第7話

「霊魂とは魂が肉体から抜けたもの。その点ではあいつらも俺たちも同じだ。そして生きている人間は、肉体と魂が重なっているんだ。それを一時的にお前の魂を肉体から抜け出させて、あいつらとか俺たちと同じになるんだ」

「どうやって?」

「それは俺たちがやる」

「二人でやればできるんだ」

「あいつらに勝ったら、また肉体に戻してやるから何も心配するな」

「あの二人をやっつければ、この忌まわしい呪いはなくなるだろう」

木梨はまた聞いた。

「いつやるの?」

「子供はいつ生まれる」

「だいたい半年後」

「半年後か。子供が生まれてから十日ぐらいであいつらがやって来るだろう」

「その時は俺たちが教えるから。いっしょに戦おう」

「親子三世代でな」

「わかった」

「やっとお前と話すことができた。十年近く頑張ったからな。その甲斐があったと言うものだ」

「とにかく俺たちはもう帰る。なぜだかわからんが、長い間この世にとどまることができないんだ」

「この世界にもいろいろとあるみたいでな」

「それじゃあ」

「また会おう、誠一」

影は消えた。

木梨が何かを言う前に。

――それにしても。

少し前まで呪っている側ばかりと思っていた影が、父と祖父だったなんて。

どうりでこのところ本気で怖いと思わなかったわけだ。

――そうなると。

かなり希望が見えてきたようだ。

子供が生まれたら自分は死ぬのではないかとずっと思っていたのに。

木梨は隣で寝ている妻を見た。

夫が死んだ父と祖父と三人で話をしていたなんてことには気づかず、安らかな寝顔だ。

この寝顔をなんとしても生きて守らなければ。

木梨は強く心に誓った。


子供は順調に育ち、ついに出産のときが来た。

木梨は仕事をやめて職場から病院に駆け付けた。

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