第4話 愛すべき人〜1つになりたい〜
それから、数か月が過ぎ。
あの日以来、私の心を狂わすように、お兄ちゃんは時々唇を何度も奪いキスをしてくる。
そんな私もキスをしていく。
体の関係になる事はないものの、私達はまだ取り合えず練習台としてと言い聞かせ、相変わらず仲の良い兄妹を演じていた。
だけど、私の心は物足りなさを感じ始めていた。
もっと触れたくて仕方がなくて………
そんなある日の事だった。
お兄ちゃんが女の人といる所に遭遇。
その日の夜。
「お兄ちゃん、入るよ!」
ガチャ
ドアを開けるとベッドの側で寄りかかり腰をおろしていお兄ちゃんに抱きついた。
「うわっ!抱きつくな!」
「兄妹でしょう?」
「いや…そうだとしても…もっと行動には気を付けてもらわねーと」
「どうして?」
「…どうしてって…」
グイッと腕を掴みベッドに押さえつけられたかと思うと、キスをされ深いキスをされ、首すじに唇が這う中、上着の洋服の下から手が入り込む中、胸元から下に唇が這う。
私の胸には、お兄ちゃんの手が伸びていた。
「最近のお前…俺に求め過ぎなんだよ。兄妹な以上、先には進むわけにはいかねーんだよ!つーか、大事な妹に手ぇ出すわけにはいかないから」
「じゃあっ!中途半端でキスとかするの辞めてよ!先には進めないなら…どうして…?…こんな想いになる位なら兄妹じゃなかったら良かった…キスなんてするんじゃなかった…大体、コトの始まりはお兄ちゃんが…」
キスされた。
「俺だって…辛いんだよ…キス止まりで先には進めなくて…1つになりてぇとは思うけど…お互い違う相手見付けた方が良い…悪いな…部屋戻ってくんねーかな?音羽…」
「………………」
私は泣きそうになった。
「…そう…だよね…分かった…もう…お兄ちゃんには近付かない…彼女、つくれば良い。私も彼氏つくるから」
私は部屋を出て行った。
お互い溢れる思いで
いっぱいだった
どうして…私達は兄妹だったのかな?
こんなに辛い想いするくらいなら
出逢わなければ良かった……
兄妹じゃなかったら
良かったのに……
私達はお互い
愛すべき人に変わっていた……
ある日の学校帰り、正門を出てすぐの時だった。
「ねえ、彼女、可愛いね」
「えっ?」
「本当!彼氏はいるの?」
「いいえ…」
3人の男子生徒に囲まれる。
良く見ると、お兄ちゃんの同級生と思われる。
前に不良っぽい奴いるから気を付けろ!
そう、お兄ちゃんから言われた事がある。
そんな彼等に私は声掛けられてしまった。
逃げる術ある?
他の生徒は通るも、みんな見て見ぬふりだ。
無理もない。
相手は不良だ。
何を仕掛けてくるか分からない。
「ねえ、今から遊びに行かない?」
「い、いいえ…行きません…私、帰らなきゃ」
グイッと肩を抱き寄せられた。
「良いじゃん!」
「や、やだ!離して!」
「可愛い〜♪」
「行こう!行こう!」
強制的に連れて行こうとする。
「や、やだ!行かない!」
その時だ。
「その手離せよ!」
「あ?」
「お兄ちゃん!」
「お兄ちゃん?」
「あー、悠木の妹かよ」
「どうりで可愛いはずだ!」
「美男美女兄妹で仲良いって有名だもんな〜」
「まあ、美男美女と言うより…イケメン、可愛い兄妹?なあ、悠木、ちょっと位、妹貸してよ」
「妹はモノじゃねーし!」
私は、彼等を何とか押し退け、お兄ちゃんの背後に駆け寄る。
「妹ちゃ〜ん、家に帰ればいつもお兄ちゃんと一緒なんだし、たまには羽目外して遊びに行こうよ」
「嫌っ!」
「悠木、説得してよ」
「断る!大事な妹、渡せるわけねーだろ?つーか、何かあったらあんたら責任取れんの?大事な家族が絡んでる悠木家と、騒動や問題起こしたら立場悪くなるんじゃねーの?お互い、嫌な思いしたくねーだろ?」
「おい!行くぞ!」
彼等は去って行った。
「お兄…ちゃん…」
「…帰るぞ!」
「…うん…」
私達は帰り始める。
「お兄ちゃん…手…繋いで良い?」
「えっ?」
「…ごめん…辞めた方が良い…」
スッと私の手を握る。
「兄妹だから別に良いんじゃねーの?」
私達は手を繋ぎ帰る。
家に帰りつくと玄関のドアに押し付ける。
ドキン…
「お兄…」
キスされた。
「本当…一層の事、兄妹じゃなかったら良かったのにな…」
グイッと私の手を掴み部屋に向かう。
ドサッとベッドにお兄ちゃんは押さえつけキスをする。
深いキスを何度もされ、気付けば私達の制服は乱れていた。
「…何で…妹なんだよ…!」
「お兄ちゃん…」
私は両頬に優しく包み込むように触れる。
「……………」
そして、抱き寄せ、抱きしめた。
「もう…悩むの辞めよう…」
「えっ……?」
「子供さえ出来なければ良いから1つになろう…お兄ちゃん…ううん…今日は…もう…兄妹なんて考えは捨て…」
言い終える前にキスで唇が塞がれる。
「俺よりも…お前が…随分と大人だな…」
「えっ…?お兄…」
スッと人差し指で、私の唇に触れる。
ドキン…
「兄妹の考え抜きなら、呼び方あるだろう?音羽」
ドキン…
真剣な眼差しで、一人の男の人と思わせる瞳の奥からのぞく視線に胸がドキドキ加速する中、胸がざわつく。
「痲那渡…」
「良く出来ました」
キスをされ深いキスをされる。
「他の男に奪われるくらいなら…音羽の全て俺がもらう…良いよな?」
私はゆっくり頷く。
「さっき、すっげえ嫉妬した。家族である妹守らなきゃって思う中、大事な女守らなきゃっても思った」
「…………………」
ねえ神様
私達は
過ちを犯します
兄妹だけど
私は
兄である
悠木 痲那渡が
大好きです……
〜 Manato side 〜
いけない事だと分かっていた
だけど…
妹である
彼女を独り占めしたいと……
妹でなければ
良かった……
でも俺は…
そんな妹である
悠木 音羽が
大好きなんだ……
「音羽…少しの間我慢して…」
「…うん…」
怖かった……
私はお兄ちゃんであり
一人の異性である
彼・痲那渡に
抱きつくように身を委ねた
ゆっくり
ゆっくり
身体全身に微かに広がる
痛みに耐えながら
貫かれる熱が
徐々に
私の身体に入っていくのが分かる
「音羽…良く頑張ったな…」
「…痲那渡…」
私達は
俺達は
1つになり
兄妹という絆を
引き裂くかのように
無我夢中で
愛し合った
こんな俺達、私達に
神様は
どんな罰を
与えますか…?
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