第1話 推測する力と危険
「ケン、何してるの!?」
少し力が入った声で、ケンに尋ねる。これは日常茶飯事のことだ。
「ケン、食べ物をこぼしちゃダメよ。」
「おもちゃを壊しちゃったの?買ったばっかりじゃない。」
「何でお願いしたことを守らないの?」
「小さい頃は可愛かったのに。最近はケンに対してイライラすることが多いわ。」
お母さんからの愚痴が止まりません。
ケンは体の中から溢れ出るパワーを使いたいのです。
決して、お母さんを困らせようとしているわけではありません。
それに気付いて欲しいのです。
優しく見守ってほしい。
寄り添ってほしい。
愛してほしい。
そんなとき、急にお母さんの体調が悪くなります。
ケンはそれを感じ取り、いつも側に居ました。
側に居ることが、お母さんを元気付けるための、自分の唯一の方法だと考えたからです。
「ケン、前まであんなに元気一杯で手の付けようがなかったのにどうしたの?」
「もしかして、私を元気付けようとしているの?」
「ケン、あなたが居てくれて私は幸せよ。」
「ありがとう。」
ケンはその言葉に、元気に答えた。
「ワン!」
✳︎✳︎✳︎
今回は、犬のケンと飼い主であるお母さんのお話でした。ケンいう名前を聞いて、そしてお母さんのセリフから、あなたはケンが犬だという可能性を残せていたでしょうか?
現実の生活でも、このような事が起こっているのではないでしょうか?一部分の情報から、結論を急ぎ、こうであろうと決め付け、判断してしまう。大人になれば、その推測する力はもちろん重要です。しかし、それはあくまで推測であり、完全に正しいわけではない、ということは自覚しておく必要があります。
いろいろな視点を持って推測はするけど、急いで決断して、決め付けはしない。
物事は考えるべきですね。
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