第130話 閑話 村上正吾育成計画⑤
今村上達が回っているのは人気店のタピオカ屋や美味しいケーキ屋など女子が好きそうな場所を中心に回っていた。
女子の事をしっかりと調べてきたのか村上は1つも嫌な顔をせず一緒に回っていた。
その様子を見て慎二は。
(良いんじゃないかな?この調子でまずは友達から始めて、いずれかは村上君が望んでいた彼女が出来るんじゃない?)
慎二はそう考えながらも自分も1人タピオカを買い飲んでいた。
(あっ、一つ言っておくとタピオカはミルクティーとか言ってるけど抹茶ミルクが1番だと思う。これマジで、ね?)
これは慎二個人の意見です。
愛香達が周りたい所も大体周り後少しでお開きにするかという時に大野が「最後はあそこで〆でしょ!」と言い指を刺した。
そこは……皆大好きスタ○バックスコーヒーだった。
略してス○バ。
「最後はあそこに決まりっしょ!」
「良いわね、私もこの頃行けてなかったから丁度良かったわ」
大野と愛香がそう喋りあっていると遠藤が村上に聞いてきた。
「正吾君はどう?ス○バ嫌い?」
女子でワイワイしていた所遠藤に質問された村上は慎二からも分かるぐらい苦い顔をしていたが………
「………俺は別に良いぜ?ス○バなんてコンビニ感覚だからなぁ」
何処からどう見ても嘘を付いているだろと言われるぐらいに顔が引きつっていたが問題ないと答えた。
そんな村上の表情に遠藤達は気付いていない様で「じゃあ皆で行くか」となり、ス○バに向かっていた。
村上もここを乗り越えれば後は楽だと思ったのか何かを決断した様な表情になり愛香達と店内に入っていった。
そんな光景を見ていた慎二は凄く分かる気がした。
だってス○バって何でか少し敷居が高くないか?と。
よく1人でス○バの店内に入りPCを弄っている人がいるがアレは猛者だと慎二は思っている。
それにあの商品の名前の長さときたら……思い出すだけで頭が痛くなってくる。
最初は慎二も何も知らずに入った時商品の名前の長さに戦慄を覚えた、その時点で注文をする気力が無くなったが後ろに並んでいる客もいた為、その長ったらしい名前を読み上げて何とか商品を貰った慎二だったが……他にも罠があった。
それがサイズだ……ショート・トール・グランデ・ベンティの4種類があると言う、それを知った慎二は「S・M・Lで良いだろ!!」とマジでキレそうになっていた。
だが、隣の客を見ると……指を指して「これを下さい、それとこのサイズで」と言っている場面を見てさっきの恥ずかしい時間は何だったんだと思うと共に、もう二度とス○バは行かないと決めた慎二だった。
それを分かっている慎二だから村上に心の中で応援した。
(村上君、よく耐えた!後は注文を何とかして皆とスムーズに会話を出来れば完璧だ……僕はス○バには入らないけど後は頑張ってくれ!)
慎二は聞こえないと思いながらも心の中で村上に応援をした。
◆
村上達がス○バに入ってから30分ぐらいしただろうか。
まだ店内から出てくる気配はない為「盛り上がっているのかな?」と思い慎二はその間暇だったから近くの雑貨屋などに寄っていた。
ほとんどの店を回った慎二は流石にもう店内から出てそこら辺を喋りながら見ているかもう解散しているのかなと思っていたら……ス○バの前に村上達はいた。
だが何故か慎二が見た時には遠藤に頰をおもいっきり叩かれている村上がいた。
(………チョモランマ村上、君は一体何をしたのさ………)
状況が分からない慎二はただ見ている事しか出来なかったが、見ていると村上と遠藤達は少し口論みたいな事をしていた。
そこに愛香が間に入って落ち着かせようとしていた様だが上手くいかず解散してしまった。
何を口論しているか離れている為あまり聞こえなかったが最後に慎二の耳に聞こえた言葉は……遠藤達に村上が悪口を言った瞬間だった。
「俺こそ、お前らなんて願い下げだ!このビッーーチ!」
と、村上は大声で遠藤達に向けて叫んでいた、遠藤達はそんな村上を無視するとそのまま歩いて行ってしまったが。
愛香は村上と友達のどっちを取るかを悩んでいたが、自分の友達を優先したのか村上に何か一言言い頭を下げるとそのまま友達の元に向かってしまった。
1人寂しくポツンとその場に残された村上は何処か哀愁を纏った様な感じを醸し出していた、そんな村上を見てふと思った。
(………えっ?これ僕が村上君慰めに行くの?いや、本当に嫌なんだけど……でも尾行してるって村上君には伝えてるし……今行かないとなんか言われるよね………)
そう考えた慎二は嫌々ながら村上の元に向かうことにした。
村上はその場でフリーズをしていたが、慎二が近付いて来てることに気付いたのかやつれた顔を慎二に向けて来た。
「………‥」
「無言でこっち見ないで何か言ってくれよ」と思ったけど、何が起きたかも分からない為慎二は村上に聞いてみることにした。
「その……村上君?何があったかは分からないけど一旦ここを離れて静かな所に行こうか?」
慎二が聞くと無言だが、しっかりと頷いてくれたので村上を連れて近くにある公園に行く事にした。
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