第2話 ひゅるるるる

Nさんが小学5年生の時の話。

Nさんはお兄さんと公園で遊んでいた。

日も暮れてきたので帰ろうかとなり、自宅のマンションに向かう。

マンションには屋根無しの駐輪場があり、その横を通ったところにマンションの入り口がある。

Nさんとお兄さんが駐輪場の横を通り過ぎる時に「ひゅるるるる」と音がした。

Nさんは何事かと思いながら、足を止めずにマンションの入り口に入りかけたとき、ガッシャーンと自転車が大きな音を立てて、倒れた。

2人が慌てて駐輪場を見ると、そこには30代半ばの男が首に自転車の部品が刺さった状態で倒れていた。

おそらくマンションから飛び降り自殺を図ったのだろう。

Nさんのお兄さんは急いで自宅に帰り、母に事情を説明し、救急車を呼んでもらった。

その間、Nさんは動くことができず、ジッと男を見ていた。

男の身体は痙攣を起こしていた。

しかし、男の目は見開いていてNさんを見つめている。

その異様な光景にNさんが目を逸らすことができずにいると、男の口が少し開いた。

そしてその口からNさんに聞かせるように「ひゅるるるる」という音が聞こえてきたという。

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