DINKsではないの
「四十歳で子供ができたとして、子供が成人するとき六十歳だよ……」
先日、会社の人がため息交じりに言った。
子供が無事に生まれて育つとは、随分、平和な頭をしていらっしゃる。
妊娠しても無事に生まれてくるとは限らない。
子供は欲しいと思っている。
子供がいたら、今のような自由な生活はできないけれど。そんな自由よりも子供がいる生活を私はとるだろう。
結婚したくせに、人よりも自由を味わっている。
結婚したのに、結婚のいいとこ取りしかしていない。
きっと、私のことをそんな風に思っている人はいる。
自由で気ままなライフスタイルのために結婚してもう随分たつのに、子供を作らない。そんなことはない。
妊娠するって、思ったよりも難しいのだ。
子供の頃から、将来を大切にしたいならきちんと避妊をしなさいと教わってきた。
十代の少女が妊娠出産するドラマやら携帯小説そんなのに囲まれて育ってきたら、妊娠って簡単にできると思ってしまっても仕方が無い。
だけれど、いざ結婚してみて分かったことは人間はそんなに簡単に妊娠しないということだ。
自分の体験だけでなく、確率で考えてもそんなにすぐは妊娠しない。
しかも、妊娠したからと言って、必ず無事に出産までたどり着くとは限らないのだ。
妊娠しても十五%程度の確率で初期のうちに流産になるなんて誰が教えてくれるのだろうか。
世間では年齢がいってから、妊娠出産を望む女性をどこか馬鹿にしている風潮がある。
――頑張りすぎて痛い。
――今更欲しいなんて都合がいい。
人より仕事を頑張って時期がずれただけなのに。運命の人と思える相手に出会うまで時間がかかっただけなのに。どうして、そんな風に誰かにあざ笑われないといけないのだろう。
もっと、優しくしてほしいとは言わない。
もう少し人の生活に無関心でいてくれないだろうか。
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