第102話 あの日殴られた息子の痛みは今もまだ覚えている①
◆
慎二達は海の家「水鳥の休憩場」に招待される前にここ千里浜町の町を皆で回った、いつもと違う風景、場所に慎二達はとても新鮮な思いになっていた。
町を回っている間も意外と周りには悩み事や相談事、困り事などがある人が沢山いた、その人達を「ピポット部」として「人助」を行なっていた。
そんな事をしていたら、気付いたら宗一郎に招待される日になっていた。
(時間が過ぎるのは早いな……結局あの後千里浜町を回ったけど渚さんとは会う事が出来なかったな……皆にも紹介したかったのに)
慎二はそう考えていたが、この後宗一郎に招待されている為気持ちを切り替えて皆と共にその海の家に向かう事にした。
一昨日話していた通り看板娘として千夏が手伝っている為、千夏は慎二達に海の家「水鳥の休憩場」までの行き方を教えると宗一郎と共に準備に向かってしまった。
慎二達が向かっている最中に村上からこんな話が出た。
「よくよく考えたら、由比ヶ浜先生が看板娘って事は……やっぱり水着来て接客してるのかなぁ………」
「「「………‥」」」
「………ブッ!」
村上が言ったその何気ない一言に慎二、雄二、由紀は無言になってしまったが、何を想像したのか服部はいきなり鼻血を吹き出してしまい持っていたティッシュで止血していた。
「村上……あまり変な事は考えるな、ハトケンには刺激が強すぎる」
「悪い、悪い」
雄二が村上に注意をしていると服部が割り込んできた。
「皆、勘違いをしないでくれ……これは昨日チョコを食べたからだよ」
ハトケンはハトケンで嘘を付くのが下手すぎでしょ、まず昨日チョコを食べた所を見てないからね……そもそもチョコを沢山食べて鼻血が出るって本当かどうかもわからないし……
慎二がチョコと鼻血の関わりについて考えているとそれでもまだ千夏の水着姿が気になるのか村上が話し出した。
「そうかもしれないが……考えちゃうんだよな、あのダイナマイトボディに水着を着てその上からエプロンを羽織っている由比ヶ浜先生の姿を……さ?」
「ブハッ!?」
村上のその一言で遂に服部は尚更鼻血を吹き出し、その場で倒れてしまった。
「もうやめたげて!ハトケン君のライフはゼロだよ!」
「悪い、悪い」
由紀がそう言うと村上は内心悪いと思っていないかもしれないがまた適当に一応謝っていた。
そんな茶番があったが無事教えてもらった海の家「水鳥の休憩場」という看板が見えたので近付いてみた。
慎二達が向かっていた海の家は他の所とは違くとても繁盛していた。
この中をどうやって入るかと思ってい時定員らしき人が近づいて来ている為聞こうとしたが、見知った顔だった為慎二達は動きを止めてしまった。
「慎二達、何でここにいる?………ナンパ?」
「違うよ!?」
無表情で慎二に聞いて来た水色のエプロン姿の小柄な女性の定員は……慎二の中学からの友人の神田雪だった。
雪が変な勘違いをしていた為何で自分達がここにいるのか今までの話を踏まえて話す事にした。
聞いた雪は特に驚くこともなく無表情である事を伝えてきた。
「………そう……まあ、由比ヶ浜先生がいたから薄々気付いていたけど」
「………‥」
(なら誤解が生まれる様な事言うなよ!)
そんな事を言ってやりたかったが、言ってもどうせ意味が無いと思い、雪がここにいる理由を聞いてみる事にした。
「僕達の話は今したけど、何で雪がここにいるの?愛香と穂花は一緒じゃないの?」
「………は?何私の前で他の女の名前出してる?」
慎二は何も考えずただ聞いただけだったが、雪には気に障った様でドスの効いた声を出してきた。
うおっ!?いきなり怖い声出さないでよ……それに女って、愛香と穂花は君の友達でしょうに………
「ご、ごめん雪!ほら、周りにも人がいるからさ、少し抑えてくれると嬉しいな………ね?」
慎二は謝り周りに人もいるから今は抑えてくれと頼んでみた、雪も今自分がいる場所を思い出したのか落ち着いてくれた。
「ん、私もいきなり怒って悪かった。ここだと話をするのに適して無いからこっち来る」
雪がそう言うと突然慎二の腕を取り恋人繋ぎをすると海の家「水鳥の休憩場」の奥にある裏庭まで慎二を連れて歩いて行ってしまった。
「ちょ、ちょっと、雪?」
「いいから着いてくる」
慎二は今の状況がわからない為抗議をしようと思ったが聞いてくれず、そのまま連れて行かれてしまった。
その様子を見ていた雄二達はニヤニヤしながらも後ろを着いて行くことにした。
ただし村上に関してはそんな慎二の羨ま死い場面を見せられた為かブツブツと呪詛の様なものを唱えていた。
「………死……締めて……えてろよ………」
なんか、後ろで村上君が変なこと唱えてるんだけど!
変な事をしようとしている村上を止めたかったが、今はどうにも出来ず雪に身を任せる事にした。
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