【 復活の呪文 】


「とぉりゃ~っ! やったぁーーっ! 私の勝ち~♪」


モエ姉もえねえ、ずるいぞ! 復活の呪文ふっかつのじゅもん、使ったなーーっ!」


「えっへっへっ。どうだ、中2のマモちゃんよ。やはりゲームは、お姉ちゃんにはまだまだ勝てないようね。ふっふっふっ♪」


 ゲームで勝ち誇った顔で僕のことを見下す姉。

 高校2年生になった年上のモエ姉もえねえは、いつも中学2年の僕のことをこうやって小馬鹿こばかにするんだ。

 名前だって『まもる』とちゃんと呼んでくれたことがない。

 いつだって、子供扱いして『』だ。


 なぜ、そんなモエ姉が、僕の隣で、肩がぶつかるくらい近くで座っているのだろう……。

 しかも、何かすごくいい匂いがする……。

 脳内の引き出しの中に、このフェロモンみたいな匂いが記憶されたようだ。


 隣に住んでいたモエ姉のことは、小さい頃からずっと憧れていた綺麗なお姉さん的存在。

 そんなモエ姉が、今や僕の本当のお姉さん……。


 普段、見なかったモエ姉の部屋着姿に、思わず目がいく……。


 ヤバイ……。

 モスグリーンのスウェットのジッパーがやけに下に下がっている……。

 その隙間からのぞく、モエ姉の大きな胸のふくらみ、そして、白くスベスベして、そこを滑り下りたらすごく気持ち良さそうな胸の谷間……。


 いつの間に、こんなにも成長していたのだろうか……。


「マモちゃん、どこ見てんの?」

「あっ、い、いや……、モエ姉が使った復活の呪文って、コントローラーでどうやってやったのかなぁ~って思って見てただけ……」


「えっ? マモちゃんのゲームソフトなのに、そんなのも知らないの?」

「ああ~、そ、そうか、今思い出した……。確かこうだったっけかな……」


「変なの、マモちゃん」

「あは、あは、あはははは……」


 僕の恋のリアルゲームの呪文は、もう二度とモエ姉には、使えない……。



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