第88話 死地。※別視点
『いくぞ! 【
『クハハハ……! 来タカ……! 女……! ドコマデヤレルカ、愉シマセテモラウゾ……! サア、マズハコレヲ……カイクグッテミセロォォォッ!』
高く上る太陽が煌々と照らすガルデラ山の奥地。
反射的に避けようとする体を無理やりに踏みとどまらせ、私はそのまま前へと突っこんだ。
『ナニ……!? 避ケヌダト……!? マサカ……!? 貴様、死ヌ気カァッ……!?』
ミシリ、と左から大剣の刃先が【
さあ、これで最期だ……!
右手にかまえた
ビキキ……!
ついに黒鎧の一部が砕け、その刃先が私の体へと食いこみ始めた。同時に私は
「レイス流暗殺術! 奥義! 【
『ガァァァァァァァァアッ!?』
――その瞬間、高速で突進してきたなにかによって、【
その激しい衝撃に、思わず無様にも尻もちをつく。
私が【
体に食いこみかけた大剣がズウンッと重々しい音を立てて地面に落ちる。
『グガオオォォォォォッ!? 我ガ、我ガ腕ガァァァァァァァァッ!? オノレ、オノレェェェェェェェッ! 貴様、何者ダァァァァァァァッ!』
私のすぐ目の前。ひざをつき、荒い息を整えていた少年がその【
「ノエル・レイス。暗殺者」
黒い刀をかまえ油断なく前を見すえる、冒険者ギルドで逢った少年――ノエル。
「ノエル……!」
「ノエル~!」
次いで、あのときノエルといっしょにいたふたりの少女が後ろから追いついてくるのがわかった。
突然絶対の死地から逃れ、目まぐるしく変わった事態に――想像もしていなかった救援にまったくついていけないまま見上げる私に、ノエルが前を向いたまま宣言する。
「ニーベリージュ。あなたは僕が――僕たち【
そのノエルの言葉は、私の心を、胸を、激しくかきむしった。
――独り、固く定めたはずの覚悟さえも揺さぶるほどに。
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