第84話 高校とバカと下着泥棒と④


 サッカー部の試合が終わったのか何人か慎二達の元に来た。


「前田君だよね?さっきはうちの部員のミスをカバーしてくれてありがとう!俺は「男子サッカー部」部長の2年「B」クラスの野崎裕樹だよ、今後も部長同士よろしくね」


 快活にお礼と挨拶をしてくれた野崎に慎二も自己紹介をした。


「野崎先輩ですね、僕は1年「F」クラスの前田慎二、「ヒポット部」の部長です、こちらこそ今後もよろしくお願いします!」


 2人はそう挨拶をすると互いに握手をした。


「聞いた通り前田君は好青年のようだね!君みたいな後輩がいて嬉しいよ!」

「そんな事ないですよ」


 2人が話していたら野崎と一緒に来た男子が慎二に謝ってきた。


「俺は1年「C」クラスの坂上亮太、今回は俺のミスで迷惑をかけてごめん、本当に助かった、ありがとう!」

「何も無くて良かったよ」


 慎二は坂上との会話を終えると他の部員とも挨拶をした。


 ようやく落ち着いたので野崎達に下着泥棒の件を聞いてみる事にした。


「野崎先輩、僕達は今日サッカー部の皆さんにお聞きしたい事があり来ました」

「ああ、バスケ部の相川君から聞いてるよ、ここ最近起きてる男子生徒の下着が盗まれている件でしょ?」


 相川から話が通っていたのか話がスムーズに進んでくれた。


 相川先輩が話を通してくれたたみたいだね。


「そうですね、何か詳しい事を知っていたら教えて欲しいのですが……」

「詳しい事か……俺達もあまり知らないんだけど、1つだけ今回の下着泥棒で共通してる事があるんだ」


 共通してる事?


「それはどんな事ですか?」 

「それはね、何故かその犯人は男子生徒の下着それもパンツしか盗まないんだよ、うちのサッカー部でも被害は少し出ているけどその全てが何故かパンツだけ盗まれるという事が起きてね」


 パンツだけを盗む犯人?


 野崎がそう言うと集まっていた部員も口々に「俺のパンツが盗まれた」など言っていた。


「それは、他の部活も何ですかね?」

「俺が聞いた話では野球部もラグビー部も皆パンツばかりが盗まれたって言ってたね、これぐらいしか知らないけど、何か助けになれたなら良かったな」


 野崎はそう言うと、「これぐらいしか情報がなくてすまないな」と伝えて来た。


 知らなかった情報をもらった慎二はお礼を伝えた。


「知らない情報だったので充分助かりました!」

「なら良かったよ、犯人探し頑張ってね!」


 慎二と野崎は挨拶をして別れた。


 慎二は野崎との話し合いを終え村上の元に戻ると話を振られた。


「前田、何かわかりそうか?」

「うーん……まだ情報が少ないね、雄二達と合流するのにまだ時間もあるしそれまでもっと聴き込みしようか」

「わかった、今度はさっき出なかった部活を責めてくか」

「うん、そうしよう」


 その後も慎二と村上は聞き込みをしていたが、結局犯人は男子生徒のパンツを盗む、誰もその犯人を見ていないという情報しか集まらなかったので、雄二達が何か良い情報を掴んでいる事を願った。





 雄二達から連絡が来ないまま約束の2時間がだったので慎二と村上は「ヒポット部」の部室に戻る事にした、そこには既に雄二達が帰ってきていた。


「雄二達早いね、何か情報掴めた?僕達はパンツが盗まれている事ぐらいしかわからなかったよ」

「何だ、慎二達もパンツのネタしか無いのか……俺達もバスケ部以外に聞いたがどの部活も声を揃えてパンツが盗まれたって言うんだよなぁ〜、女子に関しては誰も盗まれた奴がいないみたいだしな」


 雄二に聞いたらこっちも同じ様な内容だと教えてくれた。


 雄二達も一緒だったか………


「雄二達ありがとう、ハトケンは何かわかった?」


 1人手帳に何やら書き込みをしていた服部に聞いてみた。


「まあ、僕も集めた情報はパンツばかりだけど、少し気になる事があるんだよ」

「ん?それは何かな?」


 意味深な事を服部が言ったので聞いてみた、そしたら服部はこんな事を言ってきた。


「僕達は犯人を探している、でもその犯人は「人」じゃないかもしれない」

「というと、他の動物がパンツを盗んだって事?」

「僕のただの憶測だけどね、それを調べる為にも実験をしようと思う」

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