17

 現在十三階層目で俺たちはゾンビ狩りを強いられていた。

 出てくるわ出てくるわゾンビゾンビゾンビゾンビゾンビゾンビゾンビ!!

 一回の遭遇で平均七、八体は出てくる。

 それらの敵を俺たちは順番に退治していく。

 俺は六連連続斬りを使って倒すことが多い。ミヤはそろそろMEPの節約も兼ねて普通の攻撃に切り替えている。しかし多いな一集団を倒した十秒後にはもう別の集団に会うレベルだ。


 これではらちがあかない。何とかして集団から逃げるとか出来ないか。

 逃げる……試していなかった。よく考えたらこいつら動きが鈍いから逃げるのは簡単じゃないのか?ということで試してみる。右からゾンビの集団が現れた!ということでダッシュで逃げることにしますか。結果……追っては来たものの意外と簡単に逃げることが出来た。


 ただし逃げた先にはまたゾンビどもが大量に出てくるのですぐに逃げないと意味が無い。 通路を塞がれているなどの時は戦うしかないしやっかいだ。

 とりあえず逃げることが出来るということがわかっただけでも良しとするか。

 そして俺たちは逃げながら戦い、戦いながら逃げた。

 そしてようやく十四階層目の階段を見つけた。


 十四階層目に到達した。今度は生臭くない空間だ。

 どうやら出てくるモンスターは十一階層目と同じようだ。

 ヨロイガニが群れをなして現れた。

 俺は一閃斬りを仕掛けるが斬れない。あまりミヤの魔法ばかり使わしているとMEP切れを起こすかもしれないから必要最小限にしないといけない。

 よって逃げることにした。こいつらの相手はしないでおこう。


 とっとと逃げているとまたヨロイガニが現れる。

 しつこいがそんなの気にせず逃げるが勝ちだ。

 そうして逃げていると十五階層目の階段が見えてきた。

 降りると立て看板がある。内容は「ここからはレベル12のモンスターが出ます。気を付けてね」ちなみに俺たちのレベルはゾンビ狩りの成果もあり既にレベル12になっている。


 なのでレベル12ぐらいなんてことはない。それよりも剣での攻撃がほとんど効かない敵などがやっかいだ。ヨロイガニがそうなのだがMEPを使いすぎると魔法が使えなくなるから相手をしたくないのだ。


 そうして歩いていると今度は見たことも無いモンスターに出会うことになった。

 コオリワシだ。氷の様に透き通った白い体毛。鋭く尖った鋭利な嘴。こちらを氷のような瞳で睨んでくる。先手を取ったのはコオリワシのほうだった。

 滑空しながら突っ込んで来る。鋭利な嘴をまっすぐ向けて向かってくる。


 あまりにも速いので俺は居合斬りの構えをとることが出来なかった。

 そして俺の右肩をコオリワシの嘴がかすめた。

 右肩が凍った。文字通り肩が凍りついている。幸いにも鎧部分なので直接凍ったわけではないが、それでも俺の動きを低下させるほどの凍り漬けだ。

 そしてコオリワシは後方からまた滑空して俺の首筋を狙ってきた。

 俺はもちろん避けた。今度は上手く避けれた。しかし体勢が崩れた。

 なので速く立ち上がらなければいけない。


 そして今度は中距離からコオリワシが凍える息を吐いてきた。

 それは武具や体が凍りつくほどの冷気を帯びていた。

 その攻撃により俺たちは上手く動くことが困難になった。

 そしてコオリワシが今度はミヤの方向に向けて突っ込んで行った。


「ミヤ!避けろ!」


 しかしミヤは足が震えていてどうも足元がおぼつかない。

 そして案の定ミヤの胸にコオリワシが突進するのであった。

 幸いにも鎧で覆われているのでダメージはそんなになさそうだ。

 だが胸部分が氷漬けになっている。

 これではまともに動けるわけがない。


「ミヤ……大丈夫か……」


「このくらい……なんてことはないです」


 口では強がりを言うがこれではミヤは戦力外だ。

 俺一人でなんとかしなければ。

 奴の対処法を早く考え付かなければいけない。

 とりあえず居合斬りで待ちの戦法をとるしかないのかと考える。


 そしてコオリワシが滑空しながら俺に向かって突っ込んで来た。

 居合斬りの構えをとる。そしてコオリワシが射程範囲に近づく。


「ここだ!居合斬り!……決まった」


 コオリワシは弾け飛んだ今は地に落ちてる。

 そしてまだかろうじて動いてるようだが……今コオリワシが再び飛び出した。

 そして俺に向かってまた突っ込んで来た。

 しかし先ほどのスピードがなくよろよろだ。

 俺は居合斬りをするまででもないと思い普通に攻撃してあげた。

 結果コオリワシは真っ二つになった。そして光の粒子となって消えた。

 不意打ちを喰らったがまだましな敵だった。

 そして俺たちは歩を進めた。


 また新たなモンスターが現れたのである。

 ナイトアーマーだ。見た目はこの前戦った黒炎の鎧に似てる。

 ただし色が銀色なのと少し鎧の形が違うという感じだ。


 そしてナイトアーマーが剣を俺たちに向けて突っ込んで来る。

 俺は一閃斬りを仕掛ける。ミヤは普通に攻撃を仕掛ける。

 決まったと思ったがナイトアーマーは俺たちの攻撃全てをかわしたのだ。

 こいつなんて素早いのだ。鎧を身に纏っているとは思えないほどだ。


 そして反撃の一打を浴びせられる。俺に対して剣での攻撃。

 喰らってしまった……幸いにも鎧の上だが衝撃をかなり受けた。

 こちらも反撃をしたいところだが素早い敵をどう対処したらいいのかわからなかった。

 そしてまたしてもナイトアーマーが突撃の突き攻撃を仕掛けてくる。

 今度はミヤ狙いのようだ。俺の後方にいるのでそのまま俺を無視する形になった。

 ミヤは先ほどの胸の凍り漬けが残っている。なのでまだ上手く動けないのだが……ヤバいぞ俺がかばわないと。


 ミヤの方を見るとミヤはしっかりした表情で敵であるナイトアーマーを見ていた。

 そしてミヤは敵の突き攻撃に対して胸を突き出したのだ。

 結果胸に残ってた氷の塊は粉砕された。そしてミヤはそのまま剣で反撃した。

 ナイトアーマーが吹っ飛ばされた。そして俺もこの機会を逃さないようにナイトアーマーに追い打ちの攻撃を行った。


 結果ナイトアーマーを倒すことに成功した。

 そうして十六階層目の階段も見えてきた。

 俺達は先に進む。この後待ち受けるであろうこのダンジョンの主をどうするか考えながら先を進むのであった。

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