第16話 ボクたちのクリスマス
9月にボクと彼方が正式に恋人になってから、初めてのクリスマスだ。
毎年、彼方には漫画をプレゼントしてるんだけど、さすがに今年はそれは避けた。
悩みまくって、珠ちゃん、鶴ちゃん、華ちゃんの3人に相談し、買い物にも付き合ってもらって、ようやく買うことができた。クリスマスプレゼント1号を。
クリスマスプレゼント2号は準備済み。
クリスマスプレゼント3号は少しずつ作成中で、もうすぐ終わるから余裕で間に合う。
ボクの準備は万端と言って良かった。
そして迎えた24日、クリスマスイブ。
今日は短い時間しか一緒に居られないけど、明日以降はいっぱいいちゃいちゃできる。
でも彼方が、準備したお菓子もジュースもそっちのけで、ものすごい熱いキスをいっぱいしてくるから、スイッチが入っちゃった。どう考えても彼方のせい。
ダメ元でおねだりしたけど・・・。
「明日までお預けだ。いい子で待てるだろう?」
そんな風にちょっぴりいじわるな顔で言われたらボクが逆らえないって、もうバレちゃってる。いいぞ、もっとボクに命令しろ。エッチな命令ならなお良し。
「・・・はぁい・・・///。」
内心どきどきしながら、顔はちょっぴり不満そうなボクに彼方がくれたプレゼントは、ものすごく素敵な、可愛いペンダントだった。
青い石が一つだけあしらわれたシルバーフレームの雫の形のペンダントトップ。
この彼方からのペンダントが、
彼方好みのボクに育てて欲しいな・・・。
そんな風に言ったら、彼方はちょっと恥ずかしそうにしてた。可愛い。好き。
「じゃあ、ボクからもプレゼントです。」
机の引き出しに入れてたプレゼント群を持ってくる。
「なんかいっぱいあるな。」
「ふふーん。気合入れて準備したんだ。はい、まずはこれー。」
最初に渡したのはプレゼント1号。珠・鶴・華の3人にいっしょに選んでもらった分だ。お店の袋に入ったそれを彼方に渡す。
渡された紙袋を彼方が丁寧に開けて中身を出す。
「マフラーか。色合いが大人っぽくて洒落てるなあ。」
選んだのは6色くらいの細いストライプで、落ち着いた色味のマフラー。あんまり派手なのは彼方の好みじゃないからね。華ちゃんからはもっと派手でも似合うって言われたけど、これでいいのだ。
彼方が軽く首に巻いて肌触りなんかを確かめている。
「似合ってる。カッコイイよ。」
「ありがと。大切に使うな。」
頭を軽く撫でてくれた。ふへへ。顔が崩れてるので俯いて隠す。
それに本番はこれからだ。
「じゃーん。プレゼント2号ー。どんどんぱふぱふー。」
「おおー、封筒?」
渡したのはA4サイズの味もそっけもない、封をしてない白い封筒。
中身は・・・。
「こ、婚姻届?」
そう、ボクの欄はすべて記入捺印済みの婚姻届だ。
ネットで無料ダウンロードした花柄デザインの可愛い奴だ。
電話で地元の役場に利用できることは確認済み。
捺印はおばあちゃんにお願いして押してもらった。
「あとは彼方の分を書くだけにしてあるよ。いつでも彼方の好きな時に出してもらっていいけど・・・できればいつか、一緒に出しに行きたいな・・・。」
ちょっと重いかなーとも思ったけど・・・すぐは使えないし、覚悟を示すものだから、別にいいのだ! 多分・・・。
彼方は真剣な顔でその書類を眺めていたけど、丁寧に封筒に戻して、鞄の中にしまった。
「大切に保管しておくよ。一緒に出しに行こうな。」
って言って微笑んで、優しくキスしてくれた。
大丈夫とは思ってたけど、受け入れてくれてちょっと安心したから、ぎゅうって抱き着いた。
「えへ、次はプレゼント3号だよ。」
「お、おう。いくつあるんだ?」
「次で最後だよー。」
ボクは小っちゃい紙袋に入れたプレゼント3号を彼方に手渡した。
「これは・・・単語帳? あれ、もう何か書いてある・・・? え・・・は・・・?」
これはさすがのボクも恥ずかしかったので、するっと彼方に抱き着いて顔を胸に埋め、見られないようにした。
「『<<彼方専用!>> 双葉使用券集』?(ぺらり)・・・うお?!・・・ふ、『双葉のお口使用券』?(ぺらり)・・・『双葉のお尻使用券』(ぺらり)・・・『双葉に目隠し使用券』(ぺら)・・・『双葉に手錠使用券』(ぺら)・・・。え、何枚あるんだこれ(ぱらぱら)・・・ええ・・・白紙のページが無い・・・。『双葉とお散歩券(おもちゃつき、リモコンあり)』?!・・・。」
「あの・・・彼方、いつも優しいから・・・。ボクに気を遣って、したいことを我慢してたら、ヤだなって・・・思って・・・ネットで男の人が好きそうなの、調べて、作りました・・・。」
はい、ウソー! 本当はボクがして欲しいだけですー!
いつもお世話になってるサイトのジャンルの一覧とかから、ボクがして欲しい奴を選んで書きましたー!
書いてる最中はノリノリで捗ったけど、冷静に読み上げられると最高に恥ずかしいー! ぎゃー!
恥ずかしくてぎゅうって抱き着く。顔から火が出そうー!
「は、はしたないかな・・・? こんなの作るえっちな子は、嫌い・・・?」
「・・・。」
彼方が黙ってる。
うう、なにか言ってよう。
ドン引きされたかなあ・・・。
「なあ双葉・・・。」
「ひゃい。」
耳元で囁かれる。あ、でもこの感じは・・・。
「エッチな子だな、双葉は・・・。もちろんこの券は、何回でも使えるんだろう?」
「は、はいっ。」
いじわるモードだっ(喜)。
「明日、どの券を使われるのか、楽しみにしておけよ・・・。」
「はい・・・。えっちな双葉に、いっぱいお仕置きしてください・・・。」
彼方もボクをぎゅうって抱きしめてくれた。
ああー! 明日からの冬休みがすっごい楽しみー!
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