第47話 謎めく【自由】。
※羅列しますが一個も覚えなくていいです。
「えーっと、私が知ってるだけで、さっきディシーちゃんが入った【
冒険者ギルドの受付の前。
フェアさんがふと漏らしたひと言に引っかかりを覚えた僕は、【自由】と名のつくパーティーについて教えてもらっていた。
その結果わかったことは、【自由】と名のつくパーティーは優に10を超え、それこそギルド職員のフェアさんが把握しきれないほどにあること。
パーティーの構成がみんな同じで、
そして、もうひとつ。これだけの数がいるにもかかわらず【自由】と名のつくパーティーは、すべてにおいてほとんど活動実績がない。数えるほどのクエストしか受けておらず、冒険者ギルドに顔を出しても特になにもせず、たまに新人らしき冒険者の女の子に声をかける以外はだらだらと時間をつぶしているだけ。
さっきの【
「えーっと、いまわかるのはこんなところだね? じゃあ、冒険者ギルドからのパーティー情報照会料として1万
「うん。ありがとう、フェアさん」
フェアさんに調べてもらった情報料を手渡しながら、僕はいま手に入れた情報を頭の中で整理しはじめた。
……めったに顔を出さず、ほとんど活動実績もない。もっと言うならまじめに冒険者をやる気もない。そんなパーティーが偶然ディシーに出逢って、【闇】属性であるにもかかわらず受け入れた?
……そんな偶然、ありえるのか? いや、ありえたとして【
なにを目的としている集団なんだ?
いまも僕の鼻には、あの甘ったるいにおいがついて離れなかった。思い返すたびにわずかに不快感を覚えるほどの甘ったるいにおい。
……なんにしても、行って確かめる必要がある。
「助かったよ、フェアさん。じゃあ、次はこれ受けつけてくれる? 僕とロココでこの討伐クエストを受けようと思うんだけど」
さっきクエストボードからはがしておいた3枚の紙をピッ、とフェアさんに渡す。
「あ、うん! ……って、え!? さ、3種類も同時に受けるの!? しかも難易度B級のクエストばっかり……!? えっ!? A級も一個混じってる……!?」
「うん。ごめんね、フェアさん。僕とロココにはちょっと物足りないクエストばっかりだけど、なんせ急ぐからね」
「え!? い、いやそういう意味じゃ……!? むしろ逆……!?」
なおもなにやら言い募るフェアさんをよそに受付が受理されたのを確認すると、僕はさっときびすを返した。
さあ行こう。目指すはこの【リライゼン】の街の北に広がるグランディガルド連邦を構成する山のひとつ、この街に一番近いガルデラ山。
さっき感覚強化で
「よし。行くよ、ロココ」
「うん、ノエル。初めてのいっしょのクエスト。……楽しみ」
「そうだね。……僕もワクワクするよ」
さあ、始めないとね。僕とロココのいまの実力の確認と、【
一石三鳥を果たすクエストを。
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