第64話 高校とバカと体育祭と④




 慎二が戻ると雄二と由紀に絡まれた。


「よお、慎二!……俺達のサプライズはどうだった?」

「あの屈辱を味わった慎二君も僕達の仲間だね!」


 クラスメイト達の待つ場所に戻ったら雄二と由紀がそう言い慎二を出迎えた。


「隠すきも無いのね……」


 怒るきも無くなりどうせ初めに「女装」姿にさせたのは自分だったのでこの話は終わりにした。


「この後って午前の部が終わったからお昼だよね?」

「そうだね、もうじきお昼の放送も流れると思うよ」


 さっき雄二達と話し合っていた時に合流したハトケンが教えてくれた。


「皆は家族とか見に来ているの?」


 そんな由紀の言葉に雄二と服部は……


「俺は事前に来なくて良いと言ったから来てないと思うぞ」

「僕も来ないかな?来たいと言ってたけど、仕事で忙しいみたいだからね」

「そうなんだ、慎二君はどうなの?因みに僕は奈々姉が来るよ!慎二君に会いたいって言ってたからね!」


 そう由紀が慎二に伝えたら、慎二は嫌そうな顔になった。


「げっ!由紀のお姉さん来るんだね、いや良い人だと思うけどスキンシップが激しいからね……それに僕の家族は……あっ…」

「どうしたんだ慎二?由紀の姉ちゃんがお前にスキンシップが激しいのは今に始まった事じゃ無いだろ?それより……慎二は今1人暮らしだよな……誰か来るのか?」


 そう雄二が言って来て、他の2人も興味があるのか慎二に顔を向けて来たが、慎二はそれ所じゃなかった。


 ヤバイ!本当の家族は来るわけが無いと思うけど、結衣ちゃん達が来るって言ってたよ……別に雄二達に紹介しても良いけど、村上君達に知られたら何をされるか……


「いや、別に誰も………」


 誰も来ないと言おうとしたが、そんな時良く奴は現れる。


「何だ、何だ、お昼の話なんてしてるのか?それよりもさっきの仮装リレーの謎の美少女メイドだろ!胸はそんなに無かったがあれは絶対良い女だ!あの女生徒にムチで叩かれてぇー!!」


 む、村上ーー!貴様、いつもこう来ないで欲しい時に来て!そんなにムチで叩かれたいなら今から叩いてやろうか!?


 そんな事を考えていたがバレる様な事は言えず、成り行きを見ている事にした。


「誰かあの美少女について知らないか?」

「僕は知らないな、あんな女生徒がうちの高校にいるなんて知らなかったよ」


 村上の質問に「情報屋」の服部が答えたが、雄二と由紀は何かを言いたそうに笑いを堪えていた。


「木村達、何か知ってるのか?何でも良いから教えてくれよ!」


 待って、雄二達やめてくれよ!バレたら絶対笑われるじゃないか!


「ああ、俺は知ってるぞ会った事があるからな、その生徒こそ……慎二の親戚の慎ちゃんという女性何だよ、生徒に混じって面白そうだからって走ったらしくてな、だから昼は来るのかってさっき聞いてたんだよ」

「なるほどな、前田、紹介してくれるんだろうな?」


 慎二の気持ちが届いたのか、その女生徒が慎二とは言わなかったが、訳のわからない設定を雄二は付けてきやがった。


「う、うん、慎ちゃんね、今日は少し見に来ただけみたいなんだよ、また今度機会があると思うからその時にね!」


 そんな奴いないわ!雄二の奴出鱈目な事言うなよ!


「そうか〜もう来ないのかよ〜…でもよ……あんな美少女が親戚にいるとかズルくね?………どう思うよお前ら!」


 村上の掛け声で慎二達の周りに集まって来ていたクラスメイトのバカ共が雄叫びを上げた。


『許す訳ねぇだろ〜』

『粛清対象だ!』

『この際骨の一本はやっとくか?』


 など、クラスメイトのはずなのに恐ろしい事を言い出した。


「だとよ前田、どうする?俺達哀の戦士に目を付けられたんだ逃げられると思うなよ?」

「何が哀の戦士だ!そんな悲しい生き物いないわ!」

「はっ!他人の幸せなんて全部不幸になってしまえば良いんだ!良く言うだろ?人の不幸は蜜の味ってな?」

「それただのクズ!?」


 と、慎二達は「ギャーギャー」と騒いでいたが、放送部の担当の先生からお昼の放送が流れ一旦お開きになった。


『ええー、午前の部は終了致しました、午後の部まではお昼休憩をお取り下さい、また近くなったら連絡入れます』

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