【 ふたりの思い出 】


 海斗くんは、小さなテーブルに出来上がったカレーと野菜を並べてくれる。


「美沙先生は、いつもどっちに座ります?」

「私はいつも窓と反対側に座ってる」


 そう言うと、彼は窓側に正座して、私と小さなテーブルを挟んで向き合い座った。


「(いただきま~す!)」


 彼は美味しそうに、カレーを口いっぱいに頬張る。

 男の人とこうやって、一緒に食べるのは何年ぶりだろう……。

 何か嬉しくなって、思わず笑ってしまった。


「うふふっ……」

「んっ? どうしたんですか? 美沙先生」


「ううん、すごい食べっぷりだなぁ~と思って。小学生の時はあんなに食が細かったのにね」


 私の笑顔に、彼も目を細めて、満面の笑みを私に向けてくれる。


「おかわりしてもいいですか?」

「もう、食べちゃったの? もちろんいいわよ。沢山作ったから食べて。でも、本当にすごいわね」


「久しぶりに美沙先生と一緒に作ったカレー。多分、今までで一番美味しいかも」

「そう言ってくれると嬉しいな。うふふっ」


 久々に会う小さかった教え子との再会。

 あの時の懐かしい海斗くんたちとの思い出が蘇ってきた……。



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