第3話 恋の歯車〜運命が狂い出す〜

「音羽ーー」



「………………」



「おーい、音羽、入るぞ!」



カチャ

ドアが開く。



「音…寝てんのか…」





歩み寄るお兄ちゃん。


正直、微かに起きていた。


ちょっとイタズラ心で、徐々に歩み寄るお兄ちゃんの足音を聞きながら驚かそうとして準備していたのだ。




「………………」



そして、ベッドに腰をおろす、お兄ちゃんを感じる中、


“よし!チャンス!” そう思う中、目を覚まそうとした瞬間、私の顔の側に手の温もりを感じる。




《えっ…?》



「………………」



何となく、何かを感じる中、顔が至近距離にある気がしてならなかった。


顔に微かに息がかかる。




《ちょっと…待って…!》




私は胸がドキドキと加速していく。





次の瞬間、私の唇に温かいものが重なったのが分かった。




《えっ!?》


《こ、これって…まさか…キスされてる…?》




目を開けたいけど、現実を見るのは怖かった。



そして、私の唇が温かいものが離れ、部屋を出ていくのが分かった。



「………………」



「…お兄ちゃん…?」



私も起き上がる。




「…俺…何してんだ…?」





二人の心は


狂い始めていた


いつからだろう?


ゆっくり


ゆっくりと


恋の歯車が


おかしくなっていた





この日を機に、私達は別行動を始める。




「お前ら喧嘩でもした?」


「えっ?」


「いつもラブラブカップル並みの見せつけはどうしたんだ?」


「あー、ちょっと…喧嘩したから」


「ふーん…」






一方。



「音羽、どうかした?」


「えっ!?」


「お兄ちゃんにラブラブ光線は?」


「あー…喧嘩しちゃって…」


「珍しい!」




私達の関係を良く知る人からしてみれば、不思議なくらい珍しい光景かもしれない。


だって、本当にラブラブカップルみたいに私達は兄妹仲が良かったのだから。





そんな私に告白してくる生徒が現れた。



一先ず付き合ってみるも、すぐに別れてしまった。



「音羽?」


「お兄ちゃん…」



学校帰り、公園のベンチにいる私を偶々、見かけ遭遇したと思われる、お兄ちゃんが私に気付き足を止めた。




「帰らないのか?」


「…うん…」


「でも、ここにいても」


「そうだね…」



私は立ち上がり、お兄ちゃんの手を握る。




「一緒に帰って良い?」


「そんなの兄妹なんだから」


「そっか…」




私達は手を繋ぎ帰る。

色々、話をしながら帰宅する私達。



「何かあったのか?」


「付き合っている人にフラれた…」


「えっ!?」


「友達から付き合っていたんだけど…」


「そっか…お前も、そういう年齢か…」


「お兄ちゃん…?」


「またイイ奴現れるって!男は、そいつばかりじゃねーから!」


「…そう…なんだけど…ねえ…お兄ちゃん…元気になるおまじないして♪」


「えっ!?おまじない?」


「うん」


「そんな、おまじないは…ない!」


「あるよ!」


「ない!」




「…………………」




「じゃあ、私が自分から元気になるおまじないする!」


「えっ?」



そう言うと、お兄ちゃんにキスをした。




「お、音羽?ちょっと待て!俺達は…」


「兄妹だよ…でも…お兄ちゃんだって私に…」



「………………」



「…あれは…」




お兄ちゃんの唇に手でなぞるように触れる。




「気のせいかと思ったけど…私の唇奪ったの…紛れもなく…今…目の前にいるお兄ちゃんなんだよ…」




グイッと手首を掴まれ、ドアに押し付けるとキスをされ、首すじに唇を這わせた。



「待っ…」


「…なあ…音羽…お前、前に兄妹であんな事やこんな事する人いるのかな?って言ってたよな?」



「………………」



「…俺だったら良いんだろう?」


「お兄…ちゃん…」


「正直、俺、時々、お前の事、妹として見れない時あるんだよね?異常かな…?と…思ったけど…。どうやら…こんな気持ちになるのは…兄妹以上の気持ちの中に…俺達の知らない何かがある気がしてならなくてさ」




再びキスされ深いキスをされる。




「………………」



至近距離で見つめられる視線が、私の胸がドキドキ加速していく。


兄妹という間柄、お兄ちゃんが見つめる熱っぽい視線と男の人を思わせる視線は私の胸はざわつき、私の心を狂わせていく。




































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