氷平線のストレンジャー

天上 杏

第1話 scrapbook

【冬の阿寒湖あかんこに潜む危険 湯壺ゆつぼに注意】


 11日に行われた阿寒湖畔ジュニアスピードスケート競技会(阿寒スプリント)の傍らで、アクシデントが発生した。

 競技会に出場していた鮎川あいかわ哲也てつやくん(9)が行方不明になり、会場は一時騒然とした。

 警察と消防が出動する中、哲也くんを見つけたのは姉の美咲みさきさん(13)。

 美咲さんによると、哲也くんは凍結した湖の氷が薄くなった湯壺ゆつぼに足を取られ、危なく落水するところだったという。

 美咲さんの機転の利いた判断により、哲也くんは一命を取り留めた。

「弟は以前も釧路湿原でタンチョウを追いかけて迷子になったことがあった。今回もタンチョウの羽の音を聞いて奥まで足を踏み入れたようだ。阿寒湖にタンチョウが生息しているというのは聞いたことがないため不思議に思う」

 阿寒湖は湖底から湧き出る温泉により、一部氷の張らない場所や、氷が張っているように見えても実は薄氷という「湯壺」が発生する。

 同観光協会によると今年は例年に比べて湯壺の数が多いと見られ、より一層の注意が必要だ。

 冬の阿寒湖にはフロストフラワーやアイスバブルなど風物詩が多いが、鑑賞の際には必ずガイドの引率を伴い、事故の無いように気を付けたい。


(1月12日付 道東日報)

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