第94話 新生【輝く月(ルミナス)】の戦い。中編。
「我は刻み、我は
ディシーの詠唱が終わったその瞬間。黒き精霊が、新たな魔法を刻まれた【珠】が――肥大化した。
それと同時に、僕は巻きこまれないように大きく距離をとる。
『ナッ!? コ、コレハッ!?』
【
それが――
「いっけぇぇぇぇぇっ! 【クロちゃぁぁぁぁん】!」
『グゴガォォォォォァァァァァァッ!?』
――ディシーのかけ声とともに、【
それは、もっとも純粋な暴力だった。高速で突進する超巨大質量の前に、身を守る黒い炎を失った【
だが。
『グッ……! ガァァァァァァァァアッ! オノレェェェェェェェッ! 人間ドモォォォォォッ! 我二コノ姿ヲ、サラサセオッテェェェェェェェッ!』
一体の、額に黒い宝石のようなものを埋めこんだ
ああ、そういうことだったのか。とようやく僕は得心する。
暗殺者として鍛えた僕のこの目をもってしても、【
だが、その理由があの髑髏の巨人が文字どおりの張りぼてにすぎず、あの矮小な
『ガァァァァァァァァッ! イマハァァァッ! イマハ退クゥゥゥゥッ! ダガ、コノ次ハ必ズ貴様タチヲ消シ飛バシテェェェェェェェッ! ガァァァァァァァァッ!』
どうやらあまりの怒りに、うまく言葉すらでてこないらしい。
けどね、【
「
『グガァァァァァァァァッ!?』
間髪入れずに放たれたロココの赤い呪紋が【
『グ……ウウウウウウォォォォォァァァァッ! ス、スベテッ! スベテェェェェェェェッ! 燃ヤシ尽クセェェェェェェェッ! ソノ命ノ残リ火、我ガタメニィィィッ! 死霊ドモォォォォォッ!』
ロココに射抜かれた半身のうち右腕をガラガラと崩しながら、【
オオオオオオオオオオオオオオ……!
「うわっ!?」
「んっ……!?」
「ひゃあっ!?」
そして、戦場の見渡す限りすべての
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