物語創作とディスコミュニケーション
先日投降した「ディスコミュニケーションは不幸か?」について、Twitterでも少しだけやりとりがあったので補足します。
実はディスコミュニケーションによるギャップが産むものはネガティブな断絶ばかりではないと思っています。
よくラブコメなどで見られる「両片思いの思い込みから生じる焦れじれすれ違い」などは典型的なディスコミュニケーションですね。
他にも異世界、異種族ならではのディスコミュニケーションが物語を産むこともありそうです。
実際に異世界、異種族ならではのギャップを活かした作品を最近拝読したのでこちらでご紹介します。
シンドーケンイチさん(@Shindo-Kenichi)の「逆異世界転移物語」(https://kakuyomu.jp/works/16816700426932201785#reviews)です。
こちらは「地球人が異世界に転移してしまったせいで無人になった地球に取り残された人間と、その異世界から転移してきた異種族が協力して生き延びる」という物語です。
異世界から転移してきた、しかも異種族ですから文化も価値観も全く違います。
そして、その「異文化で生まれ育った異種族」の中でもそれぞれの個性がある訳で。その種族ならではのイメージが、必ずしも当事者から見ると正しいとは限らない訳です。
そういった「異文化ならではのギャップ」を物語のスパイスに上手に加えて、日常風景を刺激的で面白いものにしているのがこちらの作品ですね。
詳しくはネタバレになってしまうので省きますが、エルフやドワーフ、ソーサラーに対するステレオタイプなイメージを壊しつつ、異世界人からの視点を加えることでこの世界を新鮮な目で見直すこともできる良作です。
金属アレルギーを異世界人にわかりやすく説明するために「金属に嫌われている」と表現するなど、言葉の選び方のセンスも秀逸なのでぜひご一読を。
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