第131話 つないだ力。
「う、うふふふふ……! あはははは……!」
沈む陽に赤く暮れるグランディル山の頂。瓦礫跡と化した遺跡に、【
「あはははははははははははは!」
自らの手で十字に裂いた青い【月】の残骸を見上げる【死霊聖魔女王】。そのつり上がった笑みが深みを増した――愚かにも自らが勝利したのだと思いこんで。
「まだ……だよ……! ロココ……ちゃん……! 手伝っ……て……!」
「わかっ……た……! ディ……シー……!」
地面にひざをつき、息も絶え絶えなふたりが同時にその両手を虚空へと伸ばした。
その先にあるのは、青い【月】の残骸。そして、いまもまだ虚空に漂う青と赤と黒と金、色とりどりの魔力の欠片。
「「もう……一度……!」」
僕たちの最後の切り札。【
その性質は、制御を失った魔力を吸いこみ、どこまでも際限なく大きくなるもの。
そう。この砕かれた青い【月】の欠片も。裂かれた赤い呪紋も。爆ぜ割れた黒き【玉】と十字に刻まれた【光】と【闇】の残滓も――それはすべて制御を失った魔力にほかならない。
ゆえに。
「あ、ありえ……ないわ……!?」
空にふたたび青い【月】が顕現する。膨大な魔力を吸収し、先ほどまで以上の威容をもって。
「「う、うううぅぅ……!」」
「はっ……!? そ、そうよ……! そうだわ……! さっきまでだって維持して無理やり動かすのでやっとだったんだもの……! うふふ……! なら、消耗しきったいまなら、ふたりがかりでも、ほら……! いまにも崩れそうじゃない……! あははははは!」
「「もう少……し……だけ……!」」
「あはは! 無駄よ! いくらあがこうと、貴女たちごときの力では――」
「「ノエルが……つなぐ……まで……!」」
「な、に……!?」
すでに駆けだしていた。
ふたりがその強い意志を秘めた瞳で両手をふたたび空へ、僕たちの最後の希望へと伸ばしたときには。
受けとるために。つなぐために。
いま、僕は宙へと跳び、【月】を斬る。
「受けとったよ……! ディシー……! ロココ……!」
赤く暮れる空の下。地に降り立った僕の手には青い【光】の刃が握られていた。
それは、わずかに残された黒刀の刃先。そこに閉じこめた【
「ノエルゥゥ……! レイスゥゥゥッ……!」
ついに自らを殺しうる脅威をその手にした僕に向けて、【死霊聖魔女王】がその外面をかなぐり捨て、醜悪な形相を向ける。
「【死霊聖魔女王】〝玩弄〟のネクロディギス・マリーア……! これで正真正銘、本当に最後だ……!」
そして、【
【
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