下着泥棒捕獲作戦
第81話 高校とバカと下着泥棒と①
◆
高校始まっての夏休みが近くなって来て少し浮かれていた頃、授業が全て終わった放課後に慎二達は「ヒポット部」の部室で依頼主と対面していた。
慎二と対面している人物はソファーに座り由紀が用意したアイスコーヒーを一口飲むと今日部室に来た理由を話してくれた。
「僕は2年「A」クラスの相川って言うんだ、今回は君達「ヒポット部」に依頼したい事があって来た」
そう話してくれたのは、レクリエーションの時にバスケの試合で慎二に完敗した2年「A」クラスの先輩、相川友成からの依頼だった。
「依頼ですか?」
慎二が問い返してみたら相川は頷いて。
「そうだね君達に依頼だ、依頼内容は今この学校内で下着を盗んでいる犯人を捕まえて欲しいんだ」
と言ってきた、その言葉に慎二達は今下着が盗まれている事など知らなかった為、聞いてみる事にした。
「下着が盗まれる……ですか?」
「ああ、ここ最近になってからの事なんだけどね、君達なら解決出来るかなと思って話を持ってきたよ」
相川の話を聞いた慎二は下着を盗むと聞き、ある人物が頭に浮かんだ為、少し考える事にした。
(………下着……これは犯人がわかったかもしれない……そんなことやる人物は1人しかいないじゃ無いか!)
考えが纏まった慎二はいきなり立ち上がると後ろの椅子に座り控えていた由紀と雄二にすぐ様指示を出した。
「雄二、由紀今からコードネーム「M」をここに連れてくるんだ!恐らく奴はまだ校舎内にいるだろうから頼む!」
「「わかった!」」
2人はそう言うと慎二が誰の事を言っているのか直ぐに理解したのかその人物を探す為に部室から出て行ってしまった、その状況を見て相川は驚いていた。
「前田君、何か分かったのかい?」
「はい、恐らくですが、下着と聞いて1人そんな事をしそうな人物がいまして」
「そうか、まだ下着が盗まれてるしか言ってないのに犯人がわかってしまうなんて凄いな……」
◆
それから10分ほど経っただろうか、相川とレクリエーションの時の話をして少し盛り上がっていたら雄二達がある人物の両手を掴んで部室の中に入って来た。
その姿はさながら宇宙人が人間に捕まった時の姿を彷彿とさせていた。
慎二がその人物が来たのを察して相川との会話をやめて後ろを振り向くと……
「前田!これはどう言う事だ!いきなり木村達が俺の彼女探しを邪魔して来たと思ったらお前が呼んでいると言われて有無を言わさずここまで連行されたぞ!」
2人に捕まっていた人物は慎二に声を荒らげてこれはどう言うことか聞いてきた、その人物とは……村上だった。
そんな叫んでいる村上に雄二が。
「とか言ってて村上、お前女生徒に迫りすぎてキモがられてただろうが」
「そ、そんなわけ無いだろ?…無いよな?」
「「………‥」」
雄二が言った事は間違いだと周りの皆に問いかけたが、無言の返事が返ってきて、村上が女子生徒にキモがられていた事を証明していた。
そんないつも通りの茶番をやってる所に慎二が声をかけた。
「村上君よく来てくれたね、今回君に来てもらったのには理由がある、それはね……今下着を盗む人がこの学校内にいるらしいんだよ、それでもしかしたら君が何かやったのでは無いかと思ってね」
「なっ!?俺は何もやってないぞ!下着泥棒なんて……」
村上は自分は下着泥棒などしていないと言ったが、言葉の途中で止めてしまったのが尚更怪しかったので「情報屋」の服部に何か知ってるか聞いてみる事にした。
「ハトケン、何か村上君がこの頃やった事で下着泥棒に繋がるようなことってある?」
「少し待ってくれ」
服部はそう言うと自分の懐から桜田高校1年男子編マル秘ノートという物を取り出し中身をペラペラと捲り見ると慎二に伝えてきた。
「ああ、村上君は色々あるね、まずは女子更衣室を覗いていたとか落ちていた女性物のストッキングとか女性の落とし物のハンカチなどを自分の私物にしているとかあるね」
服部による秘密を暴かれる事になった。
「村上君、こんなにも情報があるのに言い訳が出来るのかな?それでつい下着も盗んだとか?」
「「情報屋」を使うのは卑怯だろ!でも俺は下着など盗んでいない!欲しいが!」
いや、犯人を見つけるのに卑怯もクソも無いと思うけど……
犯人は村上で決まりかなと思った時、依頼主の相川からとんでも無い事が伝えられた。
「その、前田君達?僕もしっかりと伝えなかったのが悪いんだけどね……下着を盗まれたのは「男子生徒」なんだ」
『………‥』
相川がそう言うと、部室内の時間が少し止まった様な気がした、5分ほど備え付けの時計の「チクッタクッ」という音しか聞こえてこなかったが、相川が言った事がやっと理解できたのか……慎二は村上に顔を向けると。
「………犯人はお前だ、村上!」
「絶対俺じゃ無いだろ!?」
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