25

 今のところ二十五階層目の通路を歩いている。

 モンスターとはまだ出会ってない。だがいつ現れるかもわからない。

 それがダンジョンだ。だから油断してはならない。


「きゃー!あっちいってー!気持ち悪いですー!」


 ほらそこから女の子の声が……女の子の声?

 約二十メートル先の曲がり角から女の子の声がする。

 こんなダンジョンにも他の冒険者が居たのか。

 俺たちはそこに駆け付けた。すると一体のモンスターと戦っている。

 鬼ムカデだ確かにこいつは気持ち悪いかもしれない。


 襲われている女の子の見た目は魔法使いの帽子を被っていて黒髪でショートヘアだ

 魔法使いのマントのようなものを身に着けていて背丈は俺よりかなり小さいたぶん150センチメートルもない紛れもないロリ体型だ。


 そんな女の子が鬼ムカデに苦戦して……いないだと


「こんなやつは私の魔法でいちころです……ファイヤルボム!」


 放たれた火炎魔法は放物線を描いて敵に飛んで行った。

 鬼ムカデに当たる。鬼ムカデは大火事になった。

 そのまま鬼ムカデは光の粒子となって消えた。

 戦闘が終了したので俺たちは駆け寄ってみることにした。


「あの……君はいったい……」


「うわー!誰ですかいきなり話しかけてきて!不審者さんですか!私はそんな人にはついて行きませんよーだ」


「いや違うよ私はミヤデリカ・アストラーゼというものだ冒険者をやっているこっちの少年は仙道当潜だけっして怪しいものでは無い」


「そうなのですか……冒険者さんだったのですか……私はマホルリカ・スタールネスです」


 お互いが自己紹介をしたので俺たちは歩きながら話をすることにした。


「そうなんだよ俺たちはこのダンジョンを攻略するために来ているんだ君もこのダンジョンに来ているということは一人で攻略しに来たのか?」


「いえ私は勇者様を探してここに入ったのです」


「「勇者様?」」


 俺たちはお互いはもった。勇者様とはどういうことか俺は聞いた。


「勇者様とはこの世界に災いなす魔物を全て倒してくれる存在です。特に魔物の中で強大な力を持つものを魔王と呼びますそんな魔王を打ち滅ぼしてくれるのが勇者なのです」


「それでマホちゃんは勇者を探すために各地のダンジョンに足を運んでいるのね」


「マ、マホちゃん?それって私のことですか!?」


「だってマホルリカって長くて呼びづらいでしょだからマホちゃんでどうかな?私だって本当はミヤデリカなのにミヤって呼んでもらっているよ」


「マホって俺はかわいいと思うぞ」


「そうですか……ならそう呼んで構いませんです……それでですね私の目的は勇者様を探すことなんですそれで流石に強い私でも一人はいささか心細いです……なので私の勇者様が見つかるまで一緒に旅をしてくれませんか?」


「もちろん喜んで」


「歓迎するよ」


 ということでマホが旅の仲間に加わった。勇者様というのが見つかるまでの限定だがな。

 しばらく歩いていると二十六階層目の階段が見つかる。しかし階段の前にはモンスターがいる。こいつを突破しないと先には進めないというわけか。

 出てきたのは鬼武者ゾンビだ。見事な鎧をつけている。赤と蒼の入り乱れた造形だ。そして刀を持っている。そんな奴が俺たちに向かって攻撃してくる。


 俺は六連連続斬りを仕掛ける。ミヤはスラッシュ・リグオール・ストライクを仕掛ける。

 マホは何をするのか聞いていないのでわからない。


「マホ!どうするんだ?」


「私は魔法で攻撃するに決まっているじゃないですか」


「何の魔法だ?」


「炎魔法です!」


 どうやら炎魔法で攻めるようだ。これで全員の手札はそろった。

 攻撃が一斉に鬼武者ゾンビに向かう。これはかなりのダメージを与えたようだ。

 そして鬼武者ゾンビがこちらに迫ってくる。マホに狙いを定めたのかマホに向かって突進してくる。


「まずいマホ避けろ!」


「こんなの私の前では雑魚ですーだから簡単にやっつけてやるです」


 そういってマホは炎魔法を詠唱する。そして放とうとするが……転んだ!?


「え、えっしまったー!ぐでん」


 仕方ないな俺が行くしかないか。俺はマホの前に立ちふさがった。そして鬼武者ゾンビを一人で撃退する。一閃斬りを仕掛けることに。鬼武者ゾンビはのけ反った。そして再び一斉攻撃。俺は一閃斬りミヤは攻撃マホは炎魔法を仕掛ける。鬼武者ゾンビはそれらの攻撃を受け止めるがダメージは入ったようだ。そして鬼武者ゾンビが再びマホを狙う。

 しかたなくまた俺がかばう。鬼武者ゾンビは刀で攻撃してきた。俺は剣で受け止める。

 そして再び攻撃だ。俺は六連連続斬りを仕掛ける。ミヤは攻撃を仕掛ける。マホは炎魔法のフャイヤルボムだ。そして一斉攻撃が鬼武者ゾンビに降りかかる。鬼武者ゾンビは光の粒子となって消滅した。


 なんとか倒せたそして俺たちは先に進んだ。

 それからも色々とモンスターを倒しながら進んで行き強い敵と戦ったがなんとか倒して 先を進んで行ってようやく三十階層目の階段が見つかるとこまできた。

 次がこのダンジョンのボスだ。心して掛からないとな。


「さあ次がボス戦だ。マホは初めてのボス戦じゃないのか?」


「確かにそうですけど……私なら強いので大丈夫です」


「また転びそうだけどな」


「ぐぬぬ……あれはたまたまですー今度はいざという時転びませんです」


「そうだよね今度は転ばないように気を付けないとね」


「ミヤまでーはいはい今度は転ばないように気を付けますですー」


「それじゃあ行こうか」


 というわけで先に進んだ俺たちは少し広い部屋に出た。

 そして中央にはいつも通りボスらしき影がある。

 ダンジョンボスのハイパードッペルゲンガ―が勝負を仕掛けてきた。

 ドッペルゲンガ―再びか。今度はかなり大きい暗黒状の粘土のような人形がいる。

 そいつが俺たちに向かって拳を作って振りかぶってくる。


 俺は盾で受け止める。かなりの衝撃を受けたが致命傷は避けられたようだ。

 そして一斉攻撃だ。俺は超能力スキル『物質超強化』を剣に使う。

 ミヤはスラッシュ・リグオール・ストライクを仕掛ける。マホはなにやら秘策があるらしい。

 俺は『物質超強化』を放つ。


「うおおおおお『物質超強化』!」


 剣は七色の光に包まれる。物凄いオーラを感じる。

 ミヤはスラッシュ・リグオール・ストライクを放っていた。マホはなんと炎魔法と風魔法を同時に仕掛けるという妙技を放った。


「私のとっておき!ファイヤルボム・ゼカストム!」


 炎の竜巻はハイパードッペルゲンガ―を苦しませる。

 そして今度は俺の攻撃だ。超六連連続斬りだ。

 ドッペルゲンガ―の体を切り裂きまくった。

 ここで手を休めてはいけないなにせ三十秒しか効果が無いからなこの『物質超強化』は。

 俺は超一閃斬りを仕掛ける。


「これでも喰らええええええええ超一閃斬り!」


 ザシュ!ハイパードッペルゲンガ―は真っ二つに切り裂かれた。

 もう虫の息だ。これであとは一斉攻撃で足りえるだろう。

 俺は最後に攻撃するただの攻撃を。ミヤはフャイヤル・アタックを。

 マホは水魔法を唱える。


「ウォータル・スピンです!」


「うりゃああああああああ!」


「ファイヤル・アタック!」


 三人の攻撃はハイパードッペルゲンガ―を完膚なきまで倒したものだった。

 ハイパードッペルゲンガ―を倒した。経験値15000を手に入れた。3000BG手に入れた。

 ドロップアイテムブラウンエナジーストーンを手に入れた。

 ダンジョン攻略ボーナスとして影のマントを手に入れた。


 影のマント守備力+85

 説明:影の効果が付属しているマント。敵の攻撃をかわしやすくなる。


 なかなか強い効果だなこれはマホにやるか。

 そして俺たちは外にワープした。








「外に出たな……」


「やっと外ですー!」


「なかなかの冒険でした」


「それでどうする今日はもう宿に泊まるとするか」


「そうですねそうしましょう」


「その前にご飯ですー!」


「ご飯食べる意味あるのか?まあ雰囲気の問題か」


「ご飯を食べなきゃ死んでしまいますよ当潜おかしなことを言いますね」


「だってみんなマジになってるから言い出せなくてここってゲームの世界なんだぞ……」


「ゲーム……?何を言っているんですか当潜はここはワールドブレストですよゲームの世界ではありませんもしかしてまた急に消えるんですか勝手に居なくなるのはもう勘弁してくださいよ」


「どういうことですか?勝手に居なくなるとは?」


「当潜は急にパッと居なくなるのだ煙の様に消えてしまって……そして少ししたらまたパッと現れるのだ」


「もしかして勇者様って当潜のことなんじゃ……」


「ゲームの世界じゃない!?勇者は俺!?どういうことだよ……」


「ばば様の占いです。「この世界救う伝説の勇者異世界から現れる。七色の剣を振るい魔王を打ち滅ぼさん」さっき戦った時も七色の剣を使ってたし急に現れるのは異世界人の特徴に当てはまります」


「何を言っているのかさっぱりだぜ……それならログアウトしてみるから見てろよ……よしこれを押せば出られる」


 そして仙道当潜はこの世界から消える。確かにその存在は無かったかのように忽然と居なくなった。


「ここは……俺の部屋か……時刻はまだ夜の九時半か……しかしミヤもマホもネトゲにマジになっているよなこの世界はゲームの世界じゃありませんとか俺を伝説の勇者にしたがるとか俺は一プレイヤーに過ぎないのに……さて少ししたらもうテレビでも見て寝るか」


 俺は久しぶりにテレビを見たような気がしてそして寝た。

 明日は学校がある。本当は行きたくないが仕方なく行くのだ。不登校になるわけにはいかない。俺は一人じゃないからな。そういうことを考えながら枕に頭を付ける当潜であった。

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