第130話 【凝核(コア)】。
「う、うううぅ……! い、いいよ……! ロココちゃん……! やっちゃって……!」
「わかった……! ディシー……!」
沈む陽に赤く暮れる世界の中、グランディル山の頂に、青い【月】が落ちようとしていた。
無数の死霊たちと、僕たちが放った技の残滓を吸収して、極限まで肥大化した膨大な魔力のかたまり。
この【
「集え……! 憐れで惨めな死霊ども……! 主たる我にすべて捧げよ……!」
だがそのとき。怒りか屈辱か、わなわなと震えていた【死霊聖魔女王】が動きはじめた。
両手を前にかざすと、虚空に黒い大きな空洞が生まれる。
そして、そこに――
オオオオオオオオオオオオオオ……!
「なに……!?」
――僕たちを襲っていた【
「あの青い【月】……! たしかに恐ろしいほどの膨大な魔力だわ……! まともに受ければ【魔王】たるこのわたくしとて、ひとたまりもないでしょう……! だったら、わたくしも同じことをするまで……!」
グチャ、バキ、メキャ、グチュ……!
真っ黒な空洞から、異様な音が響く。骨や肉をめちゃくちゃに砕かれるような、その仮初の命を無理やり別のものにつくりかえられるような。
そして。
オオオオオオオオオオオオオオ……!
「【
真っ黒な空洞が爆ぜ割れ、おぞましく巨大な黒い【玉】が顕現する。
原型をとどめないほどに凝縮された無数の死霊たちの肉体と魔力を内包し、怨嗟の声とともに。
「さあ。いきなさい……! 憐れで惨めな死霊ども……! 主たる我が敵を押し潰せ……!」
オオオオオオオオオオオオオオ……!
【死霊聖魔女王】めがけて降下をはじめた青い【月】と、ひとりでに浮かび上がったおぞましい黒い【玉】が空中で激しく魔力を散らしてぶつかり合う。
「う、うううぅ……! ロ、ロココちゃん……!」
「ディシー……! がんばっ……て……! もう少……し……!」
【月】を制御するディシーと、それを呪紋で前へと押すロココ。
「「あああぁぁぁっ……! く……だ……けぇぇぇっ……!」」
ふたりの叫びとともに、青い【月】と赤い呪紋がひときわその輝きを増す。
オオオオオオオオオォォォァァァ……!
そして、青と黒と赤の魔力がほとばしり、怨嗟とも断末魔ともつかぬ声とともに黒い【玉】が砕け散った。
だが、直後。
「【
「「……え?」」
黒い【玉】との衝突により、その魔力と大きさを減じた青い【月】を【死霊聖魔女王】の振るう巨大な【光】と【闇】の刃が十字に断ち落とした。
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