第68話 高校とバカと体育祭の終わり①

 



 その後は最後の1グループの借り物競走も無事終わった、レアなお題が何だったかと言うと「今自分が気になっている生徒または先生とゴールする」という内容だった。


 そのレアなお題を手にしたのは……2年「A」クラスの男子山田照久だった。

 

 覚えてるかはアレだが、レクリエーションのバスケの試合の時に慎二に完膚なきまでにボコボコにされて慎二に興味を抱いた先輩の一人だ勿論選んだ生徒は慎二だった。


「前田、俺は君に興味を抱いている、どうか一緒に走ってもらえないだろうか?」

「えっ?…えぇ……まあ良いですが……」


 山田の提案に了承を出した慎二にある一定の女子生徒が興奮していたのはまた別の話だ。


 2人は息もあい無事1位でゴールが出来た、その時に山田に連絡先を聞かれた為特に問題無かったので教える事にした。


「前田ありがとうな!では、また逢おう!」

「は、はぁ」 


 何が何なのかわからなかったけど、終わって良かったよ、山田先輩と走ってる時に女生徒達が興奮していたのがちょっとわからないけど………


 そう言い慎二と山田は別れた後、他の生徒も走り終わり、体育祭の種目が全部終わった為生徒会から表彰式が行われる事になった。


「皆様体育祭お疲れ様でした、今回は色々なトラブルがありましたが、無事終わりを迎える事が出来ました、只今から今回優勝した組みを発表致します!」


 そう綾杉生徒会長から言われたので皆は静かに聞いていた。


「今回優勝した組みは……白組です!どちらとも僅差で赤組も惜しかったのですが、今回は白組が優勝する事になりました……代表の3年「A」クラスの東雲真衣さん御壇上して下さい!」


 生徒会長にそう言われると東雲と言われた生徒が壇上した、その生徒はすらっとした体に大振りな胸、少しキツそうな目をしているが艶のある長い黒髪を靡かせていてとても美人な生徒だった。


(東雲?あの人って今日生徒会長が言ってた注意しといた方が良いって言ってた先輩だよね?何処かで見た事あるような?)


 そんな事を考えていた慎二に向けて生徒会長までの階段を上がっていた東雲はチラッと慎二の方を見ると薄く笑って来た。


(ーーーっ!……今東雲先輩見て来たよね?……少し注意しとくか……)


 警戒していたが、特に何も起きないまま生徒会長からの表彰が終わり体育祭は終わりとなった。


「これにて第15回体育祭を終わりにします、明日、明後日はお休みになりますが、暗くならないうちに帰って下さいね」


 生徒会長と変わった体育祭実行委員の先生が終わりの挨拶をした後、各自自分の教室に戻り解散となった。


 慎二達も「F」クラスの教室に戻り剛田先生から帰りの挨拶を聞いていた。


「皆しっかりといるな、体育祭ご苦労だった。明日、明後日は休みだがいくらお前らがアホだからと言っても明日高校に来るなよ?もうじき2回目の「学力テスト」がある為そのテスト用紙を作る為に全部の部活も休みになっているからな」


 剛田先生にそう言われ「F」クラスの大半の生徒は苦い顔になった。


 もう7月に入り後少しで「学力テスト」がある。


 正直「F」クラスの慎二達にはどうでも良い話なのだが悪い点数を取れば先生には怒られるし追試などが待っている為、どっち道面倒臭い事には変わりは無い。


「では、ホームルームを終わりにするから各自解散する様に」


 そう言うと剛田先生は教室を出ていってしまった、それから数分したら教室内は明「日何をやるのか」や「テスト勉強をどうするか」など話し合っている生徒達で溢れていた。


「雄二達、今日も何も無ければ一緒に帰らない?」


 そんな中慎二は雄二達に今日も一緒に帰ろうと伝えていたが……


「すまん、今日は直ぐに帰ってやる事があってな……今日はパスで!」

「ごめん、慎二君、僕もちょっと奈々姉に手伝ってって言われてる事があって……」

「僕も今日は家族と出かける事になっていてね、すまないね慎二君」


 そう3人に断られてしまった。


「ううん、皆やる事あるんだからしょうがないよ!今日は久々に1人で帰ることにするよ」


 そう言うと慎二は1人で早く教室を出る事にした。


 ん?吉野さんと悠木さんに聞かないのかって?無理無理、女子と帰ってる所を見られて村上君達に何をやられるか……


 慎二はその為吉野達に話しかけられる前に素早く動き教室を出る事に成功した。


 その後は家に帰りたく無いと言う一心で少しでも時間を稼ごうと旧校舎の空き教室を探索していた。


「ああーー、どうしよう?帰ったらまた結衣ちゃん達に何かやられるのかな?帰りたくないんだけど……」


 帰った後の事を考えていた慎二は背後から誰かが来てる事に全く気づかなかった……


「まあ、しっかりと謝れがっ!………」


 誰かに後ろから頭を強打されたのか慎二は前のめりに倒れ意識を失ってしまった。


 慎二を気絶させた人物は笑うとそのまま慎二を背負い何処かへ行ってしまった。

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