2章 1学期編 高校生活と人助 閑話
第52話 閑話 高校とバカと同居と①
◆
今日は昨日言われた通り由比ヶ浜先生の両親に会いに行く事になっている。
昨日の夜に電話で朝の9時30分に1度桜田高校駅前に集まって欲しいという事だったので、休日という事もあり無地のTシャツ、ジーパンというラフな格好で由比ヶ浜先生を待っていた。
「女性と待ち合わせってなんかデートみたいだよね……そんな事した経験は一度たりとも無いけど……」
由比ヶ浜先生は慎二の事を恋人にしたいと思っているかも知れないが、生徒と先生なので慎二はそんな事は起きないと思っている。
そもそも慎二は3年後どうなってるかさえ分からない為、人と付き合うなんて考えすらしなかった。
そんな事を考えていたら駅の改札口近が騒がしくなった、有名人でも来たかのようになっていたが慎二は興味がなかった為気にしていなかったが、自分の方にその騒がしい一団が近づいて来てる気がしたのでそちらに顔を向けたら……自分の待ち人が人を沢山引き連れてこちらに向かって来ていた。
うわぁ、由比ヶ浜先生だったのか服装も結構気合入ってるし、待っていたのが僕ってバレたくないなぁ……
そんな慎二の気持ちなんて知らない由比ヶ浜先生は慎二に声をかけた。
「ごめんね、ちょっと準備に時間がかかっちゃって少し遅れちゃったよ!」
今日の由比ヶ浜先生の格好は、モカブラウン色のリブニットを着こなし白のレギンスパンツを履いているというお洒落な姿になっていた……何よりもニット生地を盛り上げるお胸様が凄かった。
他の男性陣がガン見してるのも頷ける。
「いえ、僕もさっき来たばかりなのでそんなに待ってませんよ?それより今日の洋服とてもお似合いですね!」
「ありがとう、慎二君が喜んでくれると思って頑張ったんだよ?……慎二君の格好もシンプルだけど似合ってるよ!」
「そ…そうですか……ありがとうございます」
そんなお決まり?の台詞を2人はお互い言い合っていた。
お決まりの台詞を言ったけど由比ヶ浜先生はご満悦なので良かったよ、僕の格好は褒めても意味無いと思うけど……
ここにいても騒ぎが大きくなるだけだと思い、目的地の由比ヶ浜先生の住んでいるマンションに向かう事にした。
途中男性連中には物凄く睨まれたが厄介なナンパとかやっかみが無かったからまだマシだと思う。
歩きながら話していてわかった事が、御両親は早く慎二にお礼が言いたくて今由比ヶ浜先生の自宅で待っているらしいということだ。
その事に由比ヶ浜先生自身も苦笑いしか浮かべられないらしい。
「あはは、ごめんねお父さん達が早く会いたいみたいでさ……」
「大丈夫ですよ、どっち道合わなくちゃいけなかったと思うので」
普段通り受け答えしていたらいきなり由比ヶ浜先生が変な事を言い出した。
「なんか、こうやって親に会いに行くのって結婚の報告に行くみたいだよね、えへ、えへへ」
「へっ?」
「じょ、冗談、勿論冗談だよ!………絶対に結婚まで持ってくけど……」
冗談……で良いんだよね?なんかまた小声で喋ってたから聞き流しちゃったけど……
そんな他愛もない話をしていたら由比ヶ浜先生のマンションに来ていた。
その後は前回来た時同様に由比ヶ浜先生が住んでいる階にエレベーターで上り、部屋の中に案内してもらう事になった。
ここに由比ヶ浜先生の御両親がいるのか……なんか凄い緊張してきたんだけど。
「慎二君、私が先に入るから後から来てね!」
そう言われてしまったので決心を決めて挨拶をして入る事にした。
「お邪魔します」
リビングだと思うドアを開けたら、40代ぐらいの男性と由比ヶ浜先生に良く似た背の小さな女性が椅子に座って待っていた。
この2人が御両親かな?
「お父さん、お母さん、慎二君連れて来たよ!」
うん、当たってたみたいで良かったよ、ここは礼儀が正しい事を証明する為にも自己紹介しなくちゃね。
「今紹介された通り僕が前田慎二と言います。今回は呼んで頂きありがとうございます!」
しっかりと挨拶をし、頭を少し下げた。
そしたらさっきまで難しそうな顔をしていたお父さんが少し顔を緩めたような気がした、お母さんの方は会った時からずっとニコニコしてるけど。
「これはご丁寧に挨拶をありがとう、今の子はあまりそう言った事をしないと聞いたが前田君は違うみたいだね…と……話が逸れたね、私は千夏の父の誠司でこっちが妻の千尋だよ」
「私が今紹介された千夏ちゃんのお母さんの千尋です。わざわざ来てもらってごめんなさいねぇ〜」
名前で呼ばせてもらうけど、誠司さんは気難しい人かなと思ったけど優しそうで良かったよ、千尋さんはなんか千夏さんと一緒でポワポワしてるけど。
「いえ、お礼を頂けるという事なので無下に断るのも失礼なので大丈夫ですよ」
「本当にしっかりしているね……早速だけど今回は私達由比ヶ浜家を助けてくれてありがとう」
「前田君、ありがとうございました、貴方のお陰で全て解決出来ました」
そう言うと由比ヶ浜先生の御両親は深々と頭を下げてきた。
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