第93話 新生【輝く月(ルミナス)】の戦い。前編。
『タカガ人間風情ガ舐メタ口ヲ叩クナァァァァァッ! 女ァッ! 貴様ノスベテッ! 焼キツクシテクレルゥゥゥゥッ! 受ケヨォォォォォッ!
激昂とともに、ふたたび【
「ノエル。ここは私にまかせてもらおう」
【
「続け。いま、私が道を切り拓く。【
ニーベリージュの左の赤の瞳だけが尾を引くような眼光を宿し、全身にまとう青い炎がさらに揺らめきを増した。
「――
そして、それが最も強くなった瞬間に、
「はああああああああああああっ!」
そして、雄たけびとともに、黒い炎の壁をぶち破り、風穴を開けた。さっきディシーが精霊で開けたよりも大きな穴を。
代わりに、その身にまとう青い霊火をほとんど失って。
「はあっ……! はあっ……! さあ……! いけ……!」
激しく息をつくニーベリージュ。だが、その左の赤い瞳に宿る尾を引く眼光はいささかも失われていない。
だから、その思いに応えるべく、僕たちは行動を開始する。
「
僕のうしろでぶわり、と魔力を含んだ風が巻き起こり、ロココの【
いくつもの赤い呪紋がまっすぐに【
『愚カナ人間ガァァァァッ! 二度モ同ジ手ガ通ジルト思ッタカァァァッ!
黒い炎の守りを失った、鎧をまとう髑髏の巨人の周囲から、黒い死霊の手が無数に伸び、ロココの赤い呪紋と衝突する。
「――いや、思ってないよ? レイス流暗殺術、【
『ナニッ!? グガァァァァァァァァッ!?』
そのロココを囮に、すでに僕は【
渾身の魔力をこめて左右から同時に剣撃を挟みこみ、大剣を握ったその左手を断ち落とす。
『人間ガァァァァァァァァッ!』
重々しい音を立てて大剣が地面にめりこむと同時。怒りにまかせて振るわれた手の先を失った巨大な左腕の一撃をかわしながら、僕はこう忠告した。
「ねえ、【
『ナニ……!?』
そして、なぜそんな忠告をしたかといえば、それはもちろん――
「我は刻み、我は
――いまさら気がついても、もうどうにもならないタイミングだったからだ。
ちょうど【
黒の精霊がその刻まれた破壊の暴威を顕す。その骨の顎を驚がくに大きく開いた【
♦♦♦♦♦
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