第6話 味のあるおしゃぶり

 とにかく、来る日も来る日も息子の口に乳を突っ込む毎日でした。青森に戻って三人の生活になってからも、その後すぐ引っ越して盛岡で生活が始まってからも。


 とりあえず、滲んではいるのです。それは間違いないのです。なので、味があって、あったかくて、柔らかいものですから、息子の方でも、まぁまぁ悪い気はしないらしく、腹を満たすため、というよりはマジでおしゃぶり感覚で咥えていた節があります。というか、ここまで来ると私も最早『寝かしつけの道具』くらいの感覚でした。ミルクはミルクで飲ませてましたし。


 けれど、夜はやはりイチイチ哺乳瓶を用意してお湯を沸かして~なんていうのが面倒だったこともあり、だったらとにかく咥えさせておけ、みたいな感じになってまして、ほぼほぼ乳を出したまま寝てました。もう勝手に探って咥えてくれ状態。俗にいう『添い乳』です。


 おっ、何だ、楽な方法あんじゃんか、とか、絶対に男性は言ってはいけません。思っても良いですけど、絶対に言うな。こと授乳に関しては、楽とかそういうキーワードは絶対に口にすんな。やってみたらわかるから。


 というものですよ、いやこれマジでやってみたらわかるんですけど、体勢がめちゃくちゃキッツいのです。ちょっとイメージだけでもしてみてくださいって。赤ちゃんなんてね、横を向いたとしても、我々の身体の半分にも満たないサイズなんですよ。その口元にね、乳を持って行かないといけないわけですよね。その乳がね? ホースみたいになってんなら話は別ですよ? ただ、そんなホースみたいな乳の女と結婚したいですか? 確かに、この授乳のお陰(?)で、気持ち乳首が伸びた感はありますけど、全然ホースレベルではないんですよ。


 それでもまだね? 床に接している方の乳は比較的赤ちゃんのお口に近いんですよ。そっちはまだ良いんですよ。


 問題は、床から遠い方の乳なんですよ。

 本来は母体を移動させるか赤ちゃんの方を動かすかして、とにかく乳の位置を変えるらしいんですよ。でもね? 思い出して? 何のために添い乳してるか、って。寝続けたいからなんですよ。そんないちいち移動とか出来るかって話。旦那もすぐ近くで寝てますし。


 だからね、息子の顔の横に手をついて、俗に言う『床ドン』の姿勢でね、手を、っていうか、肘をつく感じかな。半ば覆いかぶさる感じで反対側の乳を咥えさせるんですよ。もうここまで来たらお前起きて抱っこして飲ませろや、って思ったあなたは育児初心者か? 未経験者か? 


 赤ちゃんはな! 抱っこから布団に下ろした瞬間に起きる生き物なんだよ! だから寝っ転がったまま飲ませるんだよ! 


 特に第一子の時は、とにかく旦那を起こさないよう、母親なんだから私が全部やらないと、みたいな使命感に燃えていたこともあって(第二子からは旦那無双でした)、もう意地でしたね。


 そして、そんな意地を張り続けた結果――

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