10

 見つけた……地下十階の階段だ。

 そこにはいつもの立て看板がある。

 内容は俺たちに最後の試練を伝えるものだった。

「さあ、冒険者の諸君!次が最後の難関だよこのダンジョンの大ボスが待ち構えているよ、さて君たちに倒すことができるかな?では頑張ってくれたまえ」


 なるほど次が最後と言うことか長かったこの迷宮もついにラストステージに移行するというわけである。

 これで俺たちのダンジョン攻略に一つの区切りがつくのだ。だぜんやる気が出てきた。


 最終チェックとしてミヤと戦いの前の相談をする。


「ミヤ……ここからさっきの奴らとは比べ物にならない敵と戦うけど大丈夫か?」


「ふっ……私を見くびってもらっちゃ困るぞ、これでもそれ相応の実力はあるからな」


「うんミヤのことは信頼しているよそれに俺より強いからね」


「おいおい何を言うんだ?当潜殿こそ私より強いと思えるけどな、謙遜しているのか」


「俺が強い?確かに今のところなんの魔法も覚えていないけどここまで来れたからな……強いのかもしれないかな」


「そうだ!当潜は強いそれでいいんだ自分の力に自信を持ったほうが良いぞ」


 俺たちは互いにお互いのことを励ましあった。そしてこれからのことを切り出す。


「さてどんなモンスターがでるかな楽しみだぜ」


「私も楽しみだ強い奴と戦えると思うとワクワクするしな」


「では行きますかミヤ」


「ああ行こうとするか当潜!」


 そして俺たちは地下十階の階段を下った。どんな敵が待ち受けているのやら……。


 ……地下十階はそれなりに広かった。正方形状の形で縦横ともに約三十メートルといったところか。それに普通に明るい。蝋燭の明かりが無いにもかかわらず。

 そして奥の方にはこのダンジョンの真のボスと呼ばれるものが禍々しいオーラを放ってそこに存在していた。


「フフフフフ人間よよくぞ来たまずはここまで来れたことは褒めてつかわそう、だがしかしお前たちはここで全滅する定めなのだ……!」


 ダンジョンボスの紅き眼のジャイアントグレートゴブリンが勝負を仕掛けてきた!


「うわっマジかよ……十メートルはあるぞ身長デカすぎだろ……」


「そうですね……デカすぎますねこんなの倒せるんでしょうか?」


「と言ってもやるしかないよな~すごいしんどそうだけど」


「確かに苦労しそうですね……体力ゲージを見て下さい二本もありますよ」


「つまりHPは二千弱もあるっていうわけか……これは大変だな……」


 こうもなるとかなりやっかいな敵だと思い知らされる。

 HP二千弱の敵をどう倒せっていうんだ。ムリゲーにも限度がある。

 しかしそこを何とかするのが俺の勤めってもんだ。なんとかなるさ。

 今までいろんなゲームをクリアしてきたのは誰だ。このくらいどうさもないはず。


「ではお前たちをただの肉塊に変えてヤルカ」


 そう言ってジャイアントグレートゴブリンは持っている棍棒を大きく振りかざして放つ。

 ちょうど俺とミヤの間を狙ってくる。まずはけん制も兼ねているのか。


「くそっいきなりか」


「はあ!喰らいなさい!スラッシュ・リグオール・ストライク!」


 ミヤが魔法剣を使って遠距離から攻撃する。放たれた閃光は見事にジャイアントグレートゴブリンに命中した。しかしダメージがほとんど入ってない。体力ゲージが一ミリしか減ってないのだ。ダメージにして十くらいといったところか。

 これはいったい何回攻撃すれば倒せるんだ?まさか防御力も高いとは思わなかった。


「グハハハハハ効かん効かんぞそんな攻撃!まさかそれがお前たちの精一杯の攻撃なのか?まさかそんなことはあるまいだろ」


「あーそうだよ!これでも喰らえ連続斬り!」


 俺は連続で斬りつける。十回は斬りつけたこともあって結構入ってる。五十のダメージが入った。

 今度は力溜めの行動に移行する。

 一……零!グレート・ストラッシュ!


「うおりゃあああ!」


 今度はちょっとは効いたようだ二十五ポイントのダメージが入ったようだ。

 とにかくひたすら攻めるしかない。


「お前ら結構やる奴なのカ……ならばこちらも本気でやらしてモラウ」


 紅き眼のジャイアントグレートゴブリンは本気になった。結果かなり動きが良くなっている。こちらの攻撃を的確に避けてくる。そして確かに反撃してくる。さっきの防戦一方の戦い方ではない。


 そしてこちらも怯んでいる場合じゃない少しずつでいいのだダメージを蓄積させていけばいい。最終的には倒せるのだから。


 しかしその考えは少しばかり甘かった。なんとジャイアントグレートゴブリンのHPが少しずつ回復していくのである。これでは少しずつダメージを与えていってはきりがない。

いったいどうすればいいんだ?


「これはやっかいだな……」


「そうですね……これではいつまでたっても倒せないですよね……どうしたらいいんでしょう」


「うーんなんかないのか例えば急所みたいな部分があのデカブツにはあってそこを攻撃したらいっきに倒せるとか?」


「そういうことがあればいいんですけど……あれ?あれはなんでしょうか当潜」


 ミヤが指差した方角にはゴブリンの胸中央辺りだ。よーく見てみるとなんか光ってる三か所もそしてよく見るとゴブリンの額も光って見える。

 まさかあれが弱点なのか?だとするとなんてわかりやすい……これはチャンスなのかもしれない。

 俺たちはなんとかしてあの光る部分を攻撃しなければいけない。だとするといったいどうすればいいのか。


「どうする?あの距離までどうやって攻撃する?ジャンプ力には自信が無いぞ」


「私の魔法剣を使えば届くんじゃないの?」


「まずはとにかく試してみようか」


「よし!そうだねまずは試してみよう」


 そしてスラッシュ・リグオール・ストライクが放たれる。

 しかし……


「おっとそうはいかないゾ」


 防がれてしまった。少しは予想通りといったわけだ。


「あーあやっぱり」


「やはり防がれてしまいましたね、どうしましょうあとは新しく覚えた風魔法しかありませんそれで攻撃してみましょうか?」


「風魔法……いやちょっとまってもしかしたら使えるかもしれない」


「えっそれってどういうことですか?」


「つまりはこういうことだ……」


 俺はミヤにあることを耳打ちする。ミヤは驚愕の表情になるが俺は構わずやってくれと頼む。でも……と躊躇するミヤ。しかし俺たちに残された方法はもうこれくらいしかないんだ。だからこの方法でいく。


「じゃあ頼むミヤ!やってくれ!!」


「どうなっても知らんぞ!ルノマ―ゼカ!」


 ミヤの風魔法が放たれた。そしてその風魔法はゴブリンではなく当潜に向かって放たれたものだ。そして俺は風に乗ることに成功した。


「ナンダトー!!」


 驚愕の表情になるジャイアントグレートゴブリン。そりゃそうだいきなり風に乗って襲ってこられたら誰だって驚く。そして俺はそのままゴブリンの胸中央部分に突撃した。

 見事に光る部分を貫いた。まずは一か所。


 そして華麗に着地する俺。骨折も捻挫もしてない。なんとか着地出来たぜ。

 そそくさとすぐにミヤの所に戻る。そして二回目の連携攻撃が始まる。

 また俺は風に乗る。今度は先ほどの部分より少し下の光る部分を攻撃だ。

 こんども普通に成功した。ゴブリンは悲痛の叫び声をあげている。これで体力ゲージが一つ消滅した。あと二か所を攻撃すればいいのだ。


 もう一度俺は風に乗る。今度も楽勝だ。そう上手くはいかないのが世の理なのか。


「なんどもただでやられると思ったカ!」


 そう言ってジャイアントグレートゴブリンは胸の光る部分を腕で隠して空中で俺目がけて棍棒を振り回してきた。なんで最初からやらないんだろうと思ったが俺はさらに風に乗り奴の顔部分まで来た。そして額の部分を貫いた。


「クソオオオオオオオ!」


 俺はそのまま落下しながら胸の光る部分を斬りつけた。


「グアアアアアアアア!」


 紅き眼のジャイアントグレートゴブリンを倒した。

 経験値10000を手に入れた。200BG手に入れた。

 ドロップアイテムレッドエナジーストーンを手に入れた。

 ダンジョン攻略ボーナスとして黒甲羅の鎧を手に入れた。


 そして俺たちは自動的に外にワープさせられた。


「やりましたね当潜……初ダンジョン攻略おめでとう」


「お前の助けがなかったら無理だったよ……ありがとうな」


「それこそ君が居なかったら私は今頃死んでいるよ……といっても教会で復活できますけどね財産を半分奪われてね」


「死んでも復活できるのか……そうだったここはゲームの世界だったな……」


「ん?何か言いましたか当潜?それよりこれからどうしますか?私はもう少し旅を続けていきたいんですけどね」


「そりゃもちろん一緒に行くに決まってるだろ!俺たち仲間だろもう」


「そう言ってくれるのを待ってましたはいもちろん一緒に旅を続けましょう当潜」


「ああこちらこそ改めてよろしく頼む!」


「私もだよろしくだ!」


 そういって握手を交わす俺達。まだはじまりのダンジョンを攻略しただけだ俺たちの旅は始まったばかりだ。これからどんなものが俺たちの前に待ち受けているのか楽しみでしょうがない。












 side???

「まさかはじまりのダンジョンを攻略するものが現れるとは。あれははじまりとは名ばかりの高難易度設定にしてあるのだがな……こうも簡単に突破されるとは思わなかった。

まさか勇者が誕生したのではないか……確かにあれはやっかいだ私の人間界征服の邪魔立てになる。この世界を魔物達の楽園にする私の計画が台無しになるのか?ならば監視のものを出そうそうしよう。もし今後脅威になりそうなら私自らが行って殺せばいい……

ふははは久しぶりに楽しめそうだな!!」


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