【 モエ姉と一緒 】


「さあ、もう夜も遅いから寝ようか、マモちゃん」

「あっ、う、うん……」


 僕がゲームを片付けていると、なぜかモエ姉は、僕のベッドへと入った。


「えっ? モ、モエ姉……。そこ、僕のベッドなんだけど……」

「しょうがないじゃん。急にお父さんとおばさんの結婚が決まっちゃうんだもん」


 モエ姉は、布団から顔だけ出して、僕の方をその綺麗な栗色の瞳でキョロリと見た。


「でもさ、モエ姉。隣に家があるじゃんか……」

「ああ、あの家、マモちゃんよりも小さいから、売ってみんなでここに住むんだって」


「はぁ?」


 僕は呆れ顔で、枕の上に顔を乗せているモエ姉を見る。


「いいじゃん、昔みたいに一緒のお布団で寝よ♪」

「えっ? うん……。じゃない! 一緒に寝るの……!?」


「しょうがないでしょ。部屋もベッドも1つしかないんだから」

「もう僕は子供じゃないんだ。モエ姉がベッドで寝るんだったら、僕は床にお布団敷いて寝るよ……」


 すると、モエ姉の声のトーンが急に変わった。


「嫌なの? マモちゃん、私と一緒に寝るのが……」

「えっ……? そ、そうじゃないけど……」


 一呼吸置き、モエ姉が続ける。


「昔は、一緒に寝るほど、仲が良かったのにね……」


「あっ……、そ、そうだったっけ……」


 なぜか、モエ姉が枕に顔を埋めている……。


 いつも明るく朗らかなモエ姉……。


 こんな彼女の姿を見るのは、初めてだ。



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