第3話
メールは親友の刈田亮からだった。
そこにはリンクが貼り付けられており、「この人柊の好きな作家じゃない?」
と書かれていた。亮は中学時代からの親友で、何度も「彼」について話してきた。
そのリンクを開いてみると、どうやら家の近くの本屋さんに「彼」が来ているらしい。私は「彼」に会えば何かアドバイスをもらえるかもしれないと思い、亮に感謝のメールを送り、本屋さんに行くことにした。
その本屋に行ってみるとすでに長蛇の列ができていた。
流石は有名作家だ。私はおそらく無理だろうと思いながらも最後尾に並んだ。
案の定、無理だった。アドバイスどころか握手もできなかった。
流石に予想していたとはいえ、人生を変えた方に会えなかったというのは応えた。
私は時間を無駄にしてしまったと思い、来た道を引き返して行った。
もう小説を書くのはやめようなどと思いながら歩いていると小さな紙が落ちていた。
なんだろうと思い拾い上げてみると、それは名刺だった。
そこには、「あなたにリアルを授けます」という文言と住所が書いてあった。
すごく胡散臭い名刺だ。おそらく宗教か何かだろう。
そう思いながらも私は、興味が湧いてしまっていた。
「リアル」それこそが私に足りないものだからだ。
私はそれをポッケにねじ込み、面白半分で住所が書いてある場所へと向かった。
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