第2話 想い
「お兄ちゃん。今日、パパ達いないんだって。だから私が美味しい手料理作ってあげるね♪何、食べたい?」
「何でも良いよ」
「何でも良いが、一番難しいんだよー」
「じゃあ、カレー」
「カレー?じゃあ、材料買いに行って来るね」
「待て!俺も一緒に行くから」
「良いよ。一人で大丈夫だから」
「良いじゃん!別に、一緒に行くのも。たまには良くね?ほら!支度して行くぞ!」
「そう?じゃあ、一緒に行こう!」
私達は出掛ける。
買い物先には近所の人が利用しているのもあり、顔馴染みの人達と遭遇しては会話をする中、すっかり時間が遅くなってしまった。
私達は二人でキッチンに立ちカレーを作る。
「ありがとう。お兄ちゃん」
「えっ?」
「いや、まさか手伝ってくれるなんて思わないから」
「自分達が食べるのに、お前一人に負担かけせるわけにはいかないじゃん!」
「じゃあ、将来、結婚したら2人で共同作業してあげるの?」
「あー…どうなんだろう?」
「やっぱり…お兄ちゃんも変わるのかな?」
「えっ?」
「いや…結婚したら、男の人って変わるって言うし…主婦業、奥さんにばっかり負担かけせるのかな?って」
「…あー…でも俺は、一応、出来る限り協力してあげたいかな?やる事沢山あるだろうし。仕事していたら尚更、分担した方が良いと俺は思うけど」
「そうか…じゃあ、お兄ちゃんの中で家事、育児は協力的なんだね」
「ああ。だって子供も男と女がいて、そして夫婦あっての神様からの授かりものだろう?男と女がいないと成立しないし」
「………………」
それは、つまり関係を持つ事を踏まえた上の答えなのだろう?
男と女は愛し合い、愛情を注ぎ合う。
一般的な考え。
私は、まだ、詳しい認識はないけど、男と女が、そういう行為をする事は大切な事のような気がする。
「音羽は、協力的な旦那さんが良い?」
「そうだな〜。奥さんばかりに分担かけさせる相手は嫌かな?勿論、旦那さんも仕事で疲れているだろうし、休日とかゆっくりしたいかもしれないけど…やっぱり協力的じゃないと…」
「じゃあ、そういう相手探さなきゃな」
「一層の事、結婚しないのもありだよね」
「女の子の最大イベントなのに?」
「そうだけど、でも、分からないじゃん!お兄ちゃん、この際、私をお嫁さんに貰って♪」
「おいっ!」
「アハハ…嘘、嘘!良い男、ゲットしまぁ〜す♪お兄ちゃんみたいな」
「俺に拘(こだわ)るな!俺達は」
「「兄妹だ!」」
同時に言う。
「そ、そう!」
その日の夜も更けた頃。
「お兄ちゃん…起きてる?」
「………」
灯りはついてるも反応がない。
私はドアを開ける。
「お兄ちゃん…?」
そんな私の目に飛び込んだ画面に驚き、テレビの電源を切った。
「えっ…?うわっ!お、音羽っ!?」
「声かけたけど反応なかったから!そしたら、Hなやつ見てるし!信じらんない!」
「いや…これは…」
「彼女もいないくせに見て何になるわけ!?」
「べ、勉強。研究してんだよっ!」
「そんなの見た所で変わらないじゃん!ただ、興味あるだけでしょう!?」
「大体、見るのに何処が悪いんだよ!」
「第一、そ、そんなの話し合ってすれば良いじゃん!」
「えっ…?」
「するだけの能力しかないのも、どうかと思うけど!?もう良い部屋に戻る!」
私はお兄ちゃんの部屋を出ていく。
一緒に寝たいと思ったけど、あんなの見て一緒にいる事は出来ない。
「………………」
「…最初…痛いとか言うけど…やっぱり痛いのかな…?」
正直、私も興味がないわけじゃないけど、怖い方が強い。
「……みんな…どうやって壁を乗り越えてるのだろう?」
「そんなの…」
ビクッ
突然の声に驚き、目を向ける。
「お互いが好き合ってるなら頑張って乗り越えられだろう?」
「お兄ちゃん…」
「男も大事な女(ひと)の為なら、それに答えてくれるだろう?俺は、そう思うけど?」
頭をポンとする、お兄ちゃん。
トクン…
微かに小さく胸の奥がノックする。
「で?何か用事あったんじゃねーの?」
「えっ…?べ、別に…」
「一緒に寝る?眠れないんだろう?」
「………………」
お兄ちゃんは、お見通しだった。
「音羽は前から、そうだったもんな?」
微かに微笑む、お兄ちゃん。
トクン…
再び小さく胸の奥がノックした。
「来な!」
私はお兄ちゃんの洋服の袖を軽く掴む。
そして、ベッドに移動した。
「…お兄ちゃん…」
「ん?」
「兄妹で…あんな事やこんな事…する人いるのかな?」
「…えっ…?」
「…私…初めての時…怖くて仕方がないよ…一層の事、最初はお兄ちゃんとの方が…」
「お、音羽?そ、それ、問題発言だし!そんな事は現実では、存在しないと思うけど…でも…正直、言い切れない。つーか…あってはならないような…」
「…そうだよね…ごめん…」
私はスーッと眠りに入った。
「…………………」
「…だけど…時々…妹に思えない時あったりするんだよな…んん??お、俺…異常か…!?」
そんな私も時々、お兄ちゃんと思えない時がある。
さっきだって、Hなビデオを見ているお兄ちゃんに違う感情があった。
そんなの見てほしくなくて、お兄ちゃんが遠くに感じて私の全てを見て欲しいって…複雑な気持ちになった。
数日後の朝。
学校の準備中――――
「音羽ーーー、学校遅刻……」
ガチャ
私の部屋のドアか突然開いた。
「きゃああっ!」
「うわああっ!」
着替え中。
モロに見られた。
慌てて閉めるお兄ちゃん。
少しして。
「入る時くらいノックしてよっ!」
「いや…悪い…つい…」
「ついって…」
「…ごめんっ!」
「全く!」
私達は騒ぐ中、学校へと向かう。
「しかし、見ない間に成長したな」
「えっ…?」
「出る所出て、良い女…」
ドカッ
荷物で殴る私。
「ぶっ!」
「Hっ!しっかり見ちゃってくれてるんだね!第一、そんな事、思ってても口に出して言うものじゃないでしょう!?最低ーーーっ!エロ兄貴っ!スケベっ!変態っ!」
「なっ!」
私は足早に行く。
「あっ!おいっ!音羽?…アイツ…そんな傷ついたのか?兄妹なんだけどな…」
「あれれ~、今日は仲が、お悪うございますね〜悠木 痲那渡君」
「うわっ!何だよっ!お前は、いっつも、いっつも」
2人は騒ぐ中、学校へと向かうのだった。
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