【 カレーライス 】
「今日、引っ越して来たばかりなのね?」
「はい、そうです。今、やっと部屋の片づけが一段落ついたところです」
「そうなの。夕食はもう済ませた?」
「いいえ、まだ」
その時、丁度、彼のお腹から『グゥ~ッ』っという音が聞こえた。
思わず彼は顔を赤くして、両手でお腹を押さえる。
「うふふっ、お腹空いてるのね。それじゃあ、今から私が夕食作ってあげるから、久しぶりに先生と一緒に食べる?」
「あっ、それは嬉しいです。お願いしてもいいですか? もう、お腹ペッコペコで……」
「うふふっ、それだけの体を維持しないといけないから、沢山料理作らないとね」
「あはは、あの時より食べる量は確かにかなり増えました……」
彼は照れくさそうに、左手で頭の後ろを
彼もまた、笑うと口がアヒル口になるようだ。
――私は彼を部屋へ通すと、大量に買い込んだ食材を冷蔵庫に入れながら彼に言う。
「久しぶりにさ、林間学校で作ったようなカレーでも食べる?」
「あっ、いいですね。僕も手伝います」
「ありがとう。海斗くん、今だったら沢山食べそうだもんね。うふふっ……」
「はい、カレーだったら2、3杯は行けますね」
「すごいわね」
「ええ、食いしん坊ですから」
そう言って笑う彼の大きく成長した大人びた表情が、なぜかとてもかわいらしく見える。
久しぶりに味わう感覚。
懐かしい小学校の卒業生と作る野菜ゴロゴロカレー。
理由は分からないが、なぜか私の心は弾んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます