ついに同居!?

 コロナ渦中と別居婚

 コロナの流行は別居婚に大きな変化をもたらした。

 とうとう、私と夫は住民票上同じ住所に住んでいることになったのだ。

 コロナによって私たちの生活も変化した。

 家族という形が以前より重視された。

 何をするのも単独か家族という単位になってしまった。

 マスクの支給も世帯単位だった。

 これは、もしかしてやばいかもしれない。

 薄々そんな風に思い始めた。

 とどめを刺したのは、ワクチン接種だった。


 自治体によって対応のスピードがかなり異なった。

 コロナの流行がまっただ中で、終わりの見えない自粛生活が続く中、ワクチン接種への対応は非情にやきもきしていた。


 夫のところにはワクチンの接種券が届いたのに、私の住む自治体はホームページのお知らせさえまともに更新されないのだ。

 ワクチン接種をした人間としていない人間、生活の自由度が全然違う。

 今となっては結果的にほぼ同じ時期に接種をしたが、そのときは全く先が読めず不安が続いていた。

 また、会社からも県をまたいだ移動なども控えるようにとお達しがあった。

 この制限がさらに厳しいものになったとき、私は毎週末、夫と会うことができるのだろうか……やはり、別な住所というのはまずい。

 そう思った私は夫と住民票上、同居することを決めた。

 ついでに、マイナンバーカードも作った。


 というわけで、現在、私は住民票上は夫と同じ住所に住んでいることになっている。


 もちろん、仕事もあるので私はもともとのアパートは借りたままだし、生活自体は特に変化していない。


 しかし、家族以外と食事をしちゃいけないとか、行動の自粛が求められるとか少し前まで全く想定していなかった世界が今、目の前に広がっている。


 新しい生活様式は保守的で、以前よりも結婚とか家族とかそういう制度が重視されているというのはなんとも皮肉だし、抗うことは非情に難しいのだった。

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