人から聞いた怪談・奇談
jo
第1話 図書室の先生
Mさんが小学3年生だった、ある夏の夜。
彼は恐ろしい夢を見たという。
それは友人3名で夜の小学校に忍び込んで遊んでいるという夢だった。
廊下で遊んでいると、遠くのほうで40代半ばのメガネをかけた女性がこちらを見ている。
Mさんと目が合った瞬間、女性は「ごらぁ」と怒りながらこちらに向かって走ってくる。しかも、さっきまでなかった鎌を左手に持って。
Mさんは必死に女性から逃げ、図書室に走り込み、鍵をかけた。
タッタッタッと足音が聞こえ、ピタッと図書室の前で止まる。
ガチャガチャと外から図書室を開けようとしている。
図書室からはどこの部屋にも廊下にも繋がっていないため、鍵を開けられたらもう逃げ場がない。
Mさんが後退りして、扉から距離を取っていると、ガチャリと音がして、ゆっくりと扉が開いた。
そこでMさんは夢から覚めた。
あまりにリアルな夢に呆然としながらも、学校に行くための準備を始めた。
その日は月曜日だったため、朝礼が体育館で行われた。
校長先生の話のあとで、新しく赴任してきた先生の紹介があった。
Mさんはその先生の顔を見て、思わず声を上げた。
その先生こそ夢に出てきた女性だったからだ。
女性は図書室の先生だという。
卒業するまでの3年間、怒った姿など誰も見たこともないほど、とても優しい先生だった。
しかし、Mさんは卒業までその先生とは1回も目を合わせることができなかったという。
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