第87話 私が望むのは。※別視点
『フン……! ツマラヌナ……! 人間ヨ……! マサカ我ガ
『はぁっ……! はぁっ……!』
高く上る太陽が照らすガルデラ山の奥地。
手にした
『ソレデ……! 丸腰デ次ハドウスルツモリダ……? ソレトモコレデ終ワリカ……! 人間……!』
怒気すら含むその視線に射ぬかれながら、私は動揺が止まらなかった――自分自身への困惑と憤りで。
なぜだ……!? なぜ逃げた……!? なぜ
この場で戦いぬいて、死ぬ覚悟を決めたのではなかったのか……!?
『くっ!』
感情がさだまらないまま、腰の亜空間収納の指輪からもうひとつの武器――
『ホウ……? マダ戦意ヲ失ッテハイナカッタカ……! ダガ、ズイブント貧相ナ得物――イヤ、ソウカ……! 貴様、女カ……!』
がらんどうの髑髏の巨人の口が大きく開かれた。
『ククク……! ソウカ、女カ……! コレハイイ……! モウ一、二発間合イノ外カラ
『下衆が……!』
『グハハハハ……! ソンナ遠クデ吠エテモ空シイダケダゾ……! サァ来イ、女ァ……! ソノ
がらんどうの髑髏の巨人が大剣を腰だめにかまえた。
……ああ。どうやら、本当にこれが最後なのかもしれないな。
だが私が望むのは、辱められた惨めな【女】としての死ではない。戦場で戦いぬいた末に散る【英雄】としての死だ。
なればこそ、二度と先ほどのように無様に逃げることなどしまい……! たとえあの大剣と刺し違えてでも、奴に一矢報いてやろう……!
父さま、母さま。……兄さま。どうか見ていてください。ニーベリージュの……ニーベの最後の戦いを。
そして、どうか迎えいれてください。【英雄】の血脈に恥じない生き方だったと私を褒めてください。彼の地にて、どうか……!
『いくぞ! 【
♦♦♦♦♦
本作を面白いと思って頂けましたら、是非タイトルページで☆による評価、作品フォローや応援をお願いいたします!
読者様の応援が作者の活力、燃料です!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます