第66話 高校とバカと体育祭と⑥
◆
慎二は精神を疲弊しながらも無事クラスメイトの元に戻る事が出来た。
「どうしたんだ慎二?顔が真っ青だぞ?」
「ちょっと色々あってね……今はそっとしといておくれ」
「あ、ああ?まあ何かあれば言えよ?」
いつもとは違う慎二に雄二は戸惑いながらも言われた通りそっとしておく事にした。
「慎二君お昼に何か合ったのかな?結局あの後は戻ってこなかったし」
「まあ、あいつも色々あるんだろうさ、次の種目が始まるまではそっとしておくか」
そう雄二達は話し合っていた。
「さっき奈々姉に慎二君に渡しといてって言われたクッキーだけ渡してくるよ!」
そう言うと由紀は慎二の元にクッキーを持って向かった。
「慎二君、何か疲れてるみたいだけど、奈々姉から受け取っといたクッキーだけ渡しに来たよ」
由紀が慎二にそのクッキーを渡したら幾分か慎二の表情が明るくなった気がした。
「由紀……ありがとう!君はメシアか?」
「いや違うけど……でもそのクッキーで元気が出るなら食べてよ、奈々姉が頑張って作ったみたいだからさ!」
本当にありがたい、正直元気が無かった半分はお昼を食べていないからだからね……
早速慎二は貰ったクッキーを食べる事にした。
「おお!しっかりと焼きあがっていてそこに甘味もありとても美味しいよ!」
「なら、良かったよ!奈々姉にも美味しかったって伝えとくよ!」
「ああ、よろしく頼むよ!」
その後は全てのクッキーを食べて元気を取り戻したので、さっき生徒会長達に言われた迷子の件を雄二達に話す事にした。
「雄二達すまない、ようやく元気を取り戻したよ!」
「結局慎二が元気が無かったのは昼飯を食べ損ねたからなのか?」
「まあ、そうなるね、あの後はバタバタしていてね……その時に聞いた話だけど我が「ヒポット部」に依頼があったんだよ!」
慎二は生徒会長に言われた事をそのまま雄二達にも伝えて自分達も手伝う旨を伝えた。
「迷子ねぇ、まあ探す分には問題無いが……今回は慎二抜きの俺達だけでその依頼やっても良いか?」
なんとも珍しいね、雄二が率先して動くとは。
「別に構わないけど、何かあったの?」
「いや、別に何も無いんだがな、もう俺らは出る種目も終わってるしこの頃何をしても慎二に任せっきりだったからな、なぁ、由紀、ハトケン?」
「うん、慎二君はまだ借り物競走?が残ってるでしょ?だからゆっくりしていてよ!」
「そうそう、たまには僕達でも依頼を達成出来るって事を証明しなくちゃね、慎二君におんぶで抱っこの状態じゃ駄目だからね」
そんな雄二の言葉に2人も思う事が合ったのか口々に言い出した。
「別に3人が何もやってくれないわけじゃ無いけど……わかったよ、今回は雄二達に頼むね?何かあれば連絡してよ?」
「任せとけ!」
「華麗に達成してみせるよ!」
「迷子なんて瞬で見つけよう」
まあ、3人共やる気あるから任せるか、無理そうだったら僕も手伝えば良いだけだし、生徒会や風紀委員もいるからね。
「じゃあ、僕から綾杉生徒会長達に雄二達が手伝いに行くって伝えとくよ」
そう言うと慎二は生徒会長に連絡を入れる事にした。
直ぐに反応してくれて、さっきの生徒会待機室に集まってくれれば良いと連絡が来た。
「今連絡入れたら、今からでも生徒会待機室まで来てくれれば良いってさ、行き方はわかるかな?」
「ああ、問題無いよ慎二君、僕は行き方が分かってるからね」
服部が分かってるらしくそう言い、3人は立ち上がり生徒会待機室まで向かって行った。
慎二は自分の最後の種目の借り物競走が始まるまで他のクラスメイトと話ながら体育祭を応援していた。
そんな中、先程の「チア部の胸の揺れを見たか?」と村上と話し合っていたら、案の定「何を見ている!」と美波と優奈に慎二だけ目潰しを食らっていたが……それはまたいつも通りで……
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