第123話 伝えたい思いと届けたい気持ち②
その中でも目に止まった日記の内容が最後のページにあった「最後に」という題名の日記だった。
その内容を見て思った事は、遺書の様だと思った。
その書いてある事は………
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2021年7月31日(日)
最後に
この話を読んだら必ず破ってこのページは他の誰にも見られない様に捨てて欲しい、これは僕と慎二君の2人だけの秘密の内容だからね。
この手紙を慎二君が読んでいるという事は僕はもう亡くなっているのかな?、この手紙はこうなる事がわかっていたから事前に用意しといたんだ。
僕は初めからいつ死ぬのかわかっていた、よく言うでしょ?自分の身体の事ぐらい自分が1番わかるってさ。
それに1度慎二君には話したね、最後にある夢を見たら未来を見る(正夢を見る)能力が使えなくなったと、あの時僕は少し嘘を付いた、本当は1つじゃなくて3つだったんだよ。
その内容が………
1つ、僕と僕のお婆ちゃんが笑顔で息を引き取る夢
2つ、7月29日〜8月1日のうちに僕が亡くなる事
3つ、誰かが僕達を助けてくれる事
というふうに僕は夢を見た、最後の3つ目は夢を見た時顔にモヤがかかっていて初め誰の事かわからなかったけど……今ならわかる、それが慎二君の事だったって事にね。
別に夢で見た事を隠したかった訳じゃなかった、2つ目はいつ亡くなるのかも曖昧だし、言っても心配にさせてしまうだけだと思った、3つ目に関しては慎二君に助けてもらうまで誰なのかわからなかったからね、この場だから言える事なんだ。
お別れの言葉はここでは言わないよ、だって現実の僕がしっかりと慎二君達に伝えたと信じてるからね、僕から言える事はまた会おうという事ぐらいさ。
あまり長くなってしまってもあれだから、次で最後にするよ、日記と一緒にミサンガがあったと思うけどそれは慎二君にあげるよ、それはね君と出会った時から渡そうと思って僕が作ったお手製なんだよ?
ミサンガという物は願い事を叶える為に手首に巻いたりする物なんだ、そのミサンガは作る時にまた慎二君と会えますようにと思いながら作ったんだ、だから出来たら肌身離さず持っていて欲しいな、また僕と君が出会った時の印になると思うからね。
………本当に今までありがとう、色々と助かったよ、そんな君にこの言葉を贈ろう。
この先の長い旅路に幸あらん事を、またね僕の親友、僕のヒーロー。
汐留渚
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こんな事が手紙の最後に書いてあり終わっていた。
「僕の方こそありがとうございます……また会いましょう渚さん…このミサンガは大事にさせて頂きます」
慎二はそう言うと置いてあったミサンガを右手首に付けて最後にというページを粉々に切ると窓から飛ばした。
粉々になったページは風に乗って遠く、遠くどこまでも飛んでいってしまった、それを見ていた慎二は。
「これで僕と渚さんだけが知ってる事になったな……後は皆にこの日記を見せるだけかな………」
そう思い帰りの準備をしている雄二達を呼んで日記を見せようとしたが………
「俺達は良い」
雄二の言葉に皆も頷いていたのでどうしてか気になっていたら、こう言われた。
「だってちゃんと渚さんとお別れが出来たんだろ?お前のその清々しい顔を見れば一目瞭然だわ、だから俺達は別に見なくても良い、見たい時に今度見るわ」
「だけど………」
それでも皆に見せようと思っていたが、雄二以外も今度で良いと言うので、無理に見せてもなと思い慎二も諦めた。
だが、慎二が少し納得がいかない様な顔をしていたら村上が来て。
「なんだー?前田はさっきまで嬉しそうな顔していたのに今は難しい顔して情緒不安定かぁ〜?」
「………‥」
そんな事を言ってきた村上にイラッとして色々と考えていた事がバカらしくなってきた慎二は自分も帰りの用意をすると共に村上に約束を果たしてもらう事にした。
「………村上君の話は置いといて、僕も準備してくるよ………」
「おう、行ってら〜、俺達は待ってるから早くしろよ〜」
多分村上は最後ぐらい辛気臭い雰囲気は嫌だと思ってわざと明るくしようと言ってるのは慎二にもわかるが………
なんかすっごくイラッとする……渚さんと良い感じにお別れが出来たから村上君への罰ゲームは辞めようと思っていたけど……これはお仕置きが必要だね。
慎二はそう考えると帰りの準備をするついでに前、森の中で取ってきた物を宗一郎さんに見せて調理して出してもらう事にした。
慎二が見せた物を見た宗一郎さんは凄い嫌な顔をしていたけど。
「前田君、本当にこれを調理するのか?」
慎二に渡された黒いケースの中で冷凍にされている物を指差して言ってきた。
「マジと書いて本気です」
慎二の冗談ではありませんという態度が伝わったのか。
「はぁ、わかった、食材は食材だからな、それでどんな風に調理する?」
と聞いてきたが、最初から決まっていたのか直ぐに宗一郎に伝えた。
「素揚げでお願いします、塩焼きやバター醤油だと美味しいと書いてありましたが、素材の味を堪能してもらいたいので素揚げで塩をかけて食べます」
慎二の話を聞くと少し気分が悪くなったのか早く終わらせたいからか調理に入る事にしたらしい。
「今から調理するから待っててくれ、直ぐに出来ると思うから熱々のうちに食べてくれ」
「はい、ちゃんと村上君に食べてもらいます、あっ、サプライズなのでお皿に乗せたらその上から何か被せて見えない様にして下さい!」
「………おう…程々にな?」
慎二の話を聞き少し引きながらも調理に入ってくれた。
帰りの準備が終わる頃に丁度ある食材を使った料理が完成した事を宗一郎に伝えられた。
「一応作れた、目を瞑って食べればいけると思うが……俺は食べたくないな」
宗一郎がそう言い見せてくれた物は白色のお皿にちょこんと乗った少しキツネ色になっているある物体だ。
「おっ……まあ‥素揚げにしたら食べ物として……は見えないですが…ネットで調べたら美味しいと書いてあったので大丈夫だと思います………多分」
慎二も少しその食材を見たが、元々その食材が苦手というものもあり直ぐに蓋をした。
宗一郎に作ってくれた事のお礼を言うと直ぐに村上の所に届ける事にした。
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