【 シングルベッド 】


 食事が終わると一緒に隣同士でお皿を洗った。

 彼は、積極的に手伝ってくれる。


 彼が一枚お皿を洗うと、私に手渡してそれを私が拭く。

 連携プレーであっという間に、洗い終わった。


 あんなに、小さく病弱だった彼が、こんなにも健康的で、素直でいい子に育っている。

 そのことに、教師として少し誇らしく思う。


「食後のデザートとコーヒーでも一緒にどう?」


 私は思わず海斗くんをそう誘っていた。

 それに彼は、とても嬉しそうに「一緒に食べたいです」と素直に答える。


 さっき買って来たベイクドチーズケーキをお皿に乗せ、コーヒーと一緒にテーブルの上に2つずつ並べる。


 彼はチーズケーキを3口で食べきってしまった。

 そして、コーヒーを飲みながら、昔の小学校の時の話しに花が咲く。


 コーヒーを飲み終わる頃、彼の目が、テーブルの左側に置いてあるシングルベッドに行ったのが分かった。


「さっき、出て行った人は、美沙先生の彼氏さんですか?」


「えっ……?」


 隣の部屋に全部聞こえてしまっていたことを初めて知る。


 健太郎先輩についさっきまでこのベッドの上で、私が抱かれていたことも多分、聞こえていたんだと思う……。



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