第3話脆いところが似た兄妹
「おかえ……えっ、どうしたの?その顔……」
コンビニから帰宅した俺を出迎えたのは、首にバスタオルをかけながら下着だけを身に付けた妹だった。
「おっおいっ!ななっ、なんて格好で彷徨いてだよッ愛梨沙ぁ……!」
「えっ……ごめん、にぃちゃん。暑くてさぁ〜それに着るのも面倒くて。にぃちゃんを誘ってるわけじゃないよ」
狼狽える俺に対し、恥ずかしがる様子を見せずに平静を保ちながら返答してきた妹だった。
「そっ、うなんだ……俺の方こそ、悪かったよ。声を荒げて……」
「キモっ……ってごめん、にぃちゃん。そういうじゃ……たださ、言い返さずに謝ったから……変だなって」
「うん……まあ、キモいことなんて嫌になるくらい理解してるよ。ああ、愛梨沙が気にすることないから……」
「だからさっきのはッ……違うんだってば、ぃちゃん……」
ごめん、ごめん……にぃちゃん、と弱々しく悲痛な面持ちで謝り続ける妹。
「あぁっと……俺が、自虐的なこと言うのなんて慣れっこだろ、愛梨沙は。だから、泣くなって……愛梨沙も……変だよ」
「うぅっ……変なん、かじゃ……変じゃな……変なの、かな……あぁああぁあぁぁぁあああぁああぁぁぁ……」
幼い子供のように盛大に泣き出す妹にどう慰めれば正しいのか分からず、困惑した俺だった。
翌朝を迎え、カーテンの隙間から僅かに射した陽光の眩しさで目覚めた俺。
自室を出て、おぼつかない足取りで階段を下りていく俺は寝癖の激しい髪を掻きながら欠伸をした。
リビングに足を踏み入れると、ダイニングチェアに腰を下ろして朝食を摂る妹が挨拶をした。
「……はよぅ、にぃちゃん」
「ああ……おはよう、愛梨沙。い、けそうか……学校?」
「う、うん……行ける、よ。行かないと……遅れをとっちゃうから」
「……うか。無理はすんなよ……くれぐれも」
「うん……にぃちゃんこそ、だよ。あのとき……みたいに」
「迷惑かけて、悪かったよ。お互い様だな、ほんと……」
「うだね……昨日はごめんね、にぃちゃん……」
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