暗くなっていく…らいとの後ろを歩く僕は周りの音にもつい敏感になってしまう…。パキッ!自分の枝を踏んで折れた音にすら、ついビクッと反応してしまう。

「らいと!?もう少し…かなぁ?」

「そういや、滝って言うくらいだから水の音が聞こえてきそうだけどな?」

らいとが僕の方を振り返りながら言うと突然僕の目の前を何かが通り過ぎたんだ。

「何!?今の!?」

「ん?何かいたのか?」

らいとが周りを確認するとその何かは、さっと茂みに飛び込む。

「ほら!?そこの茂みに飛び込んだよ!」

「ああ…確かに…よし!待ってろ…。」

らいとは走り出し茂みに飛び込んでいった。そして茂みの中での格闘が始まった。

「うおっ!?なんだこいつ!」

「どうしたのさ?らいと!?」

「なにっ?暴れるなって!?」

茂みの中でらいとは何かと格闘しているみたいだ。そして…しばしの沈黙…。

「らいと…!?どう…したのさ?」

僕が沈黙に耐えきれずらいとを呼ぶ。すると何かを掴んだままのらいとが飛び出してきた!

「うおっ!?待てよっ!」

何かを捕まえたらいとは引っ張られるように飛び出しそして地面にダイブする。ドカッ!!らいとは地面に何かを掴んだまま倒れ込む。

「くぅ〜いってえ…。」

「らいと大丈夫?」

僕が駆け寄るとらいとの手に抱えられていたのは何とモグラのぬいぐるみだったんだ。モグラのぬいぐるみが器用に手足をバタバタさせて動いているという不思議な光景を僕達が見ているとぬいぐるみから声が聞こえてくる。

「おい!お前らはどこに行くつもりだ?」

その光景に僕もらいとも固まってしまう。

「ぬいぐるみが…」

「喋った!?」

「そりゃ喋るだろ?…だって……。」

ぬいぐるみはそこまで話すと糸が切れた様に倒れてしまう。すると木の上から何者かが飛び降りてくる。僕達の目の前に降り立った一人の少年は僕達をじっと見ている。……あれ?どうしたのだろう…何も語らずじっと何かに耐えているようだ…。

「どうしたの?」

僕が声をかけると少年はこちらを振り向く。目には涙をためている。

「ぅぅぅぅ…いってええ!!」

木から勢いよく飛び降りて足がジーンと痛んだようだ。膝を抱えながら痛みで転がる少年。

「君大丈夫!?」

僕が声をかけると少年は転がるのをやめ立ち上がり涙を拭い僕達に向かって叫んできた。

「う…ぅぅぅぅ…な…なんだお前ら!?」

「ぼ…僕達はこの先にある魔幻の滝って場所にいる魔法使いに会いに来たんだ!」

僕達の目の前には身長は僕より低く髪は坊主で顔はどこにでもいそうな少年で木の杖を持ちローブを身にまとっている。その少年は僕達をジロジロ見定めているみたいだ。

「ふーん…で?お師匠様に何の用で来たんだ?」

「ん!?何て?」

「お師匠様…だって?」

僕達がそう言うと彼は鼻息荒く自己紹介をしてきたんだ。

「おいらは何を隠そう!魔幻の滝の大魔道士『マリオン』様の一番弟子の魔法使い『レイオール』様だ!!」

彼はそう言うと腕を組み自慢気に言い放ったんだ。僕達は呆然と立ち尽くしているとらいとはレイオールに近づいていく。

「俺はらいとだ!よろしくな!」

「そして僕はみらいだよ!よろしくね!」

僕達が手を差し出すと彼は一瞬ニッコリ笑顔になり照れてるみたいだ。僕達がぼーっと見てるとレイオールは慌ててキリッと表情を変える。

「お…おう!よ…よろしくな!」

「ところでそのマリオン様はどこにいるのさ?」

僕の質問にレイオールは驚く。そして次第にその表情が変わる。

「マリオン様は…。」




お読み下さりありがとうございました。

マリオンに会いに行ったみらいとらいと、レイオールの微妙な対応はマリオンに何かあるのか。

次作にご期待ください。


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