第80話 高校とバカとテスト勉強と?②


「………それもそうだね、この話は良いから何かゲームしない?」


 慎二のその言葉で「聖書」の鑑賞は一旦やめてゲームを行う事にした。


「雄二はどんなゲームのソフト持ってるの?」

「俺はかなり持ってるぞ?その中でも皆でやるのでおすすめなのがあったから予め探しといたぞ」

「へぇー、どんな物か楽しみだな!」


 この頃スマホのソシャゲしかやってないからなぁ……


「それがこれだ!」


 雄二がそう言って見せて来たカセットは「キャンプシュミレーター 家の中で簡単にキャンプ生活を!」というタイトルのものだった。


「これ楽しいの?」

「ああ、楽しいぞ?家の中でキャンプの体験が出来るってのも魅力だが1度に4人一斉にプレイ出来て遊べるってのが良いよな!」


 プ○ステって最初から4人でプレイ出来なかったっけ?


 慎二はそう思ってしまったが、横から変な事を言って遊ぶテンションを下げても意味が無いと思いそのまま雄二の話を聞く事にした。


「それ僕も家にあるよ!うちのお父さんがキャンプ好きでたまに一緒にやるんだ〜面白いよね〜」


 へぇー、由紀もやった事あるのか。


「なんだ由紀も持ってたか、でも由紀も言ってる様にかなり楽しめると思うぞ?」

「なんでも経験だからやってみるよ、ハトケンもそれで良いよね?」

「僕も良いよ、慎二君と同じ初心者だから色々と教えて貰えると助かるよ」


 そんな感じに話が纏まり4人でキャンプシュミレーターをやる事になった、まず初めにアバターを作るという事になり1人ずつ雄二の部屋に残りアバターを作る事にした。


「これはキャンプだからね?ちゃんとした格好で皆来てよ?」

「あぁ、わかってる、当たり前だろ?」

「準備が1番重要だからね!」

「ふふっ、キャンプの常識というものを教えてあげるよ」


 慎二がそう言うと皆それぞれ返事はしてくれたが、ちょっと不安だった為自分だけはしっかりとした格好にする事にした。


「そうそう、アバターを作ると共に持ち物も選ぶと思うから各自水、食料はしっかりと持って後は必要な物を選ぶ様にしてくれよ?一応持ってく物の重量が制限されてるからな」

「「「わかった」」」


 雄二の説明に慎二達は返事をして誰から先にアバターを作るかのジャンケンをした結果こうなった。


1番目 慎二

2番目 雄二

3番目 服部

4番目 由紀  


 この順番になった為慎二だけ部屋に残りアバターを作る事にした。


「よし、まずはキャンプと言ったら動きやすい格好で長袖長ズボンが確か鉄則だよね?色は茶色で、持ち物も水と食料以外は適当に必要だと思う物を」


 慎二は時間をかける事なく無難にアバターを作り終わらせた、終わった慎二は雄二を呼びに行き、服部、由紀とスムーズにアバター作成は進んでいった。


 アバター作成を終わらせた慎二達は由紀が終わってから全員でまた雄二の部屋に集まり誰がどんな格好にしたのかお披露目する事になった。


「じゃあ皆どんなアバターにしたか見せ合いするからね?」


 慎二がそう言い雄二達が頷いた為、自分のアバターをオープンした、慎二の格好はさっき言ってた通り全身茶色の長袖長ズボンでサングラスをかけた男性の姿だった、でも他のメンバーの姿は普通では無かった。


 まず由紀は何故か医者の様な全身真っ白な白衣を着て頭にはよく工事現場の方がつける様な黄色いヘルメットを付けている男性だった、服部は全身迷彩柄の男性の姿で今から戦場にでもいく様な格好をしていた……でも1番おかしな格好をしていたのは雄二だった。


「ちょっと!?皆ちゃんとした格好で来てって言ったじゃん!由紀もハトケンもツッコミどころは沢山あるけど!雄二、君の格好が1番ダメだ!」

「なんでだよ、普通だろ?」

「どこがだ!」


 慎二がそう言うのも理由があった、なんせ雄二の格好は男性だが何故か上半身裸の上に下はピンク色のブーメランパンツというキャンプを舐めているというかもう変態な格好だった。


「まったく、慎二は普通だが由紀、ハトケン、お前らはキャンプを舐めすぎだぞ?そんなふざけた姿で良いと思ってるのか?」

『お前がだよ!』


 雄二が変な事を言うので3人でツッコミを入れてしまった、その後は直すのも時間がかかる為そのままゲームを進める事にした。


「今回は誰がリーダーをするの?」

「それぐらいはやるわ、任せとけ!」

「その姿を戻してから言えよ……」


 こんな変態の姿の奴がリーダーは正直嫌だ……


 それでも雄二以外に誰もやりたがらなかった為リーダーは雄二に決まった、そんな中由紀がこんな事を言って来た。


「今回は皆協力プレイするの?」

「………‥」

「………‥」

「………‥」


 由紀がそう聞いても誰も何も返事を返してくれなかった、このキャンプシュミレーターは一応斧とかを持ったり石を投げたりして他のプレイヤーを倒すことも出来る為由紀はそう聞いてみたのだ。


「よし、協力プレイは「一応」しよう、じゃあ始めるよ!」


 慎二の言葉で由紀も仕方なくゲームを始める事にした。


「へぇー、こんな感じなんだ結構リアルだね、僕はキャンプをやった事ないからあまりわからないけど」


 慎二がそう呟いていたらいきなり隣に現れた迷彩柄の男、服部が慎二に向けて斧を投げつけて来た。


「うおっ!ハトケン!?何するのさ!」

「ごめん、ごめん操作を間違えたよ」


 嘘つけ!横で完全に悪い顔で投げていただろうが!


 慎二は仕返しに自分も斧を投げつけてやろうとしたら後ろに現れた白衣を着た男、由紀に蹴られて慎二のアバターは倒れて動かなくなってしまった。


「ちょっ!?死んだよー僕のアバター蹴り1発で死んだよー!」

「ごめん、操作を思い出そうとしたら慎二君のアバター蹴っちゃったよ……」


 由紀は本当に申し訳ななさそうに言い慎二のアバターを起こしてくれた。


「まあ、ハトケンみたいにわざとじゃないなら良いけど…痛っ……」


 慎二がそう由紀に伝えていたらまた白衣の男由紀に蹴られせっかく生き返った慎二のアバターはまた地面に倒れて動かなくなってしまった。


「ごめん慎二プッ!あははっ!」

「医者の格好してるんだから笑ってないで命を救え!」

「ご、ごめん、もうしないからさ……プッ!」


 由紀も敵かよ!


 もう誰も信じられないと由紀に蘇生してもらってから少し皆から離れた所にいると雄二のアバターもようやく慎二達がいる場所に現れた、その姿を見て慎二は……


「あはははっは!ひょろっ!しかにもう外見が変態じゃん!」


 と雄二のアバターに向けて指を刺して笑っていた、そんな時何も発しないまま雄二の変態アバターは近付くといきなり斧を出して慎二のアバターに襲いかかって来た。


「何で襲いかかるんだよ!?……ちょっ…やめ……」


 と奮闘していたが慎二のアバターは殺されてまた動かなくなってしまった、その後は慎二が生き返らないまま3人でやりあっていた。


「早く起こして!早く起こせよ!」


 慎二が怒りしっかりとキャンプを始める事になった。


「3人共おふざけ禁止だからね!このキャンプが始まってから僕は何も出来て無いんだから!今日はせめて初心者ミッションの第1キャンプ地まで行くからね?」

『はーい』


 慎二のその言葉に渋々返事をする3人だった。


 そこからは雄二を先頭に慎二が最後尾でキャンプ地まで向かう事にした、そんな中ちょいちょいトラブルも起きるわけで……


「由紀!蹴りながら歩くな!また僕を殺ろうとしてるんでしょ!」

「そんな事無いよ〜」

「じゃあこっちに蹴りながら近付くな!」


 また由紀に殺られそうになり……


「蛇が現れたぞ!」

「何!蛇だと……何処…何処だ!」


 雄二がそう言えば服部がそれに反応して近付き。


「これでもくらぇーー!」

「ぐわっーー!?」

「雄二、ハトケンごと殺ってるから!」


 一緒に向かった雄二に蛇ごと服部が殺されるという事が何回かあったが、無事?第1キャンプ地まで辿り着きテントを設置して夜営の準備が出来た、その頃にはゲーム内も現実の空も真っ暗になっていた。


「………もう最初の目的も達成出来たし、空も暗くなったからお開きにする?」


 慎二が雄二達にそう言うと3人共そうだなと返事をしてくれた。


「結構楽しかったけど、次やる時はしっかりと協力プレイするからね?」

「わかってるよ、次やる時はしっかりとやるさ」

「………本当にそうしてくれよ、他の2人もね?」

「「わかってる、わかってるよ」」


 ハトケンと由紀はなんか嘘くさいな………


 そう言いながらも今日は雄二以外それぞれの家の帰路に着く事にした。



 えっ?「学力テスト」がどうなったって?僕は全部60点以上取って頑張ったよ、10年経つと勉強なんてほとんど覚えてないからね?本当に!ハトケン以外はテスト結果はまあまあだったみたいだね、そもそもハトケンが勉強なんて1度もやってるとこ見た事無いけどね………

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る