8 戦場で舞う戦姫

 俺は今地下八階を慎重に進んでいるモンスターとの戦闘を少しでも避けようとしている。

 死なないためだ。意外と難しいことでもある。モンスターの姿が見えたらすぐ引き返さないといけないからな。


 とにかくまずは地下九階の階段を探している。

 見つかると思えるがいまのところ見当たらない。


 しばらく探索をしているとまたウインドウが出現する

「ブレスト・モンスターがこの階層内に出現しました。気を付けて下さい」


 またかよ~これで三回目だつまり三体のブレスト・モンスターがこの階層内に居るみたいだ。

 これではどうするにも慎重に行かざるを得ない。念のために気配を鋭敏に感じるように周りを注視する。早く地下九階の階段を見つけないとな。


 そしてなんとかブレスト・モンスター一体だけとの戦闘に済んだ。

 地下九階の階段を見つけることに成功した。


 俺は地下九階に到達した。

 毎度のことながら立て看板がある。

「ここはブレスト・モンスター大量出現階層なのでより気を付けて下さいね」


 なーるほどさっきの地下八階は大量ではないと……

 どんだけ出てくるんだろうなブレスト・モンスター。

 ちょっと怖いな。でもそこまで怖がっていてもしょうがないので勇気をつけようと思った。


 少しばかりまた探索を続けているとまたもや音がする。

 また他にも冒険者が居るのかと思い俺は音のある方角に向けて走り出した。


 するとやはり一人の冒険者を見つけた。髪はプラチナブロンドで肩までの長さ、瞳は真紅の色で澄んでいる。とても美しく見える少女が一体のグレート・ゴブリンと戦っている。


 その姿は華麗だ、まるで戦場で舞を踊るかのように見える戦姫のようだ。剣は舞のごとく軽やかに振られている。とても優雅に見えた。


 悠然と月光に充てられるように戦姫は軽やかにグレート・ゴブリンを惑わしている。


 戦場に美しく咲く綺麗な花にも棘がある様にその戦う姿は圧巻だ。


 しかし若干苦戦しているのか相手のグレート・ゴブリンと思えるモンスターの動きが良いのだ。棍棒をただ振り回しているのではない知恵を持って攻撃を選択している。


 どうも雲行きが怪しいので俺は加勢することにした。


「手伝います!二人で戦いましょう!」


「君は冒険者なのか……助かる!奴は知恵があるからかなり厄介だぞ」


「知恵ですか……でもモンスターには変わりないんでしょう?なら問題ないです」


「そうか……君は戦い慣れているのかね、ここまで来れるだけはあるのか……やれるか?」


「もちろんいけますよここまで来れたものですからこんな敵大したことないです」


「まかせていいのか?」


「はい、ではいきますよ!」


 そう言って俺は知恵あるゴブリンを倒すことにした。

 まず奴の行動パターンを予測する。

 ただ相手もこちらの様子を窺っているのか何もしてこない。

 しばらくにらみ合いが続く。

 先に動き出したのはゴブリンの方だった。

 俺に向かって突進してくる。俺は迎え撃つことにした。


 棍棒を振りかざして俺の脳天にまっすぐ下してくる。

 俺はそれを剣で受け止める。

 そしてすぐに敵の懐に潜入する。


 一発斬りつける。


「グワアアアアッ!人間メよくも」


 やはり言葉を喋れるモンスターだったしかしだからどうだというのか

 俺はとにかく攻めることにする。何度も斬りつける。

 そして少女も同じく加勢してくれるようだ。


「スラッシュ・リグオール・ストライク!」


 呪文と同時に剣を振ったら閃光が放たれた。

 どうも魔法剣というやつか。その剣技は敵に確かにヒットした。


 そして流れ込むように俺は攻撃を仕掛けた。

 それからはあっけなく敵のゴブリンはやられた。


「大丈夫でしたか?凄い技でしたね」


「なーに君の方が凄いよただの剣捌きでグレートゴブリンにダメージを何度も与えていたからね、なかなか出来ることじゃないよ」


「そうなんですか?ゴブリンに毛の生えた程度じゃないんですか?」


「まあそうなんだがそれでもブレスト・モンスターだからね、結構強いからねMEPの節約もしないとね」


「それで……どうしますか?俺達このまま一緒に行きましょうか?」


「そうだな……どうせ最下層の大ボスを倒すんだ一緒に行こうか」


「俺の名前は仙道当潜ですあなたは?」


「ミヤデリカ・アストラーゼだミヤでいいよ」


 こうして俺はミヤデリカ・アストラーゼことミヤと急場しのぎのパーティを組むことになった。

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