第122話 伝えたい思いと届けたい気持ち①
◆
翌日慎二達が起きた後に行った事は、朝ご飯を食べると昨日あった事を宗一郎達に話すと、鈴村から渚の葬式を今日やる事を聞いた。
早くやった方がいいというものもあったが、慎二達は今日の夕方頃に桜田町に戻ってしまう事を知ってたからだそうだ。
その話を聞いた慎二達は渚の葬式をする会場に向かった、そしたら沢山の人がいたことにとても嬉しかった……そんな事を考えながらも無事渚の弔いが終わった。
葬式が終わったので帰って桜田町に帰る準備でもしようとしていたら、鈴村から声をかけられた為話を聞くことにした。
「前田君達、今日は渚君のお葬式に来てくれてありがとう」
慎二達にそう話しかけてきた鈴村は今日は葬式とあっていつもの白色の白衣姿では無く、黒色の喪服を着ていた。
勿論慎二達も宗一郎から借りた葬式様の喪服姿に着替えて渚の葬式に出た。
「いえ、渚さんのお葬式に出るのは当たり前ですよ……それでどうかしたのですか?」
「ああ、渚君からね自分が亡くなったら前田君に渡してほしいと言われた物があるんだ、何か渚君に聞いてないかい?」
慎二はその話を聞いて渚が最後に話していた内容を思い出した。
確か渡したい物があるから鈴村先生に聞いてくれって言ってたよね?それの事かな……
「一応聞いてます。鈴村先生に渡してあるから聞いてみると良いと言われたんですが、何を渚さんが渡したかったのかわかりません」
「それは僕も聞いてるよ、前田君に渡して欲しいと言われた物を預かってるから今渡すね、それが……これだ」
鈴村がそう言い慎二に渡してきた物は………
「これは、日記と……ミサンガ?」
鈴村が渡してきた物を見てそう呟いた、何も表紙に書いてない日記と青色のミサンガだった。
「うん、それを慎二君に渡して欲しいと言われたよ、私も渡してくれとしか言われてないから分からないけど、その日記に何か書いてあったりするんじゃないかな?」
「この日記に………」
慎二は何が書いてあるのだろうとマジマジと見ていた。
「まあ、日記を確認するのは急がないで良いと思うけど、渚君が最後に残してくれた物だから読んであげてくれ」
「勿論です、読ませて頂きます」
慎二が鈴村にそう言うと「そうか」と頷いてくれた。
それから少し今までの出来事を話していたら鈴村は用事でここを離れてしまうと言うので最後の挨拶をする事にした。
「前田君達、私はこの後用事があってここを離れてしまうけど、今日でもう帰ってしまうのだよね?」
「そうですね、滞在期間は今日までなので」
慎二が答えると鈴村は寂しい表情になってしまった。
「そうか、寂しくなってしまうな……その…この町はどうだった?楽しめたかい?」
慎二達はそう聞かれたが顔を見合ったら直ぐに答えは出たので伝えた。
『勿論、とても楽しかったです!』
と。
「………そうか。なら、良かったよ。次また来る時も君達を歓迎しよう……では、また会おう」
鈴村はそう言うと颯爽とその場から立ち去っていった、その姿を見えなくなるまで慎二達は見ていた。
◆
鈴村と話した後も渚の為に来ていたこの町の人々と別れの挨拶を済ませた慎二達は宗一郎の家まで戻ってきていた。
「それで、慎二はその日記いつ見るんだ?」
そんな事を聞いてきた雄二に慎二は。
「この後直ぐにでも見るつもりだよ、出来るだけ千里浜町にいる間に読みたいからね」
「そっか……俺達も中に何が書いてあるのかは気になるが、まずは慎二が渡されたんだからしっかりと読めよ?後からでも俺らは読めるし、知りたければ慎二に聞けば良いんだしな」
雄二の言葉に慎二は皆はそれで良いのか?と思っていたが、他の皆も雄二の言葉を聞き頷いていた。
「………わかった、僕が先に読むよ」
「ああ、そうしろそうしろ、俺らはお前が読んでる間に帰る準備でもしてるからな」
村上がそう言うと慎二を1人部屋に残して皆帰る準備をしに向かってしまった。
「別に僕が読んでいる間皆いてくれても良かったのに………」
慎二はそう呟いたが、皆が気遣ってくれている事がわかっていたので本人達を前にして言えなかった。
何もしないでただぼっーとしていても時間が消費していくだけなので渚の日記を見てみることにした。
「………‥」
内容は普通の日記と変わらなかった、あの日〜したや、〜が綺麗だったなど書かれていた、他にはもっと生きたかったと書いてあり、それを読んだ時慎二は少し涙を流してしまった。
「当たり前だよ……もっと生きたかったに決まってる………」
そう呟きながらも1ページ、1ページ真剣に読み進めていった。
日付が7月27日、慎二と渚が初めてあった時から少し内容が変わっているのが気づいた。
「これは………」
そこに書かれていた事は、慎二と渚が出会ってからの5日間の思い出が細かく書いてあった。
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